子育てと仕事が両立しやすい勤務形態と引き換えに、
昇進・昇格からは縁遠くなってしまうマミートラック。
自分で選んだことは間違いないのですが、それでも仕事にやりがいを感じていた女性ほど、
「子どもがいても、頑張りたいのに。」という気持ちが空回りして、
モチベーションが続かなくなってしまいます。

子どもが病気になれば休めるし、早く帰ることもできる。
しかしそれと引き換えに評価も期待もされない。役に立っている実感もない。
私、何をやっているんだろう?

そんなふうにマミートラックで苦しくなってしまったら、こう考えてみませんか。

1:マミートラックを脱出すると自分で決断する

メリットとデメリット

マミートラックから脱出し、仕事にシフトする時期を自分自身で決めましょう。

マミートラックは、いわば時短勤務中の「配慮」から、補助的な仕事しか任されず、期待も評価もされない状態です。しかし、それは時短勤務の間だけの期間限定なのです。時短勤務からフルタイムに戻り、出産前と同じように働けるようになれば、状況は変わります。

それをいつ脱出するか、つまりいつ時短勤務からフルタイムに戻るかを自分で決めましょう。「育児と仕事が両立できる環境がない。」と環境が整うのを待っていると、時短勤務をなかなかやめられなくなってしまいます。

「もうフルタイムに戻る。」と決めて本気で動けば、何かしらの手段が見えてきます。夫がフルタイム復帰に前向きでなかったとしても、本気で話し合えば状況が変わるかもしれません。

また上司にも「フルタイムに戻って働きます。」と意欲を伝えれば、対応が変わる可能性もあります。この時には、必ず「○月にはフルタイムに戻ります。」と断定で伝えましょう。「フルタイムに戻りたいと思っています。」という意欲ベースでは、「お子さん大変だし、無理しないで。」と言われてしまうからです。決定事項として伝えることで、本気度が伝わります。

マミートラックから抜け出して、フルタイムで働く。まずはそれを自分で決断し、周囲に伝えてみましょう。思わぬサポートが入って一気に状況が好転するかもしれません。

2:昇進・昇格に対する見方を変えてみる

日本企業が長時間労働できることを評価の前提にしているから、女性が活躍できる社会にならない。

それは多くのメディアで指摘されていますが、現状では仕事の成果はある程度、仕事の量やかけた時間に比例するのも現実です。

時短勤務中は、仕事に費やせる時間がフルタイムの人に比べて少なくなります。出せる成果はどうしても変わってきます。昇進・昇格が遅れて、悔しい思いもするでしょう。

しかし、昇進・昇格がその後に「できない」わけではありません。

同期や後輩など、他人と比べてしまうと「遅れた」と感じてしまうかもしれません。それでも昇進・昇格は、早ければいいというわけではありません。早く昇進・昇格しても、途中で業績を上げられないこともあります。反対に昇進・昇格が遅れても、その後大きな成果を残し、評価されることもあるのです。

マミートラックにいる間、昇進・昇格が遅れたと思っても、ほんの数年です。その後20~30年ある社会人生活で、いくらでもそれは取り返せます。

今は「遅れている」のではなくて、「違う道」を通っているだけです。マミートラックを経験したからこそ得た知識や経験が、後で役に立つこともあります。

昇進・昇格はスピード勝負ではありません。昇進・昇格の早さを気にするのをやめると、少し楽になりますよ。

3:仕事の負担が軽い今だからこそ人脈と知識を広げる

時短勤務中は、補助的な仕事や簡単な仕事しか回ってきません。今までに比べて時間も能力も持て余し、やる気だけが空回りして虚しくなってしまうこともあるかもしれません。

そんな時には、その余ったパワーで今までできなかった人脈や知識を広げる行動を起こしてみませんか。手が空いて仕事に余裕があれば、他にできる仕事はないか、こんなこともしてみたらどうか、上司に提案してみましょう。

また、社内でワーキングマザーのネットワークを拡げるなど、人脈を広げてもいいかもしれません。業務に関する知識や情報をリサーチして、上司に提案や情報提供するのもいいでしょう。

このように余力を活かして活動していれば、「それだけ前向きにやってくれるなら。」「まだ余裕があるのなら。」と、上司から任される仕事も変わってくるかもしれません。

そしてこの時期に得た人脈や知識は、フルタイム勤務に戻った後に何らかの形で必ずプラスになるでしょう。

4:「それでも腐らないこと」の価値を知る

会社は、求める役割・与えられた役割を、責任を持ってこなせる人、きちんと結果が出せる人を評価し、その対価として高い年収を払います。仕事に関われる時間が今までよりも少ないのだから、その役割や責任を今まで通りにこなしきれないだろうと会社が判断するのは無理もありません。

その事実を客観的に受け止め、「評価してもらえない。」「期待してもらえない。」と気持ちを腐らせてしまわないでください。

「どうせ、マミートラックになっちゃったし。」と仕事への意欲をなくしてしまえば、あなたは「意欲のない人」として評価されてしまいます。時短勤務が終了しても、その評価は残ります。それは、子どもが大きくなってから仕事を任される機会を自分から放棄しているようなものです。

この時期に腐らないで、前向きにできることに取り組んでいる姿勢は、必ず誰かが評価してくれています。それが、「時短勤務でもあれだけやってくれたのだから。」とフルタイム勤務に戻った時に仕事を任され、評価されるきっかけになるのです。

今頑張ることは、無駄ではなくちゃんと将来に繋がっています。「○○してもらえない。」という、「受け身の被害者」にならないようにしましょう。

「もういいや。」と思わなければ道は拓ける

バリバリと仕事をし、評価も期待もされていたころは、自分がフルパワーで仕事に関わり、成果をだすことにやりがいを感じていたでしょう。同僚との競争することも、モチベーションの1つだったかもしれません。

制約がある今、その時と同じ価値観で仕事に向き合い、キャリアプランを考えてしまうと相当に苦しい思いをしてしまいます。

途中で仕事を辞めない限り、社会人人生はまだあと30年前後あります。後から挽回できることはいくらでもあります。

「期待されていないし、私はもういいや。」という気持ちで仕事に向き合えば、本当に評価も期待もされなくなってしまいます。しかし、「フルタイムに戻ったら、また以前のように働きたい。」と前向きに「今だからできること」に取り組んでいれば、再び評価・期待される機会は巡ってきます。

制約があり、制約の中でできることを考えるからこそ、成長することができます。今をチャンスと捉えて、できることを探してみましょう。