「女性が活躍できる社会って言われると、まるで自分が活躍していないような気がする」
「女性の活躍はなぜ必要なの?子育ても家事も仕事もやって、それでいてさらに女性らしく身ぎれいでなんて、今は女性に対する要求が多すぎる」
「女性の活躍」を成長戦略の柱に据え、「すべての女性が輝く社会」を掲げている安倍政権ですが、その「女性の活躍」という言葉には何かひっかかりを感じる人も少なくないようです。
冒頭の台詞は、先日テレビの情報番組で「女性の活躍」について、街頭インタビューで答えていた女性のコメントですが、「活躍といわれても…」とあまりピンとこない方も多いのではないでしょうか。
女性は活躍しないといけないの?今も十分がんばっているのに、もっとがんばれってことなの?
そんなモヤモヤする思いには、こう向き合ってみませんか。
「活躍」=バリキャリの人、と思いこんでいませんか?

「活躍している女性」ときくと、つい「すごい女性」を思い浮かべてしまいませんか。
女性管理職として、部下をまとめあげている人。
リーダーとして大きなプロジェクトを推進しているような人。
営業成績トップの人、ヒット商品を生み出している人、起業している人。
「活躍」という言葉には、どうしても華やかな印象が付きまといます。
人から評価され、一目置かれるような成果をだし、社会的にも認められている。
そんなイメージを持ってしまうと、なんだか窮屈というか、居心地の悪さを感じてしまう。それは次のようなことを感じてしまうからではないでしょうか。
「誰にでもできること」をしている私は活躍してないのかな?
世の中、そんな華やかなイメージ通りの「活躍」をしている人ばかりではありません。
どんなに華やかに見える仕事でも、華やかな裏側に「誰にでもできるような」たくさんの雑務があることも少なくありません。
「隣の芝生は青く見える」ように、「活躍している人」=「すごい人」のイメージがあると、「私がしているのは誰にでもできるような仕事だし、特に評価されているわけでもないし…」となんだかモヤモヤした気分になってしまいます。
また、他人から見れば「活躍している華やかな状況」でありながらも、自分のイメージする「活躍」とは程遠いと思ってしまい、「でもあれもこれもできていないし…」とモヤモヤしてしまうこともあるでしょう。
でもここで、ちょっと立ち止まって考えてみてください。
そもそも「活躍」ってどういうことなのでしょうか。
「活躍」という言葉が意味するもの
「女性が輝く日本」を目指す安倍政権の政策のなかには、「2020年に女性管理職比率を30%に高める」という目標もありますので、どうしても「女性の活躍」=バリバリ働くというイメージがしてしまいます。
しかし大辞林第三版で「活躍」という言葉を引いてみると、そこには
「活躍:大いに活動すること」
とあります。
そうです。ここには、他人から評価されているとか、すごい成果をあげているとか、そういう定義は一言も書かれていません。バリキャリでなくても、女性管理職でなくても、構わないのです。
自分が自分らしく、やりたいと思える分野で、やりたいと思えるやり方で、それを実現できる、つまり「大いに活動」している状態になれれば、それがその人にとっての「活躍」です。そしてこれは仕事に限定されているわけではないのです。
人それぞれにいろんな「活躍」があっていい

活躍を、「女性が結婚や出産に関係なく、やりたいと思うことで大いに活動できること」と捉えれば、それは確かに目指すべき状態ではないでしょうか。
たとえば、「私は子育てに思いっきり専念したい」という専業主婦としての「活躍」の仕方もあるでしょう。専業主婦に支えられている地域の活動や幼稚園の活動などは、数多くあります。これも「活躍」です。
また、「年収103万の壁の上限が高くなったって、これ以上働くと家事とのバランスが崩れてしまう。そんなに家事の手を抜くわけにもいかないし、子どもの送り迎えもあるから今のままで十分」と思って自分なりに精一杯家事と仕事のバランスをとっているのも、「活躍」です。
もちろん、結婚がすべてではありませんので、仕事を通じて社会に価値を提供するという「活躍」もあるし、ワーキングマザーとしてフルタイムで管理職を目指していく、プロフェッショナルとしてキャリアを築いていく「活躍」もあります。
一目置かれるような業績でなくても、自分自身がやりがいを感じて働けていれば「誰でもできるような仕事」だろうと何だろうと、それは「活躍」なのです。
人の「活躍」と比べてしまうと、「私はそれほどでもないし…」「これだとがんばっているとか言えないのかな‥」と不安に思ったり、自信をなくしたりしてしまいます。
しかし「活躍」とは、「大いに活動すること」なのですから、その尺度は人それぞれ。「活躍」は他人と比べてどうとか、他人の評価がどうという軸ではなく、人それぞれにいろんなかたちがあっていいはずです。
そして、自分なりに大いに活動しているならば、それがどんな活動であれ、他人からの評価は関係なく、十分「活躍」していると、自信をもっていいと思います。
自分らしく、活動するために何ができるのか、どうしたいのか。他人からの評価や見え方は気にせず、肩の力を抜いて、そんなところから考えてみませんか。