転職入社して3ヶ月。仕事にも職場にも少しずつ慣れてきたのに、思っていたより仕事ができなくて、なんだか辛い…。
入社してすぐは、「まだ慣れないから」「仕事を覚えるまでは」と「できない理由」もあったけれど、3か月経ち仕事も少しずつ覚えてきたのにうまくできない、あるいは仕事がなかなか覚えられない…となると、朝会社に行くのも憂鬱な気分になってしまいます。
入社3ヶ月目に感じるこの壁を、どう乗り越えればよいのか。この状況への向き合い方を確認していきましょう。
「仕事ができない」と感じる理由はどこにある?
「自分は、仕事ができないかも…」と感じるのには、大きくわけて4つの原因が考えられます。まずは自分がどの状況に近いのか、客観的にみてみましょう。
①仕事が難しい
転職先での業務が、自分が想像していたよりも(あるいは、今まで行ってきたよりも)難しく、求められるレベルが高い。
②仕事が覚えられない
仕事内容は難しくないが、マニュアル化されていなかったり、煩雑だったり、きちんと業務を引き継いで(教えて)くれる先輩社員もいなくて、なかなか覚えられない。
③仕事を教えてもらえない
上司や職場の先輩が、仕事に必要なルールややり方などをきちんと教えてくれない。
「わからなかったら聞いて」といわれているが、いつも忙しく質問をしにくい雰囲気でなかなか聞けない。または、「仕事は見て覚えるもの」というタイプで、きちんと説明をしてくれない。そもそも中途入社者に仕事を教えようという気がなく、聞いてもちゃんと教えてくれない。
④職場の人間関係が悪くて仕事が進まない
職場の人間関係が悪く、コミュニケーションがきちんとできていないので、何かと仕事を進めにくい。上記③の「仕事を教えてもらえない」の原因になっていることもある。
理由は1つとは限らず、「仕事が難しい上に、教えてもらえない」こともあるでしょう。およその状況が整理できたら、次はケースごとの向き合い方をみていきましょう。
「①仕事が難しい」場合
思っていたよりも転職先での仕事が難しく、そのなかで周囲の同僚たちと比べてしまうと、「自分はなんて仕事ができないのだろう」と引け目を感じてしまうこともあるかもしれません。
しかしながら、難しい仕事であればあるほど、焦る必要はありません。上司や周囲の同僚が見守ってくれている状況ならば、不安にならなくても大丈夫です。焦らずに1日1つずつでもできることを増やしていきましょう。
「3ヶ月も経つのに、まだこんなこともできない」という焦りがあると、余計テンパってうまくいかなくなってしまうもの。「昨日はできなかったことをできるようにする」くらいの気持ちで取り組んでみてください。また、一人で抱え込まず、周囲にアドバイスをもらうなど、周囲の力をうまく活用することも考えていきましょう。
ただし、この状況でもし上司が「こんなこともまだできないのか」「採用ミスだった」などのパワハラ発言を連発しているようであれば、問題は別です。そのストレスを乗り越えて、「この仕事を成し遂げたい」「上司を見返してやりたい」と思えるか、「ここでは無理…」と思うか、自分の気持ちに正直に向き合ってみましょう。
「②仕事が覚えられない」場合
仕事が覚えられない場合は、自分なりに覚える工夫をしてみましょう。マニュアルがなければ、自分でマニュアルを作ったり、チェックシートを作ったりすれば、業務手順を覚えることができます。
また、簡単な説明は聞いてわかったつもりになっても、時間が経てば忘れてしまうことも多いものです。いつも手元にメモを用意して、説明されたことややらなければならないことをメモするようにしてください。
自分なりにまとめる工夫をしていけば、きっと少しずつ覚えられるようになりますよ。
「③仕事を教えてもらえない」場合
上司や先輩社員はいい人なんだけれど、忙しそうで仕事をなかなか教えてもらえない。聞く機会がない。
そのような状況であれば、質問事項をメモしてまとめておき、「毎朝10分」「毎週月曜日に1時間」など定期的なミーティングの時間をもらって、その時間に確認・質問するようにしましょう。
あなたが業務を覚えて、早期に戦力化すれば、職場全体の生産性もアップします。それは上司だけでなく職場全体のメリットになりますので、遠慮をせずに時間をとってもらうようにしてください。
そして「仕事は見て覚えるもの」というタイプには、文字通り、見て覚えながらこちらから積極的に「これはこういうことでしょうか?」と確認をしてみましょう。この確認行為に対する反応が、この職場でもう少し頑張ったほうがいいか、それとも考え直した方がいいかの1つの判断材料になります。
もし、あなたが確認したら「お、やる気があるじゃないか」と好意的に受け止めてくれる職場であれば、頑張る余地はまだあります。確かに古いタイプではありますが、やる気を認めてもらえるならば、やがて状況は改善する可能性があるからです。
反対に、「だから見て覚えろって!」と根本的に人に教える気がない職場であれば、状況の改善は厳しくなります。
憧れの企業だった、やりたい仕事だった、待遇がよかった等、今の職場を選んだ理由はいろいろあったかと思いますが、今の状況が変わらなかったとしても、自力で仕事を覚えてここで仕事を続けたいかどうか、自分に問いかけてみましょう。
「④職場の人間関係が悪くて仕事が進まない」場合
職場の人間関係が仕事にまで影響しているこのケースは、最も厳しい状況といえます。どうにも理不尽な扱いを受ける職場というのも、確かに存在しますし、それは自分一人が努力して変えられるものでもありません。
「条件がよい」など転職したくない理由がある、「それでも、もう少し頑張ってみたい」と思えるならばよいですが、そう思えない場合には心身に影響が出る前に転職を考えたほうがよいかもしれません。
ただし、人間関係の問題は、双方に原因があることもあり、その場合は少し自分の行動を変えれば、状況が改善する可能性もあります。
たとえば、新しい職場で緊張しているのを「話しかけにくい」と思われていたり、良かれと思った提案が「今までのやり方を、入社して間もない奴に否定された」と思われていたり…と、ちょっとしたことが原因になっていることもありますので、もし心当たりがあったら、関係改善を試みてみましょう。
入社3ヶ月の壁を乗り越えられないと思ったら…
「入社3ヶ月の壁」は、転職したらどの職場でも多かれ少なかれあります。そしてこれを乗り越えることで身につく力があり、今が大きな成長の機会にもなります。これは誰もが唱える正論ですし、できればそうなるように目指せるのがベストです。
しかし、そうはいっても、自分の状況を客観的に見直してみても「もう無理だ、辞めよう」という結論になることもあるでしょう。
短期間での転職を繰り返すのはリスクも高く、キャリアコンサルタントとしてはおすすめできる行為ではありませんが、それでも心身に悪影響が出るほど我慢しなければいけないわけではありません。
「朝、起きられなくなった」「ストレスで夜眠れない」など、今までにない不調を感じるようになったら、転職を選択肢に入れることも迷わないでください。