新卒で入社しだけど、こんなはずじゃなかったと後悔している…。そう思う方は少なくないようです。2018年に株式会社レバレジーズが発表した、新卒で入社した就職先に関する意識調査によると、「入社を後悔している」と回答が59.8%でした。この調査ではなんと6割もの方が、入社を後悔していることが明らかになったのです。

インターンを経験してから就職する方も増えてはきましたが、多くの場合、新卒採用情報が公開されてから、入社の意思決定をするまでは数ヶ月しかありません。企業との接点も説明会と面接の数回だけという時間のなかで、企業のことを十分に知るのは難しいため、「思っていたのと違っていた」というのはわりとよくある話です。

また、企業が説明会や面接のときにはいいことばかり言っていたけれど、入社してみたら内情は違っている、という状況もあるでしょう。

もし今、「こんな会社、入社するんじゃなかった…」と後悔しているのなら、これからに向けて、こう考えてみませんか。

何がそんなに嫌なのか、後悔の理由を考える

まずは後悔するほど嫌だと思っている理由を冷静に整理してみましょう。一般的には次のような理由が考えられます。

1.社風が合わない

就職活動時には、その会社の本当の「社風」というものがよくわかりません。「企業は良いところしか見せない」とはよく言われますが、そもそも企業との接点が少ないから、多くをみることはなかなか難しいでしょう。

また、「企業の顔」となる採用担当者は、社内でもコミュニケーション能力が高く、魅力的な社員が担当にすることも多いので、就職活動の時は感じのいい企業だったということもよくあります。

そうした「情報が足りない」「採用担当者や面接官だけで企業のイメージを描いている」状態で入社すると、入社して思わぬギャップに直面することもしばしば。

・社員が話しやすそうだと思っていたのに、配属された職場の雰囲気が違う。
・自由な社風のイメージだったのに、実は堅苦しいしルールが多い。
・残業が多く、残業するのが当たり前になっている。
・普段の会話が合わない。
・プライベートに踏み込んでくるのが困る。
・思っていたより殺伐としていた。

など、自分はこうだと思っていたのに、現状が異なっていると、「この環境でずっと仕事をするのはちょっと…」と後悔してしまうのです。

2.仕事内容が聞いていた話やイメージと違っていた

仕事内容が、聞いていた話やイメージと異なっていたということもよくあります。どんな職場でも新入社員は簡単な仕事を覚えることから始まりますから、思い通りの仕事がすぐにできることは多くはありません。それでも

・業務内容が聞いていた内容と全然違っていた。
・業務内容を理解したと思っていたけれど、こんな業務だとは思わなかった。(こんなに大変だと思わなかった)
・残業が実は非常に多かった。
・休日出勤も多かった。

など、許容範囲を超えてしまうと「こんなはずじゃなかった」という思いが大きくなってしまうでしょう。

3.仕事内容が向いていない

また、就職活動中に聞いていた話も理解し、納得したうえで入社したものの、やってみたら業務内容が自分に全く向いていないこともあります。

業務はやってみないとわからないので、「いいと思っていたけれど、実は自分には向いていなかった」ことも往々にしてあるでしょう。

ただ入社1年目の場合は、「本当に向いていない」のか、仕事に慣れずうまくいかなかったり、いろいろとストレスがあるために「慣れていない」と感じてしまうのか、自分自身でも客観的にも判断が難しいところもあります。

「この仕事は自分には向いていない」と決めるのは、仕事に慣れたと思えるまでやってみて、それから判断するのでも遅くはないのではないかもしれません。

4.同期や先輩社員、上司と合わない

会社には友人を作りにいくわけではありませんが、それでも職場の人間関係はとても大切で、いいに越したことはありません。ちょっとした雑談が楽しくできるかどうかは、仕事のモチベーションや成果にも影響してくるでしょう。

だからこそ、同期や先輩社員、上司など職場の人となんとなくウマが合わない、尊敬できない、うまくやっていけそうな気がしないとなると、入社を後悔してしまうのは無理もないことだと思います。

ただ、就職活動では、配属先の職場の先輩社員や上司と自分が合うかどうかまで判断するのは難しいのですが、それは残念ながら転職活動でも同様です。新卒採用のほうが企業説明会などがある分、まだ企業との接点が多いかもしれないくらいです。

「職場の人と合わない」というのは後悔の大きな要因になる一方で、それだけが理由で転職してしまうと、万が一、転職先の職場の人とも合わなかったときに行き詰ってしまうかもしれません。

さて、上記のうち、今の環境、状況に当てはまるものはありましたでしょうか。思っていたよりもたくさん当てはまったかもしれないですし、激しく後悔しているけれど、実は理由は1つだったということもあるでしょう。

本当は何がしたいのか、どんな環境で働きたいのかを考える

では、後悔の理由が整理できたら、次は考えを「これから」に向けていきます。今度は、「本当は何がしたいのか?どんな環境で働きたいのか?」を考えてみましょう。

本当にやりたいことは?

