就職活動では、多くの学生が面接のマナーに気を遣います。
入室時にノックをする、お辞儀をするタイミング、荷物はどうしたらいいかなど、
気になって調べたり練習したりする人もいるでしょう。

しかし、面接ではそんな「マナー」と同じように、
あるいはそれ以上に大切なことがあります。
それがあなたのコミュニケーション能力です。
応募企業が求める最低限のコミュニケーション能力がなければ、
どんなにマナーが完璧でも不採用となってしまいます。

そこで、ここではどんな面接でも最低限求められる、3つのポイントを紹介します。

コミュニケーション能力といっても、難しいことが求められているわけではありません。
「私はコミュニケーション力ないから無理」とあきらめなくても大丈夫です。
ちょっと意識をすれば変わることなので、面接前に一度確認をしてみましょう。

1:志望動機や自己PRが暗記の「発表」になっていないか

暗記の発表

面接できちんと言えるように、自己PRは文章でまとめて一言一句間違えないように暗記。

面接では、「覚えてきた自己PRを忘れないように」という思いと緊張感から、暗記した自己PRを一気に語ってしまう・・・。

このように、面接の場が覚えてきた志望動機や自己PRの「発表の場」になってしまっていることは非常によくあります。

緊張する面接の場で、志望動機や自己PRをしっかり話そうと思うと暗記して準備したくなる気持ちもよくわかります。しかし、面接は面接官と学生の「コミュニケーションの場」であって、暗記してきた志望動機や自己PRを「発表する場」ではありません。

志望動機や自己PRがどれだけうまくまとめられていても、それが「暗記した文章の披露」になってしまっては、面接官の心には何も残りません。

志望動機や自己PRを「文章」として覚えておこうとすると、「覚えておくこと」に意識が集中してしまい、一番伝えなければならないあなたの思いが面接官に伝わりにくくなってしまいます。

志望動機や自己PRは、すらすらと淀みなく語れることよりも、自分の思いが伝わることが大切です。文章を一言一句、暗記する必要はありません。伝えたい思いやアピールしたいポイントだけを整理し、その場で出てくる自分の言葉で、自分の思いを語りましょう。

2:「頑張ったこと」が「自分が頑張ったこと」になっているか

また、その自己PRの内容にも注意が必要です。

自己PRは、自分がどんな人間かを知ってもらうために、自分が頑張った経験を通じて長所を相手に知ってもらうためのものです。

つまり自己PRはあなたの性格・人柄がわかればよいのであって、その経験や事実そのものが特筆すべき実績である必要はありません。

ここで「自己PRなのだから、何かすごい実績がなければ。」と思ってしまう人は、自分が所属していたクラブ、サークル、ゼミ、アルバイト先であげた成果を自己PRとして語ってしまいます。しかし、どんなに素晴らしい成果でも、「そこで自分が何を考え、どう頑張り、何を学んだ(何を得た)か」が言えなければ、「経験から学べていない残念な人」になってしまいます。

例をあげてみましょう。次のような自己PRは、チームとしての実績こそ素晴らしいですが、本人が何を考えて、どう頑張り、その経験から何を学んだかがわからないため、不採用になってしまう可能性の高い内容の例です。

例1
「私が所属していたラクロスのチームは、全国大会優勝の目標を掲げてチームで一生懸命練習し、全国大会で優勝しました。その経験を通じて、チームで同じ目標を共有して、一緒に頑張ることのすばらしさを学びました。」

例2
「大学のゼミで、地元企業と一緒に地域の食材を使った食品の商品開発をしました。何度も失敗をしながらも納得ができるまで試作を続け、完成した食品が地元のコンテストで入賞しました。」

いずれもチームやゼミという「団体」としてすばらしい成果を出していますが、そのなかで本人が何を考えて、どう頑張り、何を学んだかを掘り下げて語れていません。「例1」では、一応学んだことを上げていますが、表面的すぎてその人の性格や長所が全くわかりません。

面接の際は、自己PRをもう一度見直してみましょう。もしそこに「自分が」考えたこと、頑張ったこと、学んだことが入っていなければ、その自己PRはあなた自身を伝える内容として不十分なのです。

3:相手の理解を確認せず一方的に話をしていないか

面接では面接官の顏をきちんと見て、相手の表情から、理解しているかどうか、興味をもっているかどうか、その反応を確認しながら話のスピードや抑揚を変えることが大切です。

相手が興味を持ってくれたらより強調する、興味がなさそうなら早く話を切り上げる、理解していなそうなら少しゆっくり話してみる等、話が一方的にならないように、面接官の反応に合わせたコミュニケーションを心がけましょう。

特に注意したいのが、自分の専門・得意分野に関する話題です。好きなこと、興味のあることだからこそ熱く語りがちな話題ですが、もし面接官もその分野に詳しかったり、興味を持ってくれたりすれば絶好の自己PRの機会になるので、大いに熱く語るべきところです。

しかし、面接官があまりその分野に詳しくなさそうな場合、あるいはあまり興味なさそうであれば、大いに語ることが逆効果になることもあります。この場合は、専門用語などをなるべく使わず、「そこで自分は何を考え、どう頑張り、何を学んだか」に絞って話をするようにしましょう。

面接官の理解や関心度合を気にせずに一方的に話してしまうと、「一方的なコミュニケーションをする人」と判断されてしまいます。

なかには事務的な反応をする面接官もいますので、どうしても会話が一方的になってしまうこともあるでしょう。それでも面接官(相手)の反応、理解、関心を意識し、コミュニケーションが一方的にならないように心がけていきましょう。

自分を理解してもらうためにマナーもコミュニケーションも大切に

就職活動の面接で大切なことは、応募した自分の思い、考え、人柄を面接官に理解してもらうことです。

そして自分を面接官によりきちんと理解してもらうためには、気持ちの良いコミュニケーションが必要です。その気持ちの良いコミュニケーションのために必要な気遣いが、相手に不快な思いをさせないためのマナーであり、相手の理解と関心に合わせたコミュニケーションなのです。

マナーが完璧でも面接官のことを考えないコミュニケーションをしてしまっては、面接は台無しになってしまいます。

そうならないよう、マナー同様、面接での話し方、話す内容などのコミュニケーションも意識するようにしましょう。