今の仕事が辛い。あまり面白くない。そもそも、働くのが好きじゃない。
独身のうちは仕方ないけど、結婚したら仕事を辞めて家庭に入りたい。

仕事にストレスを感じ、結婚して仕事を辞めたい女性も少なくないようです。
もちろん「結婚して仕事を辞める」というもの人生の選択肢の1つですが、
しかしそれは、思っているほど「楽な選択肢」ではありません。

結婚で仕事を辞めてしまって、「こんなはずではなかった」と後悔しないように、
専業主婦になった時のリスクを知っておきましょう。

1:将来の教育資金・老後資金に余裕がなくなる

将来の資金

あなたは結婚するパートナーの年収を知っていますか?その年収で、将来の教育資金、老後資金に不安は本当にありませんか。

パートナーが高収入なら問題ありませんが、日本人男性の平均年収は511万円です(国税庁 平成26年)。ただしこれは、1000万円以上の高収入の人も含めた全年代の平均値(45.3歳)であり、結婚適齢期の20~30代男性であれば更に下がります。割合でみれば、年収500万円以下の人が約60%です。

こうした現状から、家計を夫婦で支えるために共働き世帯は年々増加し1065万世帯と過去最高に、反対に専業主婦を持つ世帯は745万世帯と過去最低となっています。(内閣府男女共同参画局 「男女共同参画白書 平成26年版」)

「これだけしか収入がないのに仕事を続けても・・・。」と思っても、世帯収入でみたときに妻の収入があるかないかは大きな差になります。夫の収入のみで年間500万円か、それとも妻も働いて年間700~800万円になるかでは、月に外食できる回数や家族旅行の行先など、「家計のゆとり」明らかに変わってきます。

子どもが生まれた後も、子どもができる習い事の数や選べる進路が変わってきますし、老後の年金支給額も変わるでしょう。

専業主婦は短期的に見れば、楽に思えるかもしれません。しかし長期的にみると、この選択肢を選んだことによって、収入面で厳しい生活が待っているかもしれないと知っておきましょう。

2:「専業主婦」という新たなストレスを抱える

辛い仕事に行かなくてもいい。嫌な上司や同僚とも顔を合わせなくてもいい。

今、仕事でストレスを抱えている女性にとって、「働かなくてもよい」専業主婦はとても魅力的に見えるかもしれません。毎日テレビをみて、好きなことをしてのんびり過ごせるのは夢のような生活でしょう。

しかし、専業主婦は思うほど楽でも優雅でもありません。民間の調査によると、専業主婦の1ヶ月のお小遣いの平均は約1万5000円(博報堂 「子供を持つ既婚女性の就業形態と消費に関する調査結果」 2013年)。

但しこれは高収入の夫を持ち、毎月高いお小遣いをもらっている一部の人がいるから平均が上がっているだけです。別の民間調査では、30代以下の専業主婦のお小遣いは「5000円以下」が64%と圧倒的に多数となっています(@ nifty 「何でも調査隊」)。

「楽だから」と専業主婦になったところで、夫の収入だけに頼っていては、遊べるお金・使えるお金はそう多くありません。

さらに、子どもが生まれてからは子どもにお金がかかるため、「自分のお小遣いはなし」という専業主婦が圧倒的多数なのも現実です。収入源が夫しかなく、一般的に男性の60%の年収が500万円以下という現状で、自分の分までなかなか回ってこないのは致し方ありません。

また、「主婦を専業」にしているだけに、夫が家事や育児に協力的でなくなる可能性も高いのが専業主婦です。「夫が育児や家事に協力的ではない。」と不満を抱える専業主婦も、少なくありません。

主婦には土日も祝日もありません。それでも夫からすれば、「家にずっといるんだから、それくらいやってよ。」と言われるし、自分でも「ずっと家にいるし・・・。」と思うと、サポートがなかなか得られず、ストレスが溜まってしまうのです。

3:離婚のダメージが大きくなる

結婚前は想像がつきにくいかもしれませんが、結婚生活が生涯続くとは限りません。どちらかが浮気や不倫をしたり、一緒に生活をして耐えがたい性格の不一致が見つかったりして、離婚する可能性もあります。

年間に離婚するカップルは約25万組(厚生労働省 「離婚に関する統計」 平成21年)。同年の婚姻件数は約72万組であることから、「結婚する夫婦の3組に1組は離婚する」と言われています。

このように、もはや離婚は珍しいことではなく、他人事でもありません。あなたがパートナーを嫌になることがあるかもしれませんし、パートナーから「離婚してほしい」と頼まれるかもしれません。

その時に仕事をしていないと、経済的な理由から離婚に踏み切れない、離婚に応じられないという状況になりかねません。また離婚後に経済的に苦しい状況になってしまう可能性も高いです。

「夫には何があっても一生養ってもらうつもりだから、大丈夫。」と思うかもしれませんが、愛情も思いやりもなくなったパートナーと経済的な理由だけで共に生活をして、人生本当にそれでいいのでしょうか。

専業主婦であろうがなかろうが、離婚の危機はやってきますし、離婚をすることもあります。しかし、その時に専業主婦で、「これからまた仕事を始めなければいけない」状態では、離婚による経済的なダメージは絶大だということを覚えておきましょう。

パートナーがどう思っているのか、相手の本音も確かめて

このように、結婚で仕事を辞めて専業主婦になるのは決していいことばかりではなく、専業主婦になってしまったからこそ背負うリスクがあります。「嫌な仕事場に、もういかなくて済む。」という簡単な話ではありません。

ただ、結婚後に女性には家庭に入ってほしいと思う独身男性が少なくないのも事実です。もし「俺が養うから、結婚後は家庭に入ってほしい。」といわれたならば、相手の理解と本音を確かめましょう。

自分の収入と将来的なマネープランを理解して言っているのか、ある程度自分にお金を使わせてもらえるのか。お互いのお金に関する価値観や将来的なマネープランの認識をすり合わせておきましょう。

「家庭に入ってほしい。」と言われて専業主婦になったものの、家計も夫が全て握り、自分が自由に使えるお金がなく、肩身の狭い思いをしている女性も珍しくありません。

専業主婦は確かに「仕事を辞めたくなった時の逃げ場」になりますが、それは夢のような極楽の場ではありません。

一度辞めてしまったら、「こんなはずではなかった。」と再就職するのも難しくなります。結婚して仕事を辞めたいと思ったら、専業主婦になった時の現実も考えて、本当にそれでいいのかもう一度考えてみましょう。