今の仕事が嫌で、やりがいも感じられないし、辞めたいと思っている。
しかし転職するのは、今までの自分の経験で本当に通用するのか不安を感じる…。
そう思い、自分のキャリアに閉塞感を感じる方も少なくないのではないでしょうか。
キャリアコンサルティング・ラボにもそのような不安を感じている方から相談をいただき、弊団体のコンサルタントがアドバイスをさせていただいたことがありました。
それから数か月後。
「アドバイスを元に面接に望んだところ、通過率も高く早期に希望の会社から内定を頂きました。自分で選択し、新たなスタートラインに立つことができ、ご協力に感謝しております」
と、大変嬉しいご報告をいただきました。
この相談者の方のように、「仕事は嫌だけど転職は不安」という閉塞感の突破口は必ず見つかります。もし今モヤモヤしているなら、このように考えてみませんか?
転職の何に不安を感じているのか?を明確にする
今の仕事は嫌だけど転職には不安を感じる時には、まずは何に不安を感じているのかを思いつくままに書き出してみましょう。
ノートの手書きでも、パソコンで整理しても、どちらでも構いません。大切なのは、モヤモヤした不安をちゃんとした言語にすることです。
・今の会社での経験が社外で通用するかどうかわからない。
・転職しても、その会社で成果をだしていけるかわからない。
・大したことをしてきているわけではないので、転職市場では評価されない気がする。
・今の会社では尊敬できる先輩もいなくて、今後の成長が望めない。
・労働時間が長く、長く続けられるか不安。
・今まで上司との人間関係がうまくいかなかったので、転職しても上司とうまくやっていけるかわからない。
などなど、いろいろあると思います。
誰に見せるものでもありませんから、思いつくままにどんな小さなことでも書き出してみましょう。
モヤモヤとした漠然とした思いのままだと「不安」で終わってしまいますが、きちんと言語化していけば、それは「解決すべき課題」であったり、「情報収集の際に確認すべき事項」であったりと、「不安」から形を変え、解消可能なものになっていきます。
たとえば、
・今の会社での経験が社外で通用するかどうかわからない。
・転職しても、その会社で成果をだしていけるかわからない。
・大したことをしてきているわけではないので、転職市場では評価されない気がする。
という不安があるならば、一度転職エージェントに相談し、自分のキャリアの客観的な市場価値をアドバイスしてもらうのもいいでしょう。
自分のキャリアにおすすめの求人情報を紹介してもらえば、たとえ応募しないにしても、「今の自分のキャリアでは、こんなところに応募できるのか」と自分のキャリアを客観的に見つめる判断材料になります。
「転職したいわけではないし、求人情報を紹介してもらうには心の準備がまだ…」という段階であれば、プロのキャリア・コンサルタントからコンサルティングを受けるのも一つです。
また、「今の会社では尊敬できる先輩もいなくて、今後の成長が望めない」のであれば、社外に尊敬できるビジネスパーソンを見つけてみましょう。知人でもいいし、有名な経営者などでも構いません。
その「尊敬できる人」の何を尊敬しているのかを分析しながら、自分は今後どう成長していきたいと考えているのか整理すれば、そのために必要な経験や環境も見えてきます。
「するべきこと」が見えてきたら、不安は少しずつ解消の方向へ向かっていきます。「転職への不安」を感じるなら、その不安を明確にすることから始めましょう。
今の仕事で得られる能力や経験を整理する
たとえ今の業務に、「やりがいを感じられない」「自分に向いていない」と感じていたとしても、この業務を通じて得られる経験や能力は必ずあります。
それを言語化できるように、今の業務を一歩引いたところから客観的に見つめ直してみましょう。
一見自分が嫌だと思っている側面も、違う側面から見れば別の能力が身についていることも少なくありません。たとえば、
・ルート営業で顧客からの要望を確認しているだけで、自分から提案をしているわけではない。提案力がつかない。
→お客様と深く長く信頼関係を築ける能力がついている(雑談力、コミュニケーション能力など)
・社内の調整ばかりで自分の意見がなかなか言えない。
→多くの人の意見を取りまとめ、調整できる力がある。
→社内から信頼され、調整役を任されている。
と、こんな見方ができると思います。
一度違う側面から今の仕事を考えてみることで、「まだやれることがありそうだ」と思えたら、転職しなくても今の職場のままでも心機一転、新たなスタートラインにたてると思います。
そして気持ちが整理された上で、「今の仕事で得られることもあるけれど、もう充分だと思う。やはり転職しかない」と思った時には、漠然と「今の仕事が嫌だから…」と転職を考えていた時よりも不安は減り、覚悟が生まれてきているのではないでしょうか。
ただ、自分で自分の業務を客観視することは、特にその業務を嫌だと思っているときにはなかなか難しいことでもあります。そんなときには、ぜひキャリア・コンサルタントへの相談を検討してみてください。
自分の持ち味を生かせる企業を探す
ここまで整理したうえで「やはり転職しかない」と思えたのであれば、不安は次第に「覚悟」や「決意」に変わってきているのではないでしょうか。
また、ここまで整理してきたことを考えれば、転職先にどんな求人を出している企業を選べば自分の持ち味が活かせ、希望に叶う転職ができるのかも見えてくると思います。
例えば、今まで落ち着いてじっくり業務に取り組むような仕事内容・職場であり、その「仕事のやり方は性に合っていたが、もっとやりがいを感じられる仕事がやりたい」のであれば、基本的には同じようなスピード感の職場で、仕事内容だけが異なるような求人を探せば、自分の持ち味が活かせます。
もちろん、「もっとスピード感がある仕事がしたい」という希望があるならば、今までとは全く違う意思決定や動きの速い社風の企業や、ベンチャー企業に転職するのもいいでしょう。「今とは違う場を選びたい」という意志と覚悟があれば、転職はより成功に近づくからです。
つまり自己分析の結果、「今の自分の現状は●●で、××だから△△な企業(求人)に転職がしたい」という明確なストーリーが自分の中にできれば、自分の持ち味が活かせる企業も見つけやすくなりますし、それを面接で語れば、それが説得力のある志望動機にもなり、希望の転職が叶えやすくなるのです。
自分が積み重ねてきた経験を信じる
そして最後に大切なことを。
今の仕事が嫌だなと思って塞ぎがちな気分になっても、自分が今の会社に入社して数年間の間に積み重ねてきた時間と経験には自信をもってください。
「誰にでもできる、当たり前のことをしかしていないけれど…」
と多くの人は思ってしまいがちですが、その「誰にでもできる当り前のこと」をきちんとできる人を多くの企業で求めています。企業は中途採用でスーパーマンばかり求めているわけでは、決してありません。
また、どんな仕事でもその業務を通じて身についている能力は必ずあり、それは決して無駄にはなっていないからです。
「仕事は嫌だけど、転職は不安」…そんなモヤモヤした状態から、前向きな一方を踏み出せるよう心から応援しています。