妊娠し、出産で仕事を辞めるかどうかは、女性にとって非常に難しい決断です。
もし今、その選択に迷っているのであれば、なんらかの理由から今の職場や仕事には「無理をしてまで、積極的に続けたくない理由」があるのでしょう。
辞めるか辞めないか、なかなか結論がでないときには、こう考えてみませんか?
辞めないメリット、辞めるメリット
自分にとって魅力的なのはどっち?
まずは、辞めないメリットと辞めるメリットを比べてみましょう。
人それぞれに違いはあるかと思いますが、一般的に、出産しても仕事を辞めないメリット、辞めるメリットはこのように言われています。
・育休中なども給付金がもらえる(現在の収入にもよりますが、結構な額がもらえます)
・こどもの教育資金、老後資金などにゆとりがもてる
・社会とつながっていられる(家庭以外に自分を認めてもらえる場がある)
・子どもとずっと一緒にいられる
・家事育児に時間をかけられる
一言でいうなら、仕事を辞めなければ経済的な余裕が得られ、仕事を辞めれば時間的な余裕が得られるということです。
経済的な余裕について、もう少し具体的にイメージしていきましょう。
「Woman Type」によると、出産で仕事を辞めずに正社員で働き続けた場合の生涯年収は2億461万円。
出産で仕事を辞めて、パートになった場合の生涯年収は1億377万円。
パートにならずに専業主婦になった場合は、さらに生涯年収は下がります。
パートで再就職しても生じる1億円以上の差。これは子どもが大学進学するときや老後資金に大きく影響します。
また、将来的なことだけでなく、毎月自分が好きに使えるお金の金額、家族旅行に使える額も変わってきます。この収入の差で、使う化粧品、購入する服、家族旅行の行先など日常生活のあらゆる場面で「違い」が生まれるでしょう。
一方で、仕事を辞めたことで得られる「時間的な余裕」によって、かわいい子ども達と思う存分一緒にいられること、掃除や料理に手を抜かず、家族にとって心地よい生活環境を維持することは、お金では買えない豊かな時間になるはずです。
自分にとってより魅力的なのはどちらなのか。それぞれのメリットに向き合ってみましょう。
辞めないデメリット、辞めるデメリット
リスクを甘受してもいいのはどっち?
次により重要なのが、それぞれのデメリットをきちんと知っておいて、それをどれくらい受け入れられるか?をイメージすることです。
それぞれの選択肢を選んだ時に、一般的にリスクやストレスとなるデメリットについてしっかり知っておきましょう。
・家事育児と仕事の両立に慌ただしい毎日を送ることになる
・保育園を探すのが大変
・子どもと過ごす時間が少ない
・子どもが小さいうちは、子どもの病気で早退遅刻欠席が多くなり、職場に気を使う
・ワーキングマザーへの風当たりが強い職場もある
・時短勤務のうちは簡単な仕事しか任せてもらえずモチベーションダウンすることも
・自分が自由に使えるお金が減る
・社会との接点が激減し、世界が狭くなる
・世帯収入が夫の収入だけになるので、娯楽に使えるお金も限られてくる
・教育資金や老後資金などの資金面の不安
仕事を辞めないで続ければ、子どもが大きくなるまでは、「時間」に追われる生活をある程度覚悟する必要があります。育児も家事も完璧を目指さずに、夫に協力してもらいながら、うまくバランスをとっていく能力が必要になるでしょう。
ワーキングマザーにとって働きやすい環境ばかりではありませんから、「こんなことのために、かわいい子どもとの時間を削って、家事も全然できていないし…」と自分を責めてしまうようなこともあるかもしれません。
仕事を辞めてしまえば、時間に追われない代わりに、経済的にはもちろんそれだけ厳しくなります。ある民間の調査では、「月のお小遣いが5000円以下」と回答した専業主婦は64%、という結果もでていました。
私の周囲には、「ここ数年間自分の服は買っていない」という専業主婦が結構たくさんいます。夫の収入にもよりますが、家族旅行に行く回数、行先など予算に縛られることは多くなるでしょう。
また、社会との接点も子ども関係が中心となるので、「~ちゃん(くん)のママ」で呼ばれてばかりの生活に物足りなさを感じる人もいます。
自分が受け入れられるリスクやデメリットは、「時間」なのか「お金」なのか。
「家族との時間」なのか、「社会との関わり」なのか。
自分の本音に向き合ってみましょう。
「辞めてもう一度始める」選択肢を自分は受け入れられるか?
ただし、辞めたからといって「仕事をしていない」状態がもちろんずっと続くわけではありません。
そうはいっても一旦辞めた後に正社員として復職するのはまだ難しいのが現状なので、正社員として働くことを優先したいのであれば、確かに出産で辞めるのはもったいないのも一理あります。
しかし、今は働き方の選択肢もいろいろあります。
正社員にこだわらず、経済的な問題がそれほど切羽つまっていないのであれば、子育てが一段落した後に、パートや契約社員や派遣社員、フリーランスという形で仕事を再開できます。
意欲があり、希望すればそこから正社員になれる可能性もゼロではありません。
「ここまで頑張ってきたのに、パートなんて…」
「正社員としての仕事(収入)を維持したい」
「今のキャリアを続けていきたい」
という思いがある場合を除けば、出産で一度仕事を辞めて育児に専念しても、その後に違う働き方を見つけるのは難しいことではありません。
自分が人生で大切にしたいこと、受け入れられるリスク、子育てに余裕ができたときに自分がしていたい働き方をイメージしながら、パートナーと話しあって、納得できる答えをみつけていきましょう。