異動や転勤、転職などで新しい職場で仕事をスタートするときには、「周りの人とうまくやっていけるか」「職場に馴染めるか」など不安はつきものです。

新たな環境に慣れるまでは、個人差はあれ、多少の時間は必要ですから焦ることはありません。でもより早く新しい職場に慣れて、自分らしく仕事をしたいと思ったら、次の3つの行動を心がけてみましょう。

1:人の名前を覚えて名前を呼んで話しかける

名前を読んで

職場が変われば、仕事のルールを始め、電話やファックス、コピー機の使い方、文房具や消耗品の使い方、伝票の出し方など覚える必要があり、人に質問する機会が増えます。わからないことをすぐに聞くのが職場に早く慣れるコツですが、ここでさらに一工夫し、相手の名前を呼んで質問するようにしましょう。

「すみません、ちょっといいですか。」よりも、 「○○さん(○○課長)すみません、ちょっといいですか。」と名前を呼ぶことで、自分も名前を早く覚えられます。また、人は名前を呼ばれたほうが相手に対して好印象や親近感を持ちやすいので、新しい職場でよい人間関係を構築するという点でも大きなメリットがあります。

同様に「おはようございます。」や「お疲れさまです。」という挨拶も、「○○さん、おはようございます。」と名前を呼んで声をかけてみましょう。

ただし、あまり名前を連呼するとしつこくなってマイナスになりますので、ほどほどを心がけてください。

2:1~3ヶ月間は積極的にランチや飲み会に参加してみる

積極的に

「人付き合いは苦手・・・。」「飲み会はあまり好きではない・・・。」ということもありますが、最初の間だけでもランチや飲み会に参加してみましょう。

特に新しい職場に入って数日は、周囲が気を遣ってランチに誘ってくれるケースが多いので、ぜひお誘いを受けてください。ある程度時間が経つと、気遣いのお誘いは減ってきますので、今度は自分から声をかけて誘ってみましょう。

毎日外食でランチは金銭的に大変…という場合は、「コンビニに、お弁当一緒に買いに行きませんか?」「(開いている会議室や休憩所などで)一緒に食べませんか?」というアプローチでもいいでしょう。

就業後に飲み会に誘われた時は、たとえ飲み会があまり好きでなくても、最初の数か月間だけは「これも仕事の1つ」と思って、誘いに応じてみてください。

ランチや飲み会は、新しい職場の同僚や上司の人となりを知る絶好の機会です。その人がどんなことに興味があって、どんな考え方をする人なのか、仕事やプライベートの話をいろいろ聞いてみてください。自分の話と相手の話は1:2程度の割合が理想です。自分を知ってもらうよりも、相手を知ることを心がけましょう。

同じ職場で共に働く人の「人となり」を知り、人間関係を築ければ、その分新しい職場に早く慣れることができ、仕事をやりやすい環境になっていきます。

ただし、異動者や中途入社者の出入りが多い職場では、新しく配属された人に対して誘ったり声をかけたりという気遣いをしないこともあります。

その場合は、声のかけやすい人や直属の上司を自分から誘ってみましょう。どんな職場でも、ランチ程度なら嫌な顔はされないはずです。声をかけられるのを待っていたら、「話しかけにくい人」と思われて、コミュニケーションをとるタイミングを掴めないまま、気まずい時間を過ごしてしまうかもしれません。

3:その職場のルールや習慣を把握する

新しい職場では、すぐに仕事の成果を上げようと急ぐのではなく、その職場での仕事のルールや習慣を把握し、人間関係を観察することから始めましょう。

同じ社内であっても、職場によって仕事のルールや習慣が違うこともあります。転職であれば、なおさらです。ここで自分のスタイルを貫いたり、改善案を提案したりしたら、反感を買ってしまうでしょう。新しい職場で、初めからトップギアで仕事をする必要はありません。まずはその職場のルールや習慣を覚えましょう。

また、職場の上司のタイプ、上司以外のキーマンなど、人間関係やコミュニケーションの取り方を理解できれば、職場に慣れやすく、自分の仕事も進めやすくなります。

「○○さん」と呼ぶのか、「○○課長」と役職名で呼ぶのか。フランクな付き合いなのか、節度を求める付き合いなのか。意思決定の隠れたキーマンは誰か。誰もが一目置く実力者は誰か。面倒見が良く相談相手になりそうな人はいるか。周囲の人間関係を観察すると、多くのことが見えてきます。

この観察によって職場の人間関係、空気感を早く掴むことが、新しい職場に慣れる秘訣なのです。

仕事の成果は人とのつながりができてから

人とのつながり

異動・転勤・転職を経験すると、「早く仕事の成果を出して、自分を認めてもらおう」と力が入ってしまう人もいます。しかし、たとえどんなにあなたの知識や経験、スキルが優れていたとしても、周囲との人間関係ができていなければ、それは受け入れてもらえず、仕事で発揮することもできません。

今回紹介した3つの行動は、新しい職場でより早く、よりよい人間関係を構築するために大切なことです。

新しい職場の同僚や上司が気になるのは、仕事ができるかよりも、「コミュニケーションがとりやすいか」「礼節をわきまえた人か」であり、見られているのは仕事の能力よりも人間性です。周囲の人をよりよく知り、自分を受け入れてもらって人としてのつながりができてくると、職場にも慣れ、仕事の成果も上げやすくなりますよ。