上司との人間関係がうまくいかない。
職場の人と合わない。
今の仕事にやりがいを感じられない。
今の会社にいても成長できないように感じる。
給与や休日など待遇が不満。長く働き続けられる気がしない。
…など、「会社を辞めたい」と思うきっかけは、人それぞれにあるでしょう。確かに転職すれば解消する悩みもあります。
しかし状況によっては、今は転職を思いとどまったほうがいいケースもあります。今、会社を辞めることがキャリアにマイナスにならないよう、「会社を辞めたい」と思ったら退職する前に、この3つのことを確認してみてください。
1:今の会社は1年以上勤めていますか?
新卒入社でも中途入社でも、今の会社に入社してから1年以上勤めていますか?
もし1年未満の場合には、「急激な業績悪化によるリストラ」や、「給与が未払い」「残業が異常に多い、休みが全くない」など、よほど続けられない理由がない限り、勤務期間が1年以上となるまで何とか今の会社で頑張ることをおすすめします。
中途採用の場面では、転職回数の多さや1社の在籍期間の短さが懸念されて、書類選考や面接の評価にマイナスとなることがあります。経験や年齢によっても異なりますが、転職回数なら4回以上、在籍期間なら1年未満の会社が1社でもあると、書類選考通過の難易度は上がります。結果として、希望の会社になかなか受からないということになりかねません。
転職回数は、「目的を持った転職だった」とカバーできることもありますが、在籍期間の短さは「私が未熟だったので…」と素直に認めることぐらいでしかカバーでいません。どんな原因であれ、
「問題のある会社だと見抜けなかったのか?」(リサーチ力の不足)
「条件をきちんと確認しなかったのか?」(確認力の不足)
「職場で円滑なコミュニケーションがとれないのでは?」(コミュニケーション能力の不足)
「我慢が足りないのでは?」(忍耐力の不足)
と仕事に必要な能力のマイナス評価となり、他の応募者いればそちらが優先されてしまいます。
転職市場では、転職の度に条件が悪くなる、入社した会社に問題があり転職を重ねてしまう、と、本人は希望していないのに何度も転職することになってしまう人が少なからずいます。
そのような人は大抵、1年未満から1年少々で会社を辞めた経験から悪循環が始まっています。そこから、好条件の会社や希望の会社になかなか内定できなくなるからです。
1年未満で辞めたからといって、必ずしも悪循環に陥るわけではありませんが、キャリアにとっては明らかにマイナスになることを忘れないでください。
2:会社を辞めたい原因は「部署異動」では解消しませんか?
上司との人間関係がうまくいかない。職場の雰囲気に合わない。今の仕事にやりがいを感じられないなどの原因は、部署異動で解消することもあります。
部署が異なれば、職場の雰囲気も変わります。新たな仕事にやりがいを感じることもあります。会社を辞める前に、もう一度社内を見回して、まずは異動で解決できないか考えてみましょう。
現状を解決できそうな部署が社内にあれば、「○○(部署)で××をやりたい」と具体的に自分のやりたい仕事のプランや自分の成長プランを持って、人事に相談します。すぐに異動が叶うわけではありませんが、何らかの突破口にはなるかもしれません。
どうしようもない時には、「嫌なこと」にさっさと見切りをつけて転職する姿勢も必要です。しかし、嫌なことに向き合い、「嫌な原因を解消するため、アクションを起こした経験」は、自信になります。
何より、結果的に転職活動をすることになっても、「人事に何度も働きかけてみましたが、社内では叶わなかったので」と自信を持って言えれば、非常に前向きな転職理由になります。
3:待遇、立地条件、オフィス環境、知名度…会社に未練はありませんか?
在籍期間も1年以上、社内にも希望の部署はないし、やはり会社を辞めよう!と思ったら、最後に会社のハード面をもう一度客観的にみてください。
業界平均や年齢平均よりも高い給与をもらっている場合、転職で給与が下がることを受け入れられますか。勤務地が通勤にも都合よく、周囲にランチが楽しめる飲食店があるなど、好立地ではありませんか。きれいなオフィスや充実したファシリティ、会社の知名度やブランド力、福利厚生なども含めて、今の会社にもう未練はないと言えますか。
「会社を辞めたい」と思っても、今の会社に対する未練が少しでも残っていると、転職活動でも全ての面で今の会社よりもいい会社はないかと探してしまいます。
結果として選り好みし過ぎて、転職活動が長引いてしまったり、せっかくのご縁を断ったり、素直に喜べなかったりということになりかねません。
「仕事にやりがいを感じられない」「成長感を感じられない」というのは、個人のものの見方や考え方の問題なので、自分の見方や意識を変えることで変わることがあります。今の会社に「ここはいいんだけど」という思いが少しでもあれば、それが次の会社にはないとしても、今の会社を辞めたほうがいいのか考えてみましょう。
会社に未練がなくなれば、転職で幸せになる可能性は高くなる
「会社を辞めたい」と思ったら退職する前に確認したい3つのことを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
今の会社で何が何でも頑張ることを、推奨しているわけではありません。1年以上の在籍期間があれば、転職したほうがいいこともあります。
ただその時に、 「今の会社で、できるだけのことはやった」「もう未練はない」という心境になれれば、その自信と覚悟が態度に表れ、結果として転職活動がスムーズになり、希望の会社に転職できるなど、転職で幸せになれる可能性も高くなります。
転職も恋愛と一緒で、いくら嫌になって別れても、前の恋人(会社)に少しでも何らかの未練がある間は、新しい恋人(会社)にもどこか不満を感じてしまうものです。
そうならないためにも、「会社を辞めたい」と思ったらこの3つを冷静に確認し、思い残すことのない退職ができるようにしましょう。