「仕事が合わないから、もうこの仕事を辞めたい…。」
そう人に相談しても、おそらく多くの場合「もう少し頑張ってみれば?」という答えが返ってきます。
それは一般的な対応ですが、「仕事が合わない」と感じる原因によっては職場を変えなければ状況が改善する見込みはなく、転職活動を始めたほうがよいこともあります。
合わないと感じる仕事を辞めるべきか、それとも今の職場でもう少し頑張るべきなのか。それをきちんと見極めていきましょう。
「仕事が合わない」と感じる原因は何か?
続けるのか辞めるのか、それを見極めるためにも、まずは「仕事が合わない」と感じている原因をはっきりさせましょう。「仕事が合わない」と感じるのは、一般的に次のような原因が考えられます。
【仕事が合わないと感じる原因】
①業務に求められる適性が自分の適性と合っていない
(例:人と話をするのが好きなのに事務作業ばかり、細かい作業が苦手なのに経理、等)
②会社の方針・やり方・社風が自分の価値観と合わない。
③長時間労働や精神的ストレスなど、肉体的・精神的に限界を感じている。
④今の仕事をやっていて成長を感じない。
➄一生懸命やっているのに業績が上がらない。または評価されず自信がない。
⑥一緒に仕事をする人と合わない。
⑦今の仕事の延長である上司の仕事に魅力を感じない。
自分はどれに当てはまるのか、自分の業務と今感じている気持ちに正直に向き合ってみてください。
そして「仕事が合わない」と感じる原因をはっきりさせると共に、「自分が求めている仕事内容や環境」はどんなものかを明確にしていきましょう。
「合わないと感じる原因がわかっても、自分が求めている仕事内容や環境はよくわからない。」のであれば、「わからない」ことが認識できれば大丈夫です。
ではそれぞれの原因について、辞めていいのか、それとももう少し頑張ったほうがいいのかを考えていきましょう。
仕事が合わないなら、転職を考えたほうがよい時
「仕事が合わないから辞めたい」で、転職を前提に考えてもよいのは、
①業務に求められる適性が自分の適性と合っていない
②会社の方針・やり方・社風が自分の価値観と合わない。
③長時間労働や精神的ストレスなど、肉体的・精神的に限界を感じている。
の理由に当てはまり、かつ「自分が求めている仕事内容や環境」が今の会社では得られないことがはっきりしている場合です。そのためにまず、今の会社では本当に状況は変えられないのかきちんと確かめましょう。
①の場合は上司に自分の状況を話し、自分が希望する仕事ができるような部署へ異動が可能か相談するのが第一です。「今の会社では自分に合う仕事はない」と思っていても、自分が知らないだけで希望に近い仕事があるかもしれないからです。
上司と相談できるような関係でない場合には、人事担当者や上司のその上の部門長などに相談してみましょう。
③の場合も、肉体的・精神的疲労を軽減できるような部署に異動できないか、まずは相談してみましょう。
②の場合だけは、仕事と割り切って続ける道もありますが、転職先を探した方が幸せになれる可能性が高いと言えます。
ただし、いくら転職前提に考えてもよいケースとはいえ、次の転職先を決める前に退職するのは得策ではありません。2015年9月現在の有効求人倍率は1.24倍と23年8ヶ月ぶりの高水準ではありますが、正社員に限った有効求人倍率は0.77倍と依然厳しい状況にあります(厚生労働省)。
「仕事が合わない」と次の転職先を決めずに辞めてしまうと、思いもよらず離職期間が長くなって転職活動に苦戦してしまう可能性もあります。実際に辞めるのは、転職先を決めてからのほうが良いでしょう。
仕事が合わなくても、もう少し頑張ったほうがよい時
「仕事が合わないから辞めたい」と感じていても、簡単に辞めてはダメな時は「仕事が合わないと感じる原因」のうち、
④今の仕事をやっていて成長を感じない。
➄一生懸命やっているのに業績が上がらない、または評価されず自信がない。
⑥一緒に仕事をする人と合わない。
⑦今の仕事の延長である上司の仕事に魅力を感じない。
の理由に当てはまる時です。
また前述の①~③の場合でも、「今の仕事は自分に合わないけれど、自分の求めている仕事内容や環境はよくわからない」という場合も、自分の求めているものが見つかるまで、今の職場でもう少し頑張ったほうがよいと言えるでしょう。
これらの場合は、「こんな仕事は合わない」という自分の思い込みで視野が狭くなって、今の仕事や周りの環境を決めつけてしまい、物事が一面的にしか見えていない可能性があるからです。
「こんな仕事をやっていても、成長できない。」と感じるなら、本当に今の仕事の質を高められる余地は全くないのかもう一度考えてみましょう。
「一生懸命やっているのに業績が上がらない、評価されず自信がない。」と感じるなら、仕事のやり方に改善の余地はないか、上司とのコミュニケーションに問題はないか、客観的に見つめなおしてみましょう。
「職場の人間関係がうまくいっていない。」と思ってしまうと、相手のよいところを見つけにくくなります。どんな職場にも自分と合わない人は必ずいます。この理由で転職したところで、次の職場の人間関係がよい環境にあるとも限りません。
「上司の仕事に魅力を感じない。」と思っても、社内で上司と違うキャリアを積むことは可能です。また、同じポジションになっても、仕事の領域は個人の意識次第で大きく変わっていきます。今の上司の仕事がつまらなそうでも、あなたが上司の立場になったら、立場を生かして仕事の可能性を広げることもできるのです。
このように④~⑦の場合は、見方を変えれば今の状況が異なってくる可能性があります。転職を考えるのは、見方を変えて頑張ってみてもどうしても状況が変わらなかった時でも遅くはありません。
「仕事が合わない」は今を見直すサイン
いずれにしても、「仕事が合わない」と感じるのは今を見直し、現状の考え方や働き方を変える必要があるという心のサインです。
「仕事が合わない」と思いながらも深く考えず、悶々と過ごしてしまえば、今の仕事を発展させる可能性や、今の職場の環境をもっとよくする可能性、または、もっとイキイキと働く環境に移るタイミングを逃してしまいます。
「仕事が合わない」と感じる自分の気持ちにしっかり向き合えば、今を成長の機会にすることも、人生の転機にすることもできます。
仕事が自分に合っていると感じ、イキイキと働ける環境を作れるかどうかは自分次第なのです。