「一流企業」と言われる会社にせっかく入社したけど、「辞めたい」という思いが頭にチラついて離れない…。

人も羨むような環境が、自分にとっても理想の環境とは限りません。誰かに「今の会社を辞めたい」と相談したら、「もったいない」「考え直したら?」と言われるのが関の山とわかっていても、一流企業で働き続けることに限界を感じたら、こんな視点から気持ちを整理してみませんか?

「辞めたい」原因は、本当に転職しないと解決できない?

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今、「辞めたい」と思う原因を、客観的に捉え直してみましょう。
それは果たして本当に、転職をしなければ解決できないような問題でしょうか。

たとえば、「仕事が合わない」「職場が合わない」と思っても、一流企業であれば組織も大きいですから、異動できる可能性もあります。自己申告など自ら異動を申請できる制度がある企業も、少なくないでしょう。

「社風が合わない」と思っていても、大企業であれば部署が異なれば、その職場の雰囲気も異なります。部署異動して楽しく毎日を過ごせるようになった、というのは本当によくある話です。

「仕事にやりがいを感じられない」と思ったとしても、ものの見方や考え方が変わるようなちょっとしたきっかけがあれば、わざわざ転職をしなくても今の環境で仕事の捉え方が変わり、やりがいを見出せるようになるかもしれません

「上司と合わない」のも、また然り。上司の見方を変えたり、上司の立場に立って考えてみたり、「こういう人だから仕方がない」と諦めてみたりすることで、ほどよい距離が保てることもありますし、数年のうちにどちらかが異動することだってあります。

では、どうしても転職して企業を変えなければ解決できないのは何かというと、その会社環境にもよりますが、「今の企業が持っている、事業分野以外のことがやりたい」「会社とビジョンや方向性が合わない」というようなケースです。

今の「辞めたい」気持ちの原因は、今の環境で解決できる可能性が本当にないのか、一度冷静に分析してみましょう。

今の給与や福利厚生にはこだわらない?

一般的に一流企業と言われる企業は、給与や福利厚生など待遇面では非常に恵まれています。

もちろん「一流企業」から「一流企業」への転職も可能ですから(一流企業出身であれば、一流企業に転職しやすいのも、また事実です)、「転職」という選択肢を選ぶことで、即「一流企業勤務の恩恵を全て失う」というわけではありません
場合によっては、今よりも条件のいい企業に転職し、給与も福利厚生もさらに充実することもあるでしょう。

しかし、そのような企業に転職できる確約があるわけでもありませんので、今の給与や福利厚生レベルを大前提に転職を考えると行き詰まってしまったり、転職後に「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまったりすることも…。

転職は、給与や福利厚生が、今より条件が悪くなることが前提ではありません。様々な条件が全く同じというわけにはいかないので、良くも悪くも確実に変わります

確実に「変わる」からこそ、「条件維持」にこだわっていると、本来転職で叶えたかったことを見失い、転職活動そのものが行き詰ってしまうこともあります。今の給与や福利厚生などの待遇面に、こだわらないと言えるかどうか、自分自身に問いかけてみましょう。

「一流企業に勤めている自分」がいなくなっても大丈夫?

「一流企業勤務」というのは、目に見えない「評価」や「信用」というかたちで大きな恩恵を社員にもたらしています

人の価値や信用度合は、勤めている企業の規模ではもちろん決まらないのですが、「●●企業勤務」という看板は、それだけで人から評価され、信用される対象になるのが世の常です。

たとえば、結婚にしても一流企業の社員であれば、婚活もしやすくなりますし、相手の家族や親戚からの信頼も好感も格段に得やすいですし、住宅ローンなども組みやすくなります。

そんな今は当たり前になってしまっている、「目に見えない信用がもたらす恩恵」「ちょっと一目置かれるようなこと」が一流企業を辞めたら、なくなる可能性があります

繰り返しになりますが、一流企業から一流企業への転職はしやすいので、年齢や職種にもよりますが、あなたが望めば次も一流企業に転職できる可能性はおそらく高いでしょう。しかし、それは確実なものではありません。

もし、一流企業への転職が叶わなかった時に、今回の転職で「一流企業に勤めている自分」がいなくなっても、本当にいいのか。
転職して叶えたいことは、「一流企業」がもたらす恩恵と引き換えできるほどのものなのか。

その視点から考えてみましょう。

一流企業で働くことは、目に見えるもの、見えないものあわせて、本当に多くの恩恵を社員にもたらしますが、一流企業で働くことだけが幸せでもありません。

仕事をするうえで大切にしたいことは、長い社会人生活のなかで、自分の価値観や様々な環境が変わると共に、変わっていきます。
だから「辞めたい」と思うのは、自分が働くうえで何を重要とするのか、何が実現できる環境を選ぶのか、それを考え直すタイミングだということです。

この機会に、自分の本当の気持ちに向き合ってみましょう。