「出来のいい後輩」はどこにでもいます。自分のほうが社歴は長いのに、後輩よりも仕事ができないという現実に、みじめになったり、職場で比べられて辛い思いをしたりすることはありませんか。
「自分はこの会社に要らない人間なのでは…」と思ってしまうその前に、こんなふうに考えてみましょう。
「仕事の出来」は社歴に比例するものではない
そもそもの話ですが、「仕事」は社歴が長くなればなるほど、「できる」ようになるものではありません。もし「社歴」と「仕事の出来」が社歴と比例するものであれば、定年間近の人材は「最も仕事ができる」ことになります。
仕事の流れを覚え、仕事に関わる関係者(顧客や社内の協力者)との人間関係を築くまでの入社1~2年のうちは、社歴と「仕事ができる力」は多少比例しますが、ある程度仕事を覚えた後は、仕事ができるかどうかは個人が本来持っている能力や、経験値、学習能力やコミュニケーション能力の差によって変わってきます。
つまり、気になる「出来のいい後輩」は、「後輩なのに」仕事ができるのではなく、本来その人が持っている能力や、経験から学んでいく力、周囲を巻き込んでいくようなコミュニケーション能力が高かったのです。
「先輩だから〇〇でないと」と思うと苦しくなる
1人1人の能力には個人差がある。これは誰でも理解しているでしょう。
だから、その仕事ができる相手が、自分の「後輩」ではなく、「先輩」であったなら、「すごい人だな」と素直に認めることができたのではありませんか?
「先輩」だったら認められるのに、「後輩」だから認められない。
その背景には「自分のほうが先輩だから、自分のほうが優れているべき」という考え方を自分でも気づかないうちにしてしまっているのかもしれません。
しかし先に生まれた「人生の先輩」だからといって、後から生まれてきた人よりも何もかもよくできていなければいけないということはありません。
こう言われば「それはそうだけど…」と当たり前のように理解できるのに、なぜか目の前の後輩よりも自分ができないのが辛くなってしまう気持ちはわからなくもありません。
それでも「先輩だから、先輩のほうが仕事ができて当たり前」という考え方は、どこかで必ず限界がきます。20代で入社4~5年目までは、後輩の人数も少ないですが、30代、40代となれば社内には後輩の方が増えていきます。
自分よりもはるかに優秀な人材も、自分よりも先にどんどん出世する後輩もでてきます。
その度にモヤモヤし、ネガティブな感情になって自尊心を傷つけていたら、仕事に対する自信がなくなってしまいます。その状態では、仕事でいい成果を出すのは難しいですし、仕事を通じて成長することも難しくなってしまうでしょう。
相手を素直に認めて、今自分ができることに専念する
ではどうしたらいいのか。
こんなときは、年齢に関係なく、仕事ができる後輩を素直に認めて、目の前にある「今自分ができること」「今の自分の仕事の質を少しでも高めること」に専念してみませんか。
出来のいい他人と比べても、自分の「できないところ」が気になってしまうだけで、あまりいいことはありません。
また、世の中には自分より優れている人はたくさんいますから、「他人と比べる」という発想を捨てない限り、劣等感やネガティブな気持とつきあいつづけなければなりません。それは精神的にも、結構しんどいのではないでしょうか。
仕事のできる後輩は、華やかで目立ちます。職場でもスター的存在で、そんな後輩に、劣等感を持ってしまうこともあるかもしれません。
「なんで自分はできないのだろう」と辛くなってしまうこともあるでしょう。
しかし、そこに対抗意識や劣等感を持つのではなく、「彼(彼女)はがんばっていてスゴイ!」と素直に認めてしまいませんか?
「素直に認める」のは、簡単なようでなかなか難しいことですが、仕事のできる後輩を素直に認めて受け入れることで、あなた自身の器も少し大きくなり、きっと仕事に関する考え方や向き合う姿勢、周囲との関わり方に何か変化が生まれるのではないかと思います。
そしてさらにいえば、「できる人を素直に認めて、褒められる人」というのはそれだけで清々しく、素敵なことです。
「私は仕事ができない」と思っていると、「仕事ができない自分」がセルフイメージとなってしまいます。
一度頭に浮かんでしまったその思いを打ち消すのは、なかなか簡単ではないかもしれませんが、できる人と自分を比べて、自分の至らないところに目を向けるのではなく、自分のできること、改善できることに目を向け、自分の強みを1つでも増やすことに目を向けていきましょう。