就職活動で数多くの内定をもらう人と、なかなか面接に受からない人。この違いは一体どうしてなのか、疑問に思ったことはありませんか。
「内定をもらう人は、自分よりも優秀だから…。」
と思う人も多いのですが、実はそれは大きな勘違いなのです。
面接に受からないのは「価値がないから」ではない
面接が受かる人と受からない人の違いで最も大きいのは、「自分」をわかりやすく伝えることができたかどうかです。
企業は自社の風土に合い、入社後に活躍できるイメージが持てる人材を採用します。「自分」をきちんと伝えることができていれば、「風土に合わない」と不採用になることはあっても、必ず自分に合う企業で内定がもらえます。
何社受けても面接に受からないのは、あなたに価値がないのではなく、あなたが「何をやりたいと思っている、どのような人間か」をきちんと伝えきれていなかったからなのです。そのもったいない状況を打破するために、面接の準備や面接の考え方を少し見直してみませんか。
その1:面接の準備で考えることは基本的には2つだけ
就活本に就活塾、ネットで収集できる面接ノウハウに大学のキャリアセンターでの就職アドバイス。それらを見ると、面接の質問例とその答えのコツが数多く紹介されています。
こうした情報も参考程度ならいいのですが、真面目に受け止めて「どんな質問にも答えられる準備を…」と考えてしまうのは、非常に危険です。「様々な質問に答えを用意する」うちに1つ1つの答えが浅くなり、深い自己分析ができなくなれば、面接対策として逆効果になってしまいます。
また、「こんなに様々な質問の答えを用意しなければならないなんて」と不安に思う必要もありません。なぜなら面接で企業が学生に確認したいことは、2点だけ。その2点がこちらです。
1)どんな仕事がやりたいか、それはなぜか(志望動機)
2)どのような強み(特性)がある人間か(自己PR)
「大学時代で一番頑張ったことは?」「大学時代で失敗したことは?」「今までで嬉しかったことは?」等の多種多様な質問は、この2点を明確にするためのものなのです。
だから面接の準備は、この2点を深く考えておけば大丈夫です。この2点を突き詰めて考えていれば、自分の思いや価値観・判断軸が明確になり、どんな質問がきても回答できるようになります。
志望動機と自己PRは関連性があるとさらによし!
さらにこの2点が「関連性のあるストーリー」になっていると、面接という限られた時間で、「自分」をよりわかりやすく伝えることができます。
「自分の強み(特性)を活かして、この仕事がやりたい」
「こんな仕事がやりたいが、自分にはこの強み(特性)があるからそれができると思う」
と一貫していると、「なるほど」と面接担当者もあなたのことが理解しやすくなり、「企業に合うかどうか」「入社後に活躍できるかどうか」が判断しやすくなるのです。
その2:面接に「模範解答」はない
「今は課題を発見し、課題解決できる生が求められる」
「リーダーシップを発揮した経験が求められる」
以前から「企業が新卒採用で求める人材」として、このような人物像が挙げられています。
そこで、自分はそんなタイプの人間ではないのに、課題発見・解決力があり、リーダーシップがあるように見えるよう、面接担当者の受けがいいような「模範解答」を作ろうとしていませんか。
大学のキャリアセンターでも、模擬面接や就職支援の一環として志望動機や自己PRを添削してくれますが、その内容が「企業が求める人材像」に合わせた美辞麗句になっていませんか。
こうした「模範解答」は、他人(面接担当者)の視線や評価を気にするあまり、自分の良さが伝わらないものになりがちです。一般的な言い回しばかりで、本来伝えるべき「思い」が抜けてしまっていることもあります。
準備した志望動機や自己PRを見て、就活本に載っているような内容だったら要注意。それはあなたの良さが全く伝わらない内容になっています。
企業が本当に知りたいことはあなたの考えと人となり
企業が「志望動機や自己PR」を通じて本当に知りたいのは、あなたの考えや人となりです。
例えば極端な例ですが、以前世界有数の外資系金融機関の面接で、「将来どんな仕事がやりたいですか?」の質問に、「特にありません」と堂々と答え、内定を勝ち取った学生がいました。しかしこれが「模範解答」ではないように、面接に「模範解答」はありません。
なぜなら、面接の合否は学生の考えや人となりを理解した上で、「企業風土に合うか」「入社後活躍できるか」で判断するからです。誰かと同じような内容だったり、面接の場で伝わる自分の個性と一致していなかったりすれば、その判断ができず不採用となります。
このように「面接で評価してもらえるにはどうしたらいいか」という視点で考えても、正解や模範解答はありません。「自分をどれだけわかりやすく伝えられるか」という視点で臨みましょう。
その3:されど見た目は重要。自信がない時こそ背筋を伸ばそう
かつて「人は見た目が9割」(竹内一郎著/新潮新書 2005)という本が、新書としては異例の100万部を超える大ベストセラーとなり話題になりました。
9割かどうかはさておき、人間の第一印象は見た目で判断されます。仕事でも、顧客先や社内で自分の話を好意的に聞いてもらえるかどうかは、見た目の印象が大きく影響します。就職活動の面接も、例外ではありません。面接は見た目も大切なのです。
もちろん、美人やイケメンである必要はありません。シワのないスーツとシャツ、清潔感のある身だしなみ(髪型やメークなど)、そして背筋を伸ばした姿勢と笑顔の挨拶で、第一印象の好感度はかなり高まります。
「面接は自信を持った態度で」とよく言われますが、「自信を持った態度」がどのような態度かわからない、そもそも自信が持てないという方もいるでしょう。
そんな自信が持てない時こそ、背筋を伸ばして姿勢を良くし、笑顔で相手の目を見て挨拶をしてみてください。それだけで自信があるように見えます。相手の好感触の反応に、そのうち本当の自信もついてきます。
面接に受からない人ほど、姿勢が悪かったり、挨拶がきちんとできていなかったりします。入退室や着席など細かいマナーを気にする前に、まず見た目と挨拶をきちんとしましょう。
とことん自分と向き合うと面接がうまくいく答えが見つかる
就職活動で面接になかなか受からないと、多くの人が「自分には価値がないのではないか」と思ってしまいます。そして、自信がなくなり、背中が丸くなり表情が暗くなり、ますます結果がでない・・・という負のスパイラルに陥ってしまいます。
面接でうまくいかないのは、自分が持つ価値をわかりやすく相手に伝えられていないからです。自分をきちんと伝えることができれば、自分に合う企業が必ず見つかります。
ただし、面接という限られた時間で自分をわかりやすく伝えるためには、自分と向き合ってとことん考える必要があります。一人で考えて行き詰ったら、信頼できる第三者に話を聞いてもらうのも有効です。
自分のことは意外にわかりにくく、自分と向き合うのは難しい作業です。しかし、ここで自分の価値観や判断軸を見つけることができ、相手に伝えられるようになれば、結果は必ず出るようになりますよ。