子育てが一段落ついたから。やっぱり仕事が好きだから。家計をしっかり支えたいから。
結婚して主婦になって、一度は辞めた正社員の仕事。様々な理由から「やはりもう一度正社員に。」と思っても、主婦から正社員になるのは決して簡単な道のりではありません。
しかし、もちろん不可能でもありません。今までの経験に加えて、少し意識を変えれば、主婦から正社員となる道のりはぐっと近くなります。では意識をどのように変えていけばいいのでしょうか。そのポイントが、次の4つになります。
1:「自分の都合と理想」だけを主張しすぎない
主婦として育児も家事もこなしながら、働かなければならない。そう考えると多くの女性が、勤務先に様々な条件を求めてしまいます。
・残業はできない。
・土日は仕事ができない。
・子どもに何かあったときには、遅刻・早退・欠勤など柔軟に対応してほしい。
・○○業界(○○な仕事)はイヤ。
・収入はこれくらいないと困る。
・結婚前は大手企業に勤めていたし、再就職もやはり安定している大手企業に勤めたい。
・今までの経験があるのだから、○○の仕事でないとイヤ。
など、つい自分の都合と理想を主張しすぎていませんか。
なかには「自分としては、どうしても譲れない条件」もあるでしょうが、「どうしても譲れない条件」は多ければ多いほど、正社員としての再就職の道は険しくなります。
主婦だからこそなかなか「都合」がつかない事情もありますが、主婦でも採用されるのはその「都合」をなんとかつけようと、企業の立場に立って努力ができる人です。正社員とは、「雇用は保証するので、企業の都合に合わせて働いてください。」という立場なので、それが当然の筋になります。
「正社員にはなりたいけれど、自分の都合は優先したい。」では、再就職はなかなかうまくいきません。自分の都合ばかりを主張する姿勢は、「一緒に働きにくそうな人」という印象となり面接にマイナスの影響も与えてしまいます。
再就職先に対して様々な希望や条件がある場合には、妥協できる条件がないか、もう一度点検してみましょう。
2:パートや契約社員から働くことも視野に入れる
退職してからの離職期間(ブランク期間)が長い場合、最初から正社員として働くのは難易度が高いことがあります。
目安として、一度正社員としての仕事を離れて2年以上のブランク期間があると、中途採用ではマイナス評価となります。実際に内閣府の「平成18年版国民生活白書」でも、企業の9割が「中途採用で2年以上の離職期間だとマイナス評価になる」と回答しています。
正社員への転職では、このように離職期間がマイナス評価になりますが、パートや契約社員であればそれほどは影響しません。そのため、実際に主婦から正社員となるのは、こうした非正規雇用としてある程度働いてからの登用というケースが多いのです。
まずは採用のハードルの低いパートや契約社員から仕事を始め、その仕事ぶりや人となりを理解してもらった後ならば、「正社員になりたい。」という希望も叶えやすくなります。あなたが安心して仕事が任せられる働き方をしていれば、企業も前向きに検討してくれるでしょう。
離職期間が長い場合には、最初から正社員になることにこだわりすぎず、パートや契約社員として入社し、仕事ぶりを認めてもらってから正社員へ登用してもらうことも考えていきましょう。
3:自信は持つがプライドは捨てる
面接では、今までの自分の仕事や経験に自信を持つことはとても大切です。その自信が、あなたを「仕事を任せて安心な人」に見せるからです。
しかし、「私はこれだけのことができる。」というプライドを全面に押し出すのはマイナスになる可能性が高いといえます。
結婚前にどれだけ素晴らしいキャリアがあって、大手企業や有名企業で働いていたとしても、一度退職をし、仕事をしていない主婦としての時間(ブランク期間)が長くなれば、前職と同条件・同規模・同待遇で働くのは、残念ながらほぼ不可能です。
そのため、再就職先は前職よりも企業規模や待遇面で多少なりとも下がるのが一般的です。その時に、キャリアや職歴に対してプライドが高すぎると、「扱いにくそうな、一緒に仕事がしにくい人」になってしまいます。
主婦が正社員になるためには、どんな仕事であれ、「一緒に仕事がしやすそうな人」「仕事を任せられる安心感のある人」と感じられることが一番の武器になります。そのためにも自分に自信を持ち、そして余計なプライドは捨てましょう。
4:「資格」を頼りにしすぎない
正社員として再就職するには、資格でもないと…と思ってしまう方も少なくありません。しかし、資格は万能ではありません。資格が正社員としての再就職に本当に有利となるのは、
・今までの経験を裏付けるような資格取得(例:経理事務の経験があったので、簿記2級を取得した、など。)
・資格がないとできない、求人需要の高い介護福祉関連職
のいずれかでしょう。全くの未経験から取得しても結局経験者優先となったり、そもそもその資格を活かせる求人が通勤範囲になかったりすることもあります。
「正社員としての再就職のために何か資格を・・・。」と思ったら、自分の経験に関連のある資格を探し、さらにその資格が活かせる求人が通勤圏にあるか、きちんと調べてからにしましょう。
※「再就職には資格が有利」というわけでもありません。資格の現実を知っておきましょう。
→ママでも仕事をするには資格が必要?の誤解と現実と理想の話
主婦の一番の強みは「ヒューマンスキル」。
「一緒に働きやすい人」を目指そう
「私には今まで、○年の業務経験がある。」
「これだけの実績を残してきた。」
「こんな資格がある。能力がある。」
一時は仕事を離れたとはいえ、かつて働いた経験も実績もあります。だからこそ「この経験があるのに、どうしてなかなか採用されないの?」と思ってしまうでしょう。
しかし採用側からすれば、主婦が独身時代に働いた経験は、採用の大きな決め手とはなりえません。
何故なら、実務経験ならブランク期間がないほうがよく、同じ資格や能力を持っている人なら若い方がよく、多少の経験と能力の差なら子どもの事情で早退・遅刻・欠勤のリスクのない「主婦以外」のほうがよいからです。本当に残念ですが、主婦が正社員になりたいと思っても、ハンデが多いのが現実です。
しかし、「主婦」を経験したからこその強みもあります。それが結婚をし、子どもを育てたからこそ得られる「ヒューマンスキル」です。
周囲の人とうまくやっていくコミュニケーション力。
相手が必要とすることを察する力。
その場が上手く回るように立ち回るサポート力。
複数の物事を効率よくこなすための段取り力。
他にも、主婦の経験を経て身につけた能力はありませんか。若手の人材にはないその「ヒューマンスキル」こそが、年齢やブランクなどのハンデを超えて「この人に職場で働いてほしい。」と思わせる決め手になります。
主婦だからこそ身につけたヒューマンスキルを持って、正社員としての意識と責任を持って仕事に臨む。面接のときからその意識を持つことが、主婦から正社員になるためにとても大切なのです。
※主婦の再就職が成功するポイントをこちらの記事でも確認しておきましょう。
→子持ち主婦の再就職・成功する主婦はここが違います