「時間がない」「産休中に同僚が出世して、遅れをとったような気がする」「思うように仕事ができない」「子どもにゆっくり関わる時間がない」など、ワーキングマザーの悩みは尽きません。

独身時代や出産前に比べて、自分の思い通りの働き方ができなくなり、キャリアと子育ての間で頭を抱えるのは、ワーキングマザーなら誰もが通る道です。

仕事も子育ても中途半端な気がして、苦しくなってしまったら、このように発想転換してみませんか。

1:数年の時短勤務は決してキャリアダウンではない

キャリアダウン

仕事にやりがいを感じ、仕事最優先で頑張ってきたワーキングマザーが突き当たるのが、「キャリアダウンの壁」です。育児休暇を取得し、その後に時短勤務を選択した場合は、仕事内容は出産前とは大きく変わることがほとんどです。

管理職から非管理職へ、営業から内勤の事務へ、海外業務から国内業務へ、など負担も責任も軽い部署へ異動となることも多く、負担と責任、そして業務量の変化に伴い、年収もダウンします。

自分が育児休暇で休んでいる間や時短勤務の間に、同期の男性社員が昇進し、今までは部下だった独身女性社員が自分の上司になったというような状況に、やるせない思いをするワーキングマザーは少なくありません。

これを「キャリアダウン」だと思い、「今まで頑張ってきたのは何だったのだろう?」と虚しさを感じ、退職の道を選んでしまうケースもあります。

確かに現時点での状況を他の人と比べれば、キャリアダウンに見えるかもしれません。しかし、子どもの成長に伴い状況は変わり、仕事に費やせる時間は戻ってきます。子どもが小学校高学年になる頃には、お手伝い等で家事の負担も減り、仕事に打ち込めるようにもなるでしょう。

定年を65歳とすると、働く時間はまだ数十年あります。育児休暇の数年の遅れを取り戻す時間はたくさん残っています。仕事と子育ての両立に四苦八苦し、「仕事が思うようにできない」と悩み、弱い立場の気持ちを理解した経験は、やがて自分が管理職となった時にマネジメントに大きく役立つはずです。

今はキャリアダウンではなく、キャリアや働き方を違う視点から考えるチャンスです。今しか気づけないことに目を向けてみましょう。

2:給与ダウンに育児コストの増加…コスパの悪い働き方も期間限定

コスパ

時短勤務に伴って給与が下がったにも関わらず、保育料や育児サービスの利用などで出費は増加。さらに忙しくて料理をする時間がないと、食事はお惣菜や外食が多くなり、生活コストも増えてしまいます。

収入の多くが育児や家事関連に費やされてしまい、社会保険料や税金を払ったら、「ほとんど手元には残らない」ということもあります。「働いていても、コストパフォーマンスが悪すぎる」とやりきれないワーキングマザーも多いでしょう。

それでもこのコストパフォーマンスの悪さは、期間限定です。乳幼児は高額な保育料も、成長とともに下がります。小学生になれば、放課後の学童保育に新たな費用が掛かりますが、多くの場合、保育園の保育料ほどではありません。その頃には時短勤務ではなくなり、収入も増えているでしょう。

今は、仕事にブランクを作らず、「働き続けるために」働く数年間です。子どもの成長とともに、コストパフォーマンスのよい働き方は戻ってきます。この時期の収入は、貯蓄や娯楽に使うためではないと割り切りましょう。

3:「ここまでして働く意味は?」…なんて考えない

はたらく意味

「他の人ほど働けず、仕事でも期待通りの成果を上げることができない。」
「家事にも追われて、家はいつも散らかっている。」
「忙しくて、子どもに向き合う時間や子どもと遊ぶ心の余裕がない。」

仕事に家事に子育て。どれも「本当はここまでやりたいのに」と思っても、限られた時間で全てを思い通りにこなすのはほぼ不可能です。

「中途半端でも仕方ない」と割り切れればいいのですが、仕事も家事も育児もどれもが中途半端な現状にストレスを感じ、「ここまでして働く意味があるのだろうか」と悩んでしまう方もいます。

では、仕事を辞めたらどうなるかを考えてみましょう。確かに、家事や育児に費やせる時間は増えます。しかし、幼稚園や小学校と子どもは成長し、「手が空く」時間は確実に増えていきます。空いた時間をどうしますか?

仕事を辞められずに悩んでいるのは、その選択肢を選びきれないということ。現在の収入や待遇、仕事、会社に多少なりとも魅力があり、「それでも仕事を続けたい」という思いがあるからではないでしょうか。

「職場や夫や子どもに迷惑をかけて、ここまでして働く意味があるのだろうか」という問いに対する納得できる答えは、考えてもなかなか出てきません。その答えは自分で「これだ」と決めるしかないのですが、今は決められないから悩んでしまうのです。

だから考えるのをやめて、今目の前にあることに集中することに専念してみませんか。今の働き方が続けられなくなっても、パートや派遣社員、個人事業主としてフリーランスで働くという方法も残っています。あまり自分を追い詰めないようにしましょう。

今は周囲の力を借りることを学ぶ大切な期間

大事な期間

ワーキングマザーが抱えるいずれの悩みも、子どもの成長と共に解消していきます。子どもの病気に保育園から呼び出され、早退や遅刻に悩まされるのは数年間だけで、この先ずっと続くわけではありません。

気遣いと明るい笑顔を忘れなければ、職場や家族などあなたの周囲も仕事と子育ての両立に奮闘するあなたを快くフォローしてくれるでしょう。実際に仕事と子育てをうまく両立しているワーキングマザーが、この「フォローしてもらえる力」と「周囲のフォローを受け入れるキャパシティ」を身につけています。

今は「周囲の理解と協力を得ながら、子どもを育て、仕事を続ける」ということを学んでいくチャンスです。この時期を乗り越えた経験は、子育て期を終わった後の仕事にも必ず役に立ちます。

ワーキングマザーの悩みは尽きません。しかし、仕事も家庭も両方手に入れられるのは、とても幸せなのだということを思い出し、期間限定のこの時期だからこそ得られる経験と学びを大切にしてみてください。