「自分の経験やアイデアを生かして、仕事をしてみたい。」
「時間を自由に使える仕事がしたい。」
「年齢に関係なく、仕事をしていきたい。」

そんな背景から起業を考える女性が増加し、起業希望者における女性の割合は1979年の調査開始以降、最も多くなっています(中小企業庁 「中小企業白書2014」)。

女性起業家が起業した年齢を見ると、「40~49歳(32.9%)」と最も多く、次いで「30~39歳(31.2%)」と子育て世代が起業していることがわかります(日本政策金融公庫総合研究所 「女性起業家の開業」 2013)。

今や珍しくなくなった主婦起業。「私も!」と思ったら、起業前に失敗しないための心得を確認しておきましょう。

1:起業のメリットはデメリットにもなる・・・前向きな心の準備を

心の準備

SNSやブログを活用して少ない広告費で集客することも、ネットショップで固定費を極力抑えて店舗を構えることも可能になった今、主婦が起業するハードルもかなり低くなってきました。

「私も起業してみようかな。」と思う背景には、起業のこんなメリットが魅力に感じられるからではないでしょうか。

【起業のメリット】
・自宅でできる。
・時間を自由に使える。
・職場の人間関係などのストレスに煩わされずに済む。
・自分の得意分野や好きなこと、経験を活かせる。

確かにこれらは大きなメリットですが、メリットはいつでもデメリットと表裏一体。これらのメリットも、起業のデメリットとしてこのように言い換えることもできるのです。

【起業のメリットをあえてデメリットに言い換えると…】
・自宅で仕事をするため、家族に家事や用事を頼まれやすく、仕事に集中できない。
・自由なので、自己管理力が必要。「ついつい」でさぼりがち、継続できなくなることも。
・相談相手がいなく、孤独になる。
・自分の得意分野や好きなことが、市場ニーズに合わず売上・収入にならないこともある。

デメリットを見て、「やっぱり難しそう」とひるむ必要はありません。起業をするために最も大切なのは、ワークスタイルのメリット・デメリットという問題ではなく、「これを仕事にしたい」という強い思いです。

その思いを貫くためにも、起業のデメリットにもきちんと目を向けて、「こんなはずじゃなかった。」とならないように心の準備と対策をしておきましょう。

2:「収入増加」だけを目的にしない

起業の魅力の1つに、「収入アップの可能性」があります。起業すれば確かに自分の努力とやり方次第で、収入アップも可能ですが、それだけを目的にすると行き詰ってしまう可能性があります。

参考までに、一般的に起業後の手取り収入の月額は、女性の場合4人に1人(26.7%)が10万円以下。約半数の49.2%が20万円以下となっています(中小企業庁委託 「日本の起業環境及び潜在的起業家に関する調査」 2013 年 12 月、三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング(株))。

さらに起業したら、顧客や販路の開拓も全て自分で企画して行わなければなりません。思わぬ長時間労働になることもあり、働く時間を考えたら、パートや派遣社員などで働く方が時給も高く確実に収入が得られる・・・ということもあるでしょう。

その時に収入だけを目的にしていると、「思ったほど儲からない。」と事業は続けられなくなってしまいます。起業の際には、自分が提供したいサービス価値、社会的な意味、自分の中でのやりがい等、収入以外の目的も明確にしておきましょう。

3:家族の理解と協力体制を確保する

企業に勤めることに比べれば、自宅での起業は仕事の都合がつけやすいように見えます。しかし、それは勤務時間が少なくて済むというわけではありません。

起業して事業が軌道にのってくれば仕事が忙しくなり、家事や育児、介護などとの両立が大変になることもあります。「時間がない」と、会社員時代と同様の問題がやってくるかもしれません。

「自分で(自宅で)仕事をしている」となると、「都合はいくらでもつけられるだろう」と、夫からの家事や育児の協力が得られにくいこともあります。そのためにも、資金的な理解だけでなく、時には家事や育児も協力してほしいと、夫の理解と協力を得ておきましょう。

また、自宅でサロンや教室などを開く場合には、他人が自宅に来ることに対して夫や子どもの理解がなければ続けられません。

主婦の起業では、自分が事業に対して時間と情熱をかけることに対する家族の理解と協力が欠かせません。家族の理解がなければ、起業も断念せざるを得ませんが、家族に応援してもらえれば何よりもの力になります。

起業を考えたら、自分の時間をどれくらいそこに注ぎ込みたいのか、どんな協力をしてほしいのか、資金はどれくらい必要でどのように工面するのかなど、家族ときちんと話しあっておきましょう。

失敗も経験~楽観しすぎず、恐れすぎずに

起業希望者における女性の割合は増加しています。しかし、実際に起業した起業家に占める女性の割合は30.3%と、1979年の調査以降最も低くなっています(中小企業庁 「中小企業白書2014」)。

これは、家庭との両立や社会経験不足などの様々な問題に直面し、起業を希望していても途中で女性が断念してしまっているためです。

安易に起業をしても立ちいかなくなる可能性もありますが、最初から完璧な事業計画を立てることが事業の成功に必要なわけでもありません。

どんな経験も糧になります。小さく始めた起業は失敗や損失も小さくて済みますし、途中で軌道修正することも、次の経験に活かしていくこともできます。

失敗は成功のもとです。「起業をしたい」と思ったらその思いを大切にして、一歩を踏み出してみましょう。