「自分は何がやりたいのか?」

この質問は、おそらく約1年前の就職活動の頃も自分に問いかけ、真剣に考えて、答えを見つけた結果の「今」ではないかと思います。

その時の自分が「やりたい」と思ったことは何が違ったのか、自分は何をイメージしていたのか、どんな仕事内容だったらよかったのか、しっかり答えを見つけにいきましょう

もし就職活動の時にあまり深く考えず、「人事の人がなんとなくいい人だったし、最初に内定が出たから」などの理由で入社を決めてしまったのであれば、ぜひ今こそ「自分のやりたいことは何なのか?」とキャリアプランをしっかり考えてみてください。

次こそ「入社してよかった」と思えるような会社に転職するには、この「自分のやりたいことは何なのか?」をしっかり考えることが大切です。自分でそれがわかっていれば、「それができるのかどうか?」という軸をもって転職先の情報収集をすることができ、入社後のギャップを小さくしていくことができるからです。

また、同じ目的を目指す、つまり「やりたいこと」が同じ人がいる職場は、それだけ思考に共通点があるということなので、比較的「自分と合わない」という状況になりにくいものです。

ただ、「自分が何がしたいのか」という問いは意外に難しく、自分で考えても答えがでないこともあります。そんなときは、誰か他人に話を聞いてもらいましょう

人は話をすることで、自分の頭を整理することができます。それは、人に話そうと言語化するために頭で考えていくプロセスで焦点をはっきりさせることができ、また、自分の言葉を自分で聞くことで「ああ、そう考えていたんだ」と再認識できるからだと言われています。「誰かに話す」ことは、モヤモヤした思考を整理するために、とても有効な手段なのです。

もし「誰に話していいかわからない」「こういうことを話せる友人がいない」という方は、ぜひキャリアコンサルタントを活用してみてください。

キャリアコンサルタントは、キャリアに関する話を聞き、考えを整理することをサポートする専門家です。あなたが「あ、自分はこれがやりたかったんだ」「こういうことに興味があったんだ」を見つけるお手伝いをいたします。

自分はどんな環境で働きたい?

多くの人にとっては、「何がやりたいのか?」よりも、「どんな環境で働きたいか?」という問いのほうが答えやすいかもしれません。「何がやりたいのか?」の答えがみつからないときには、「どんな環境で働きたいのか?」から考えていくという方法もあります。

・残業が少ない環境で働きたい。
・プライベートを楽しみながら働きたい(プライベートが充実している人が多いような職場で働きたい)。
・結婚して出産後も気持ちよく働きたい。
・フリーアドレスで働く場所が自由な環境で働きたい。
・駅から近いほうがいい。
・在宅勤務がしやすい環境がいい。

など、いろいろ希望はあるでしょう。「自分が働きたい環境」をしっかり描けば、もし今がその環境ではないのなら、次はそれが実現できる転職先を探せば、後悔するリスクを減らせます。

もちろん、そうした環境で働きたいから、ということは志望理由にはなりませんが、「働きたい」と思える会社が見つかったら、その会社の事業内容をしっかりしらべ、そのなかに自分のやりたいことを見出していくというやり方でキャリアプランを立てるというやり方もあります。

ただ転職をするとしても、全ての希望を叶える転職先を探すのはなかなか難しいので、「こだわり」の優先順位は明確にしておきましょう。

今の会社がそう悪くないことに気づくこともある

「自分のやりたいこと」や「働きたい環境」が整理できたら、その視点からもう一度冷静に、今の会社を見直してみましょう。そして次に、一度実際に求人を検索し、自分が希望するような企業が本当にあるのかどうか、その企業が第二新卒の採用をしているのかどうか、調べてみましょう

