出産・育児のために仕事を離れてから数年。子どもの手も離れてきたし、そろそろ再就職をしたいけれど、主婦の再就職は資格があったほうがいいのだろうか・・・と考える主婦も少なくありません。

確かに、仕事から離れて長いブランク(離職期間)を少しでもリカバリーするために、資格取得は有効な手段に見えてしまいます。しかし主婦の再就職に、資格が必ずしも有利に働くわけではありません。

資格取得の前に、ちょっと立ち止まって再就職で大切なことを考えてみませんか。

主婦の再就職に資格が有利になるのはどんな時?

資格が有利

資格よりも大切なことは何か?を考える前に、まずは主婦の再就職に資格が有利になるのはどんな時かを考えてみましょう。主にそれは次の2つのパターンです。

1)今までの経験のプラスαにつながる資格
2)仕事に資格が必要な職種で、かつ求人需要の高い職種

1)の場合は、例えば「今まで経理事務をしていて、これからも経理の仕事をしたいから、簿記2級を取った。」「人材ビジネス関連の経験があり、キャリア・コンサルティング技能士を取得した。」等の場合です。これらの状況では、今までの経験に資格がプラスされ、再就職にも有利になるでしょう。

2)は、介護福祉関連職が該当します。資格がないとできない仕事であり、かつ極めて求人需要が高いため、資格を取得すれば再就職に有利になります。

また、有利になるとまではいきませんが、「パソコン操作ができないけれど、事務職で再就職したい。」という場合には、パソコン関連の資格を学べばまずは必須の求人条件を満たすことができます。

もし自分の状況がこの2つに当てはまらないのであれば、「再就職に有利になるように何か資格を…。」と思う前に、ぜひ考えてみてほしいことがあります。

「やりたいこと優先」か「再就職優先」か、見極めて

それが今回の再就職が、「自分のやりたいことが先」なのか、「とにかく仕事を見つけて、再就職するのが先」なのか、どちらなのかを決めることです。

再就職に人気と言われる資格の中でも、実際には求人需要があまりない職種や、主婦が再就職して仕事をするのは現実的には厳しい職種もあります。

それでも、その資格が自分のやりたいことであれば、資格取得し再就職に時間がかかったり、結果的に再就職できなかったりしても決して無駄にはなりません。
たとえば、インテリアコーディネーターやネイリスト技能検定などは主婦に人気の資格として紹介されていますが、それを活かして再就職先を探すのは現実的にはかなり難しいでしょう。しかし自分の好きなことならば、学んだことは日常生活でも役に立ちますし、「見つかるまで頑張ろう」と思えます。

それが、「再就職に有利と聞いたから。」という理由でその資格を勉強してしまうと、お金も時間も無駄になってしまいます。

もし「とにかく再就職が先」という状況ならば、資格がなくても再就職できる仕事はたくさんあります。それでも「確実に再就職したいから、そのための資格を探したい。」という方は、次のような視点で取得すべき資格を探してみましょう。

その資格はホントに需要ある?勉強の前に確認を

再就職のために資格を勉強しようと思ったら、勉強を始める前に地域の求人情報誌や転職情報サイトで、その資格の求人需要を確認してみましょう。

「再就職に役に立つ」と言われる資格でも、地域によってはすでに需要が満たされていて、再就職先がないこともあります。高額な費用や難しい勉強が必要にも関わらず、いざ資格を取得しても求人そのものがほとんどないこともあります。また、なかには資格を取得したからといって、時給や月収が高くなるわけではない仕事もあります。

資格に対する理想と現実にギャップはないか、自分で確かめてみることが大切です。

たとえば、ある程度どの地域でも求人需要があるのは、介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)や実務者研修(ホームヘルパー1級)、保育士などの介護福祉関連職です。これらの職種は未経験でも需要があります。

一方、医療事務や調剤薬局事務、介護事務、歯科助手などは人気の資格ですし、取得すれば再就職に役立ちますが、人気があるからこそ地域によっては求人が充足し、再就職先がないこともあります。

需要を調べてから勉強すれば、「こんなはずではなかった。」を防げます。インタネットや求人情報誌だけでなく、ママ友に聞いてみてもいいでしょう。「○○の資格を取ったけど、就職口がなくて・・・。」という話も聞けるかもしれません。

資格は万能のように思えてしまいますが、決してそうではありません。「再就職に役に立つ」「主婦の再就職には資格が有利」という言葉に惑わされないように、自分で地域の求人の実態をきちんと確認しましょう。

★資格の現実について詳しく紹介しています。
→ママでも仕事をするには資格が必要?の誤解と現実と理想の話