時短勤務として、職場で快く働けるかどうか。

それは、「制度を利用する人次第」だと知っていましたか。

同じ時短勤務制度を利用していても、職場が応援してくれる人と「迷惑だな。」と思われる人には、能力やスキルの問題ではない「明らかな違い」があります。

時短勤務中で職場の視線が冷たいと感じる場合、原因はもしかしたらあなたにあるかもしれません。時短勤務中の職場の人間関係が気になる方に、職場に応援されるワーキングマザーがしている気遣いのポイントを紹介します。

「肩身が狭い」と気にしすぎず、権利を主張しすぎずに

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(出典:国立社会保障・人口問題研究所 「第14回出生動向基本調査」)

短時間勤務制度は、「3歳に満たない子どもを育てていること」を条件に法律で認められた権利で、どの会社にも制度として導入されています。企業によってはその期間が、「子どもが小学生になるまで」「小学校を卒業するまで」と長い場合もあります。

法律で決められた子どもが3歳になるまでの短時間勤務制度の利用者は年々増え、2005~2007年では20.9%とワーキングマザーの5人に1人が利用するようになりました。

短時間勤務制度は法律で守られ、利用者も広がっている制度です。早く帰ることに対し、必要以上に肩身の狭い思いをする必要はありません。

かといって「時短勤務だし、早く帰るのも当たり前。」「子どもがいるから、当然の権利。」という態度では、あなたばかりでなく、後輩の女性が短時間勤務制度を利用する際にも、冷たい対応をされることになってしまいます。確かに法律で守られた権利ですが、あなたが早く帰る分の仕事を誰かが代わりにやってくれている事実を忘れてはいけません。

気にしすぎず、権利を主張しすぎず。それが周囲とうまくやっていける、時短勤務の働き方です。それでは具体的な配慮のポイントを押えていきましょう。

1:「やらない」「できない」ではなく、「できる範囲をやる」意欲を示して

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「子どもに手がかかって、朝家を出るのが遅くなり…。」
「子どもが熱を出してしまって、帰らなければならなくて…。」

と、時短勤務中のワーキングマザーには、子どもが理由で遅刻・早退・欠席しなければならない事態が頻繁に発生します。

これが「仕事ができなくて申し訳ない、肩身が狭い。」と思ってしまう原因でもあり、「子どもがいるんだから、当たり前でしょ!」と当然の顔をすると反感を買ってしまう原因にもなります。

子どもを理由とした遅刻・早退・欠席で、できない仕事はどうしても発生します。しかし、その際は「やれないものは仕方ない。」「できない、無理!」と決めつけてしまうのではなく、「できる範囲でやれること」がないか考えてみましょう。

「今から帰らなければならないので、明日でもいいでしょうか。」
「自宅で対応したいと思いますが、大丈夫でしょうか。」

など「できる範囲で仕事をする意欲」を伝えれば、印象は違います。また、納期の延長や自宅での対応が難しい業務でも、急な早退や遅刻でも周囲の人が代わりに対応しやすいように自分の業務をわかりやすくしておけば誠意が伝わります。

「働く時間が短いから、やらない。」「できない。」ではなく、限られた時間内でできることを考え、その意欲を示すようにしましょう。

2:仕事を頼む時やアフターフォローは一言多く

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以下の2文を比べてみてください。もしあなたが仕事を頼まれる立場だったら、どちらが気持ちよく仕事を引き受けられるでしょうか。

A:「子どもが熱を出してこれから帰らなければならないので、あとはお願いします。」

B:「子どもが熱を出してこれから帰らなければならないので、いつも本当に申し訳ないのですが、あとはお願いします。」

多くの方がBを選んだのではないかと思います。AとBの違いは、「いつも本当に申し訳ないのですが」という一言があるかないかだけです。しかし、相手を気遣うこの一言があるかないかで、これだけ印象が変わります。

時短勤務中はできない仕事も多く、上司や同僚など周囲の人に仕事を頼まなければならないこともよくあります。その際は、「いつもすみませんが…。」「忙しいのに申し訳ないのだけれど…。」と一言添えれば、相手の印象が大きく変わってきます。

代わりに仕事をしてもらった時も必ず、「いつもありがとうございます。」「○○さんのおかげで助かりました。」と感謝の気持ちを伝えましょう。

仕事を頼む時や、仕事をしてもらった後にこうした一言があるかないかが、「仕方ないな。」と思ってもらえるか、「またかよ。」「いい加減にしてよ。」と思われるかの分かれ道です。

時短勤務を職場で支援してもらえるワーキングマザーは、この一言が言える人です。「いつもやってもらっていることだから。」と仕事を代わりにやってもらうことを当たり前にせず、いつも口にするようにしましょう。

3:「忙しい」「大変」と職場では愚痴らない

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時短勤務中のワーキングマザーは、慣れない育児に、家事に、仕事に…と、とにかく時間がありません。その時間のなさに、周囲への配慮を忘れてしまうこともあるかもしれません。「私だって大変なんだから!」と思ってしまうこともあるでしょう。

でも決して、「子どもがいるから、忙しくて大変!」「時間がない!」と職場で言わないでください。また、独身女性や男性に対して、「あなたにはわからないかもしれないけれど。」「子どもを持つと本当に大変なの!」という態度もタブーです。

もちろん、周囲が自分の状況を理解できるように、説明しておくことはとても大切です。例えば、

「最近子どもが、ちょっと咳が多くてもしかしたら呼び出されてしまうかもしれません。」
「保育園でインフルエンザが流行っていて、うつらないか心配で…。」

と早退や遅刻、欠席が予想されそうな時に予め状況を説明しておけば、周囲も心の準備ができます。こうした説明と「いつも呼び出されて本当に大変!」という愚痴は、全く質が違います。

どんなに大変な状況であったとしても、愚痴や文句ばかりの人を進んで助けたいと思う人はあまりいません。とはいえ愚痴を言いたくなってしまうのが人間なので、愚痴を言うならせめて明るく言いましょう。

周囲に応援してもらえるワーキングマザーは、愚痴を言わないか、明るく爽やかに「もう、大変なのよ~!」と愚痴を言える人です。

愚痴をいっても誰も共感しません。ワーキングマザーに対する理解や共感は、できることを一生懸命頑張っている人に、周囲の人が自然に抱くものであり、自分から強制するものではないのです。

時短勤務はコミュニケーション能力を磨くチャンス

誰でも今までに1度くらいは、何の見返りも求めずに他人を「手伝ってあげたい。」「助けてあげたい。」と思ったことがあると思います。あなたが助けたくなった人は、どんな人だったでしょうか。

それは文句を言わずにひたむきに、自分ができることを頑張っている人ではありませんでしたか。

文句ばかり言う人。自分の権利だけを主張する人。努力をしない人。自分のことばかり考えている人。一生懸命でない人。これらの人は、どんなに困っていても「助けたい、手伝おう」とは思えないのが人情です。

「助けてあげたくなる人」にあなた自身がなることで、時短勤務期間をうまく乗り切りましょう。仕事に育児に家事に・・・と大変な今こそ、周囲への気遣いの仕方を学び、協力してもらえる人間関係を築くコミュニケーション能力を磨くチャンスなのです。