「上司と合わない」というストレスフルな状態が続いていても、「辞める」という決断するのは、なかなか難しいのではないでしょうか。
しかし、「上司と合わない」という上司との人間関係の悩みは、本音の転職理由では常に上位にランクインしている、「辞めたい!」と思うきっかけの「王道」のようなもの。多くの人が、上司と合わないことを理由に会社を辞めていると思えば、自分ばかり我慢しなくてもいいような気もしてくるでしょう。
上司と合わない。でももう少し頑張ったほうがいいのか、それとももうさっさと辞めたほうがいいのか。
悩ましいこの選択肢で迷った時には、こんな視点から今の状況を判断してみましょう。
ポイント1:上司か自分が異動する可能性はないか?
まずは上司か自分が異動できる可能性はないかどうか、判断してみましょう。
自分の異動希望をその「合わない」上司に相談するのは、ちょっと厳しい・・・という状況であれば、もし部署を超えて相談できるような「ナナメ」の関係の他部署の管理職の方がいれば、その方に相談してみてください。
相談にのってくれた他部署の上司の計らいで、異動が叶う・・・ということもあります。
また、ある程度の規模の組織なら、自分ではなく上司が人事異動する可能性もあります。
しかし、会社の規模が小さかったり、専門的な業務だったりと、自分(または上司)が異動直後だったりすると、確かに「上司も自分も異動の可能性はほぼない」ことになります。
そんな時は、今の「環境」が変わって状況が改善することは難しくなりますので、次はこんな質問を自分に問いかけてみてください。
ポイント2:環境が変わるなら、仕事内容、待遇などと引き換えにしてもいいか?
「上司が合わない」と転職した時、「こんなことなら、我慢していないでもっと早く転職しておけばよかった」と思うようないい転職先に出会える可能性もあります。
しかし、「こんなことなら、まだ前の会社(=今の職場)のほうがよかった」と後悔する可能性も無きにしもありません。
仕事内容や待遇面は、入社前にある程度確認して、納得した上で意思決定することはできますが、職場の雰囲気や新しい上司との相性は入社前に確認しにくいので、「今と対して変わらない」または「むしろ悪くなった」ということも十分ありえるからです。
仮に「合わない上司」との関係を除けば、今の職場のほうが、条件が良かった・・・というような状態になったとしても、この「今の合わない上司」と仕事をしなければならない状況を変えられるならば、それでよしと思えるかどうか。
その問いかけに、迷いなく「YES」と思ったら、最後にもう一度確認してみましょう。
ポイント3:「合わない」と思う理由に情状酌量の余地は何もないか?
「この上司は合わない」とあなたが思っていると、よほど鈍い人でないかぎりは、上司もそのあなたが発している「イヤイヤオーラ」「苦手オーラ」に気づきます。
自分に対してネガティブな感情を持っているあなたを更に疎ましく思い、あなたを目の敵にしたり、距離をおいたりしていることもあるかもしれません。
そして上司のそんな対応に、あなたはますます「もうこんな上司、嫌」と思ってしまっている…と、今の状態はそんな悪循環に陥ってしまっているのかもしれません。
「もうこんな上司合わない!」という気持ちが一旦冷却できると、上司との関係もまた違うものに感じられるようになることもあります。
上司と合わないと思う理由に、情状酌量の余地はやっぱり何もないのか。今は無理でも、時間がたったらそう思える可能性はないか、もう一度「何がそんなに嫌なんだろう?」「やっぱり、どうしても相容れないものなのか?」と考えてみましょう。
たとえば、性格的にどうしても合わない上司を、「仕事」と割り切って、自分の仕事に集中することで乗り切れないか。
無責任だったり、自分の仕事をしなかったり、手際が悪い上司も、「人は人、自分は自分」と割り切れないか。
いつもイライラしていて、感情的な人、無口でコミュニケーションが取りにくい、人の話を聞かない、なんでも他人のせいにしてしまうような上司を、「この人もこんな対応ばかりしていたら、人に好かれないし信頼されないし、かわいそうな人だな」と思うことはできないか。
いろいろな視点から考えてみて、「やっぱり無理だな」と思ったときは、いよいよ転職活動を始めるタイミングかもしれません。
迷う時こそ一歩踏み出してみよう
上司と合わない状態でも、「辞める」という決意が固まらないのは、
「仕事にはやりがいを感じている」
「待遇は文句ない」
「会社のことは好き」
「同僚との人間関係はいい」
「ここで逃げたくない」
など、様々な「辞めたくない」あるいは、「だからと言って辞めるのは悔しい」理由があるからかと思います。
そんな思いとの板挟みで、どこで「見切り」をつけたらいいのか、モヤモヤする気持ちが止まらなかったら、辞める・辞めないは別にして、一度仕事を続けながら転職活動をしてみるのもいいでしょう。
実際に転職エージェントに客観的な立場から話を聞いたり、面接を通じて他社の社員に接したりするなかで、自分の考え方も変わってくる可能性があります。
行動を起こしてみれば、「やっぱり、もう少しがんばってみよう」と気持ちがリフレッシュできるかもしれません。そこで自分の考え方や接し方が変われば、相手も変わる可能性も十分にあります。
反対に、社外の人と接するなかで何か踏ん切りがついて、「もう未練はない」とすっきり辞める決心がつくかもしれません。
迷ったときこそ、考え方や状況の見方が変わるような情報を得るために、いつもと違うアクションを起こしてみましょう。