仕事でわからないことを聞くと嫌な顔をされる、イライラされる。
質問すると面倒くさそうな顏をされて、何だか嫌な気持ちになってしまう。
そんな思いから、仕事でわからないことを聞くことを躊躇してしまったり、仕事そのものが苦痛になったりしていませんか。
人にわからないことを聞くのに抵抗がある、申し訳ないと思う人もいるかもしれませんが、仕事でわからないことは誰にでもあります。それを確認するのに、何も躊躇うことはありません。
ただしわからないことを聞くときには、社会人のマナーともいうべき、暗黙のルールがあります。質問すると嫌な顔をされてしまうことが多い場合、もしかしたら知らないうちにこのルールを破ってしまっているのかもしれません。
仕事がわからないことを聞くときに大切な、暗黙のルール。ここでしっかり確認しておきましょう。
1:聞く前に自分で調べる
人に聞く前に、まず自分で調べる努力をしてみましょう。
わからないと思ったことも社内の今までの資料やマニュアルを見れば、解決することもあります。また、その業界の専門知識などに関するものであれば、インターネットで検索すればわかることもあります。
そして自分なりに答えを見つけたら、「ここがわからないけれど、調べてみたらこうだった。これで合っているか。」と「答え合わせ」をするつもりで聞くようにしましょう。
「自分で調べるよりも、わかる人に聞いたほうが早い。」という考えの方もいます。確かにいつまでもわからないで調べているよりは、聞いてしまったほうが早い時もありますが、あまりにも自分で考えずに簡単に人に聞いたことは、簡単に忘れてしまうものです。
聞く前に自分の頭を使って調べたことは、その分身に付き、忘れにくくなります。調べた結果、自分なりの答えも見つからなかった時にも、
「ここまでは自分で調べたけれど、ここから先がわからない。」
「調べてみてこう認識しているけれど、これで合っているかわからない。」
と自分で考えた結果を確認するというスタンスで質問したほうが、仕事に対する前向きな姿勢が伝わり、相手もより気持ちよく教えることができます。
ただし、内容によっては社内の資料やインターネット等で調べることができないものもありますし、調べ方そのものがわからないこともあるかと思いますので、その際は次の「『わからない』の内容を整理する」ことから始めましょう。
2:「わからない」の内容を整理する
仕事でわからないことを聞く前に、「わからない」の内容を自分なりに整理してみましょう。具体的には、
・今自分がやっている業務の内容と作業の状況。
・どこまでわかっていて、どこからわからないのか。
について、質問する相手がわかりやすいようにポイントをまとめます。聞く前に自分でわからない状況を整理することで、質問した後もより理解も深まるでしょう。
もし、「何がわからないのか、わからない。」「どこから手を付けていいのか、わからない。」という状況でならば、正直にそれを伝えましょう。
3:「お忙しいところすみませんが、今ちょっといいですか。」の一言を
「質問をするタイミングが掴めない。」
「忙しそうだから、邪魔をしてはいけないと思って声をかけられない。」
と質問するタイミングがなかなか掴めない方も少なくありません。その気遣いはとても大切ですが、外から伺っているだけでは、ベストなタイミングはなかなかわかりませんし、その間は自分も仕事に集中できなくなります。
わからないことを聞くタイミングは、「わからない」と思い、自分なりに調べてみた直後です。
相手がよほど忙しそうにしているのではない限り、「お忙しいところすみませんが、今ちょっと聞いてもいいですか。」と一言、相手の都合を確認してから聞けば、どんな時でも失礼にはなりません。忙しそうに見えても手が止められる時には、教えてくれるでしょうし、本当に忙しいなら「じゃ、後で。」と後で時間を作ってもらえるからです。
また、質問する相手(教育担当の先輩や上司)がいつも忙しいような場合は、「わからないことがあるのですが、後で時間をもらえませんか。」と確認してみましょう。
自分の仕事を中断されるのが嫌なタイプでも、「後で時間が欲しい。」と希望を伝え、予めスケジュールに入れてしまえば、現在進行している仕事を中断することにはならず、教えてもらいやすくなります。
4:教えてもらう時はメモをとる
教えてもらう時には必ずメモをとりましょう。「仕事でわからないこと用」のノートやメモ帳を用意し、それに質問した内容とわかったことを書いて、同じことで何度も質問をしない努力をしましょう。
ある小売店に入社した新入社員のAさんは、「わからないこと用のメモ」をポケットにいつも入れておき、業者の社名や担当者の名前から、業務ルール、専門用語から業界用語まで、仕事でわからず人に聞いたことは全てそのメモ帳にメモしていました。さらに家に帰った後、その日にメモしたことを必ず一度見直していました。
そのためAさんは仕事を覚えるのが非常に早く、小まめにメモを取る真面目な姿勢に、周囲の上司や先輩も気持ちよく教えることができたそうです。
メモを取れば、覚えやすいだけでなく、後で確認できますし、「メモを取る」という積極的な姿勢が相手に好印象を与えます。
「仕事が覚えられない。」という人に限って、意外にメモを取っていない人も多いものです。「1度聞けば覚えるから大丈夫。」と過信しすぎずに、メモを取る習慣をつけましょう。
5:「ありがとうございました。」と必ずお礼を
そして、上司や先輩、あるいは同僚に仕事でわからないことを教えてもらったら、必ず「ありがとうございました。」としっかりお礼をいいましょう。
「すみません。」と時間を割いたことを詫びてもらうよりも、「ありがとうございます。」と感謝の気持ちを伝えてもらったほうが、教えるほうも気持ちよく教えられます。
たった一言ですが、この一言があるのとないのでは大きく印象が違います。「ちゃんとした奴だな。」と思ってもらえれば、次からの質問に対する対応も変わり、質問もしやすくなります。
慣れないうちは、周囲に教えてもらわなければ仕事が進まないことも多いものです。だからこそ、教えてもらったことへの感謝をその都度きちんと伝えましょう。きちんとお礼が言えれば、次からは相手の対応も変わってくるはずです。
仕事がわからないことは悪いことではない
仕事はチーム全体で進めるものである以上、「仕事がわからないから先に進めない」という状況は、個人の問題ではなくチーム全体の問題です。だから、わからないことを確認するのはとても大切です。
しかし、同じことを何度も聞いたり、相手の都合も考えずいきなり質問を始めたり、自分で何も考えずに質問してしまったりすると、相手もちょっと面倒だな、嫌だなと思ってしまいます。
そうならないように必要なのが、ここで紹介したルールです。意外にはっきり教えてもらう機会がなかったかもしれませんが、ここでしっかり確認して、気持ちよく教えてもらえる人を目指しましょう。