「自分に向いている仕事の探し方」としては、「今までに夢中になったことや一生懸命になったことから探そう」「やりたいこと、やりたくないことから探そう」というのが一般的です。
しかし、それで答えがでないこともあります。
「夢中になったことや、やりたいことはあるけれど、それを仕事にするイメージがない・・・。」としっくりこない場合や、「そもそも夢中になったことがあまりない。」という場合には、こんな方法で「向いている仕事」を探してみませんか。
今の仕事が「しっくりこない」理由をとことん考えてみる
「向いている仕事」を探したいと思うのは、今の仕事に「しっくりこない理由」があるからでしょう。そんな時は、自分の性格と今の仕事や職場を客観的に分析してみて、「しっくりこない理由」を探してみましょう。
仕事に違和感がある場合、仕事内容が自分の適性と合っていないケースと、仕事は適性に合っているけど、職場の風土が合っていないケースがあります。
例えば、
「人とコミュニケーションをしながら人の役に立つことが好きなのに、今は経理の仕事でほとんど人と話すことがなく伝票に向かい合っている。」
「自分が主導で物事を進めることが好きなのに、サポート的な仕事が多い。」
「人と話すことが苦手で、コツコツ事務処理をするのが好きなのに、営業に配属された。」
というケースは、仕事と自分の適性が合っていないケースです。「自分に合っていないのは、この仕事のどんな部分なのか?それはなぜか?」と分析することで、「では向いている仕事とは?」という答えが出しやすくなります。
一方、
「今の仕事は全てが規則や前例で決められていて、息苦しい。もっと自由な発想と提案をしたい。」
「自由な発想を求められるけれど、自分はもっとルールに則ってできる仕事がしたい。」
と職場の風土が自分に向いていないこともあります。「今の仕事は怒られたり、衝突したりすることが多い。失敗も多いし、自分に向いてないのかな…。」と感じるケースです。
この場合は、今の仕事から「同僚との関わり」「職場の仕事の進め方」「上司との関係」を除いた部分に目を向けて、その「仕事」が生み出す価値自体にやりがいを感じられるかどうか考えてみましょう。やりがいを感じられるのであれば、今の仕事が「自分に向いている仕事」の可能性は高いです。
今の仕事に集中して一生懸命やってみる
「今の仕事にしっくりこない理由もよくわからない」場合や、「しっくりこない理由はわかったけれど、かといって向いている仕事がわからない」場合は、少しの間、目の前の仕事で成果を上げることに専念してみましょう。
企業の配属は、入社時の適性診断(実施している場合)や、上司との面談、今までの仕事ぶりから、適材適所となるよう行われています。今までに多くの従業員を見てきた人事や経営陣が、総合的に判断した「あなたにとっての適所」なのです。
つまり多くの場合、従業員は「客観的に判断して、その従業員が持っている能力や可能性を最も発揮でき、向いていると思われる」仕事に配属されているはずです。
従業員が最も適性のある仕事で持っている能力を十二分に発揮し、さらに新たな可能性を拡げることが経営的にも望ましいので、企業は配属に細心の注意を払っています。だから今の仕事は、「客観的に判断して、自分が持っている能力や適性を活かせる可能性が最も高い仕事」なのです。
「自分に向いている仕事がわからない。」と思ったら、まずは目の前の仕事に集中し、最大の成果をあげることを目標に少しの間やってみましょう。「この先ずっと」である必要はありません。半年か、1年か。「これぐらいなら、今の仕事に専念できる。」と思える期間を、自分で決めてみてください。
余計なことを考えずに目の前の仕事に向き合うと、今の仕事に関連する様々な面が見えてきます。それは、「この仕事向いていないかも…。」とモヤモヤしながら仕事に取り組んでいては、決して見えないものです。
今の仕事に専念したら、意外な気づきがあり、「実はこの仕事が自分に向いていた。」と思えることはよくあります。または今の仕事でなくても、「それならどんな仕事が向いているのか。」という糸口が見えてくるでしょう。
「向いている仕事」は1つとは限らないし、決めつけなくてもいい
「向いている仕事」を探そうと思うと1つの答えを見つけたくなりますが、「自分に向いている仕事」は、1つとは限りません。
そしてその仕事が「自分に向いているか、向いていないか。」と、「好きか、嫌いか。」と、「できるか、できないか。」は、必ずしも一致しません。
たとえば、好きな仕事の成果がなかなか上がらないこともあれば、自分ではあまり好きではないけれど、他人からの評価は高い仕事もあります。さらにこの場合、どちらを「自分に向いている仕事」と判断するかは、個人の価値観によってもわかれます。
結局は、「これだ!」と自分で決められるかという問題なのです。
また、今現在「向いている仕事だ」と思う仕事が、生涯に渡って「向いている仕事」とも限りません。
「この道一筋●十年」という働き方が向いている人もいれば、年齢や経験によってキャリアを柔軟に築いていくことが向いている人もいます。
「自分に向いている仕事」は、仕事や人生の経験を重ね、年齢を経ると共に柔軟に変化してもよいものなのです。
一生の問題だと思うと重大な問題になってしまい、「これこそ、自分に向いている仕事だ。」と決断しにくくなってしまいます。しかし、ここ数年の間の問題だと思えば、「今はこれに集中してみよう。」と思えませんか。
童話「しあわせの青い鳥」で、探し続けた「青い鳥」が自分たちの家にいたように、「自分に向いている仕事」も遠い世界ではなく、今まで経験したことや今の仕事の周辺など身近な場所にあります。あとはそれを、「これだ!」と決断できるかどうかです。