「本当は何がやりたいのか?」「どんな環境で働きたいのか?」を考えたときに、実は今の会社がその条件にわりと当てはまっていることに気づく方もいらっしゃいます。

たとえば、

「職場の人とウマが合わないけど、やりたいことは今の会社にある」
「仕事内容が合わないけど、給与や休日などの待遇面や、働く環境は希望通り」

といった場合です。就職活動の時には真剣に選んだのですから、考えてみれば納得の結果かもしれません。

目の前の状況が嫌になってしまうと、隣の芝生が青く見えてしまいます。でも、その芝生は隣から見ていた時ほど青くないこともよくあります。また、希望通りの会社があっても、その会社が第二新卒を採用していないこともあります。

一時的に入社したことを後悔する思いが高まっても、冷静に考えて「改めてみてみれば、悪くないかも」と思えれば、また明日から前向きになれるのではないでしょうか。

入社1年目なら、もう少し頑張れないか、自問自答してみる

冷静にも客観的にも考えた結果、「やはり、今の会社でずっと働くことはとても考えられない」という結論になることもあると思います。

しかし、もしまだ入社1年目ならば、ここで転職するのはあまり得策ではありません。それには次のような理由があります。

新卒入社1年未満で転職するデメリットとは?

入社して1年経たず数か月で退職してしまうと、履歴書には数ヶ月で退職した履歴が残ります。そうなると、転職活動では「1年も仕事を続けられなかった人」と企業に判断されます。その判断には、

「採用しても、またすぐに辞めてしまうのではないか」
「企業を選ぶときにちゃんとリサーチせず、あまり考えずに決めてしまっているのではないか」

というネガティブな印象が含まれます。

特に、ホワイト企業ほど、採用した人材には長く勤めてほしいと考えているので、数ヶ月で辞めた経験は大きな懸念材料となります。たとえ第二新卒を採用したいと考えている企業でも、入社2~3年目の応募者がいるならば、よほどのポテンシャルがない限り、ある程度の社会人経験もある入社2~3年目を採用したいと考えます。

書類ではどうしてもネガティブな印象を持たれてしまう分、面接ではそれを覆せるように、「今までの経験から学んだこと」や「1年未満で辞めるような企業を選んでしまったからこそ、次の転職先を真剣に考えていること」をしっかりまとめていく必要があると知っておきましょう。

新卒入社2年目以降で転職するメリット

しかし、入社2年目になれば状況は変わります。

スキルや経験的には、この数か月間が大きな差になることはありませんが、書類の第一印象は「職務経歴が数ヶ月しかない」と「1年はある」の差は大きいのです。だからこそ、もし今が入社2年目以降であるならば、後悔するような職場でずっと働き続けるよりは、思い切って転職活動を始めてみてはいかでしょうか。

そしてもし、今が入社1年目ならば、次の3月までのこの数ヶ月は、合否を分ける印象の差になるといっても過言ではなく、決して無駄な時間にはならないので、精神的・体力的に辛く、倒れそうなほどの状況でなければ、来年の3月まで続けることを前向きに検討してみてください。

「期間限定」と割り切れば乗り切れるかもしれませんし、嫌な状況でもモノは考えようで、後悔ばかりの環境も、見方を変えることで違うものになることもあります。

【嫌な状況を前向きに捉える考え方の例】
・「こんな上司や先輩になりたくない」と思える人ばかりなら、「こうはなりたくない人」のプロファイリングをし、反面教師にする。
・上司が合わないならば、「合わない上司のやり過ごし方」を学ぶ期間だと思ってみる。
・社風が合わなければ、「異文化に留学した」と思って割り切ってみる。
・次の3月までの人生の修行だと思って割りきってみる。

入社して後悔しているなら、転職するのは悪いことではない

入社して後悔している会社であれば、転職活動をするのは悪いことではありません。「入社1年未満であれば、入社2年目になるまで続けたほうがおすすめ」とは書きましたが、もし今が入社1年目であっても、今の環境がどうしても嫌で、考え抜いた結果「今すぐ転職したい」と思うならば、その気持ちに正直になることが自分にとってのベストな選択でしょう。

就職活動の失敗に真摯に向き合い、「これから」をどう考えているのか、きちんと伝えられたなら、新卒の会社選びに失敗したからこそ成長したあなたを評価してくれる企業は必ずあります。

そのためにも、転職活動では自分の退職理由や志望動機を対面でチェックしてくれるような、転職エージェントやキャリアコンサルタントなどプロのサポートをフル活用し、失敗を成功に変えて、次こそは希望の転職先を見つけていきましょう