いつも一緒に仕事をし、自分の仕事を評価する相手である「上司」。
この上司とうまくいけば、仕事は楽しいですし、仕事を通じた成長を実感できますが、「上司と合わない」となったら、それはもう憂鬱ですし、会社だって辞めたくなってしまいます。

「また今日も、あの顔を見て仕事するのか…」
「今日は何を言われることやら…」

こんな重い気持ちを抱えていたら、仕事でいいパフォーマンスは発揮できません。そうなれば成果を上げること、そして仕事を通じて成長することなど、もはや無理難題といえるでしょう。

だから、「上司と合わないから辞めたい!」と思ったら、それで転職してもよいと思います。実際に、転職理由の本音は上司をはじめとする職場の人間関係が原因のことが多いのですから、辛い状況に無理をする必要はありません。

しかし、我慢する必要はありませんが、辞める前にできることはあるかもしれません。

辞めるのは、「合わない上司がいる」この状況だからこそ得られる学びを得てからにしてみませんか?

なぜ自分と上司は合わないのか?を冷静に見つめ直す

そもそも

ときには、「生理的にどうしても無理」というケースもあるかとは思いますが、多くは、

・仕事に対する取り組み方、スタンスが合わない。
・仕事に対する考えが合わない。
・仕事の進め方やスピード感が合わない。

といった、仕事に対する価値観や行動の違いから、「合わない」という思いが生じているのではないかと思います。

上司と自分はいったい何が合わないのか。

「嫌い」という感情をまずは横において、「自分はどんな考え方・スタンス・行動で、それが上司とどう異なり、何故合わないのか。理解し合えないのか」と、冷静に自分と合わない理由を考えてみましょう。

なぜ上司はそういう言動をとるのか?を考えてみる

上司と自分の何が合わないのかがはっきりしたら、もう一段、客観的になって、「どうして上司はそういう言動をとるのか?」を考えてみましょう。

たとえば、営業部署で上司は数字のことばかりいうけれど、自分はもっと顧客視点にたった営業活動をしたいと思っている。そんなときは、「どうして上司は、数字のことばかりいうのか?」を少しだけ想像してみてください。

経営層など自分より立場が上の人には、いい顔をするけれど、部下には厳しい上司は、なぜそんな対応をするのか。

お客様のためでなく、社内のパワーバランスのために仕事をしている上司は、なぜお客様に目が向けられないのか。

指摘が細かい上司は、なぜそこまで細かく言うのか。

そこには、きっと上司なりの考え方があったり、コンプレックスや自信のなさの裏返しだったり、それが理解できるにせよ、できないにせよ、何かしら理由があるはずです。

「そういう、嫌な奴なんだよ」で済ませず、少しだけ寛大な気持ちをもって、上司の考えや立場も理解できるところがないか、距離をおいて考えてみましょう。

苦手な相手の立場にも立てるようになると、何かが変わる

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性格的な「合う」「合わない」はどうしようもないものがありますが、相手がなぜそうしているのか、相手の目線や立場を想像してみると、今とは違う答えがみえてきたり、相手の見方が変わったりすることもあります。

「うーん、イライラしても仕方ないかも」と思えたら、「合わない」と感じていたストレスが減っていくかもしれません。

今は確かに売り手市場で、次の仕事も見つかりやすいですが、もし今の職場の問題が上司との人間関係だけならば、転職するよりも今の上司とうまくやり過ごせるようになったほうが幸せなこともあります。

自分と合わない相手であっても、相手の目線で物事を考えられるようになる。


もしこれができるようになれば、あなたのコミュニケーション力や対応力は格段にアップします。

「コミュニケーション力とか、対応力いらないし!」と思うかもしれませんが、ここで身につけたその力は、これから仕事をする上で必ず役に立ちます。なぜなら、どんな会社に転職しても、自分に合わない人は必ずいるからです。

そんなとき、相手の目線で物事を考えて状況を客観的に捉え、うまくやり過ごす力があったら、自分が感じるストレスも少なくなります。この対応力は、周囲といい関係構築をするためだけでなく、自分自身を守るためにも、役に立つのです。

「上司と合わない」ような状況は、ないに越したことはありませんが、直面してしまったら、せめてその状況をしなやかに生きる力を身につける機会と捉え、辞める前に何か次に活かせる学びを得ていきましょう。

ちなみに、学びを得るまで辞めないようにという意味ではありません。転職活動を始めても、実際に転職先が決まり、退職するまではいくらか時間があると思います。その時間を、上司との向き合い方を変えることで有効活用していってください。

「ホント、嫌でたまらない」という「気持ち」だけで状況を捉えるのではなく、少し冷静になって客観的になってみると、きっと次の転職先での上司との付き合い方に役に立つ教訓が見つかると思いますよ。