上司は部下を選べることもありますが、部下は上司を選べません。
理不尽な対応や仕事を任せてもらえない等、どうしても合わない上司との人間関係に疲れ、退職したくなることもあるでしょう。
しかし、「上司と合わない。」と退職する前にできること、すべきことがあります。辞める前に、一歩踏みとどまってみませんか。
自分の対応を変えることで相手が変わることもある
「苦手だ」「合わない」と思っていた上司でも、自分の対応を変えることで、苦手と思わなくなったり、相手も変わったりすることもあります。
人間関係は鏡と一緒です。こちらが「合わない、苦手だ。」と思えば、相手が好意を持つことはありませんし、自分の中で苦手意識がなくなれば、相手の対応が変わってくることもあります。
「合わない」と考える上司の対応の原因が、あなたにあることもあります。
苦手な人、合わない人を克服した経験はこの後必ず役に立ちます。退職する前にもう少しだけ、状況を改善できないか次のことをトライしてみましょう。
今は「合わない上司の対処法を学ぶとき」と思ってみる
社会人として企業で働く以上、「苦手な上司」「嫌な上司」など合わない上司との出会いは必ずどこかであります。今がその「合わない上司の対処法を学ぶ時」だと思いましょう。
対処法のポイントは大きく3つです。
1)上司のタイプを把握し、そのタイプに合わせた対応をする。
2)感情的にならずにやり過ごす。
3)相談できる「上司」を持つ。
まずは上司のタイプを把握し、部下に何を求めているのかを理解し、それに応えることに徹しましょう。
例えば、「言われたことだけやってくれればいい。」と考えている上司には、プラスαの提案などせず、言われたことだけをする。仕事のチェックが細かい上司には、自分が必要と思う以上に、逐次細かく進捗報告をする。部下に責任転嫁をしがちな上司には、「何かあったときの責任は自分だ」と思って、何か起こらないようにあらゆるリスクを考え、事前に打つべき手を打つ。理不尽な要求には、「仕事の対応力を上げる時期」と割り切る、等です。
このような対応は、自分の仕事のスキルや対人対応力を上げる機会になります。
また、「感情的にならずに、仕事と割り切ってやり過ごす。」のも大切です。「人間的に合わない。」にせよ、「仕事がやりにくいから合わない、仕事のスタイルが合わない。」にせよ、滞りなく事業推進できるように仕事を進めるのがプロです。
「合う、合わない」の感情的な判断ではなく、「仕事を滞りなく進めるためにはどうしたらいいか。」と、仕事がうまく進めることだけに専念するようにしましょう。上司に期待しない、諦めるという「見切り」を学ぶ時です。
有効なのは社内に上司への対応を相談できるメンター、精神的な「上司」を持つことです。かつての上司や、今の「上司の上司」など、同僚ではなく「今の上司と同階級以上」の管理職のメンターを見つけましょう。
聞いてもらうのは、愚痴ではありません。よほど親しい間柄ではないかぎり、愚痴は「今の上司とどうもうまくいかない。」程度にし、「それでも仕事をうまく進めるためには、どうしたらよいか。」「どのような対応をすれば、今の上司とスムーズに仕事ができるのか。」と前向きに相談し、アドバイスをもらいます。
「今の上司と同階級以上」の管理職を選ぶ理由は、「合わない上司」の同僚や上司である彼らは、適切な対処法を知っている可能性が高いからです。
また、あなたが上司と合わないことを相談しておけば、上司に働きかけて働きやすい環境になるように意識してくれたり、異動できるように力添えしてくれたりするかもしれません。
合わない上司ほどコミュニケーションを密にしてみる
上司と合わないと、コミュニケーションも疎遠になりがちです。仕事の報告・連絡・相談も必要最小限にすませたくなってしまいますが、それは逆効果です。
上司の視点から見ても、コミュニケーションをとらないあなたの評価は下がり、ますます対応や状況が悪くなってしまうかもしれません。合わないと思う上司ほど、コミュニケーションは密にとることを心がけましょう。
朝や帰りの挨拶も、できれば笑顔で。笑顔が無理なら、せめて相手の目をきちんとみて気持ちよく「○○課長、おはようございます。」「○○課長、おつかれさまです。」等、名前を呼んで挨拶しましょう。
人は名前を呼ばれると、心理的に「相手に認めてもらっている。」と感じます。その積み重ねで、心象がよくなります。
また仕事と割り切って、仕事の報告・連絡・相談も極力密に行いましょう。頼りにされると嬉しいタイプの上司なら、「ぜひ意見を伺いたいのですが…。」と相談を小まめに行い、褒められるのが好きなタイプなら、「さすが○○課長!」と折に触れ一言添えるなどもしてみてください。
自分を頼りし、コミュニケーションを積極的にとってくる部下を怪訝に思う上司は、そうはいません。上司もあなたに対し、好印象を持つようになるでしょう。「合わない」と思っていた上司の懐に入ってみれば、「合わない」と思わなくなっていた…ということもあるかもしれません。
上司や自分の異動の可能性を探る
企業によっては、2~3年単位で人事異動が行われます。中小企業などで異動先がないという場合は別ですが、あなたか上司のどちらかが異動する可能性も大いにあります。
「上司と合わない」という理由は聞いてはもらえませんが、社内に興味がある部署があれば、「○○の部署で××をやりたい」と人事に自分のキャリアプランに異動が必要なことを訴えてみましょう。
そのキャリアプランに合理性と熱意があれば、異動が実現する可能性は高くなります。
転職は「最終手段」。タイミングも見極めて
上司にどんなに努力をしても上司との人間関係や、自分のストレス状態が変わらないこともあります。サービス残業を強いられる、ハラスメントに近い対応をされるなどの状況であれば、心身に影響が出る前に転職を考えましょう。
ただし、タイミングは十分見極めてください。例えば、あまりにも短い在籍期間は、転職活動でマイナスになります。今の企業で働いて1年未満の場合には、在籍期間が1年以上になるまではなんとか頑張ってみましょう。
また、転職市場環境や職種によっては、すぐに仕事が見つからないこともあります。転職活動は限り、在籍しながらすることをおすすめします。