企業の採用意欲がそれほど高くない時期は、中小企業から大企業に転職するのは正直言えば簡単ではありません。

しかし、バブル期をも超える求人倍率という企業の採用意欲が高く売り手市場の今は、大企業に転職できる可能性も高くなっていると言えます。

このチャンスに中小企業から大企業への転職を実現しやすいのは、どんな人なのか。

あまり語られることの少ない採用側の本音とともに、ご紹介したいと思います。

その1:高学歴を持つ

気持ちを正社員

こんな話をすると、あまりにも生々しいかもしれませんが、残念ながら現実的には、中小企業から大企業に転職できる前提条件として、まず始めにクリアすべき条件がこの学歴です。

いくら売り手市場とはいえ、大企業の求人には多くの転職希望者が応募します。そのなかで全員に会うわけにもいきませんから、一定の基準で書類選考をすることになります。その能力やポテンシャルの高さを測る一定の基準の1つが、学歴になるわけです。

もちろん優秀な人材が必ずしも高学歴というわけではありませんし、高学歴だからといって必ずしも優秀なわけではありません。そんなことは企業の人事採用担当も十分に承知しています。

しかし「優秀な人材の出現率」を考えたときに、大企業は「高学歴のほうが優秀な人材の出現率が高い」ということもまた、経験値として知っています。そして応募者全員に会う時間とマンパワーがないために、多くの大企業ではやむを得ずに優秀な人材が出現する可能性が高い学歴を1つの基準として判断をすることになるのです。

学歴の目安はGMARCHレベル以上ですが、前職が大企業であればその職歴がプラスとなってこの限りではないでしょう。

その2:20代である

30才を超えているということは、大学を卒業して7~8年経過していることになります。社会人として7~8年目となると、在籍している企業や業界の仕事の仕方や特徴などがかなり染みついています。

中小企業の7~8年目と大企業の7~8年目は、仕事への向き合い方から仕事の進め方、担当してきた仕事の規模、動かしてきた人の人数などいろんな意味で違います。どちらがいい、悪いの問題ではないのですが、とにかく「違う」ため、30代になってからその「違う」世界に転職するのは転職するほうも、受け入れるほうも、なかなか大変になります。

だからこそ大企業も、あまり「色」がついていない20代の若手社員のほうが自社の社員として育てやすく、社内にも馴染みやすいのではと考えます。

中小企業から転職するのであれば、20代のうちのほうが転職しやすいでしょう。

その3:技術職である

求人倍率は職種によって異なります。パーソナルキャリア株式会社が運営する転職情報サイトDODAが発表した職種別の求人倍率によると、IT・通信分野の技術者なら、その求人倍率は7.04倍。電機・機械分野やら4.21倍です。

これら技術系の職種は、企業の求人ニーズに対して圧倒的に転職希望者が少ないため、該当する職種であれば中小企業から大企業への転職の可能性は格段に高くなります。

20代であればさらにその可能性は高なりますし、また大企業が必要としている技術をもっているならば、学歴もさほど関係なくなるでしょう。

その4:第二新卒で卓越したコミュニケーション能力と
人とは違う骨太な経歴を持っている

これは大企業で第二新卒のポテンシャル採用枠を狙うパターンです。

卓越したコミュニケーション能力と、人とは違う骨太な経歴を持っている場合、そのポテンシャルに可能性を感じてもらい、学歴に関係なく大企業に採用される可能性があります。

人とは違う骨太な経歴とは、たとえば

・学生時代にインターンシップで何か賞を受賞した。
・ベンチャー企業でアルバイトをしていて著しい成果をあげた。
・資金をファンドレイジングして何かを成し遂げた(イベントの開催や社会貢献事業など)。
・企業と合同で製品やサービスを開発し、それがヒットした。
・SNSなどを活用し、かなり大きな規模のコミュニティを組織した

など、行動力や実行力、企画力などの高さが証明できるような経歴を指します。

こうした経歴を持っている場合には、卓越したコミュニケーション能力を兼ね備えていることがほとんどではありますが、このような実績を職務経歴書や自己PRなどの書面できちんと表現でき、さらに面接できちんとPRできれば、ポテンシャルの高い人材として、採用される可能性は高くなるでしょう。

その5:業界で突出した業績を持つ

どんな業界でもどんな職種でも、突出した業績をもっていれば上記の条件に当てはまらなくても、中小企業から大企業への転職も可能になります。

たまたま大企業が必要としている技術や能力、経験を持って入れば、30代前半くらまでは検討してもらえるかもしれませんが、それでもできれば、20代のほうが転職しやすいのは、言うまでもありません。

大企業に転職したい気持ちがあるなら、まずはチャレンジを

転職を考える時には、「評価してもらえるような経験や実績がないと…」と考えがちですが、中小企業から大企業への転職が成功する場合には、「ポテンシャル」を買われることも多いため、大企業に転職したいと考えるなら、早めの決断をするのがおすすめです。

ただし売り手市場とは言え、大企業は「大企業出身者」からの応募もあり、競争率は高いのはいうまでもありません。

そのなかで経歴の比較をする際には、同じような規模の大企業の出身者のほうが、親和性が高くなり、評価もされがちになります。だからこそ、中小企業から大企業への転職を希望するならば、書類作成や面接対策など準備を万全に行い、挑むようにしてください。

いろいろ条件としてご紹介させていただきましたが、ここで挙げたのは、あくまでも一般的な例で、もちろん例外もあります。

繰り返しになりますが、今はバブル期以来の求人倍率で、企業の採用意欲が高い時期です。この機会に中小企業から大企業に転職したいと思ったならば、ぜひ全力でチャレンジしてみてください。

内定の可能性をより高めるために、もし私たちキャリアコンサルタントの力を必要としていただけたら、全力でサポートさせていただきます。