「派遣社員から正社員になりたい!」
同じ派遣社員でもその思いが比較的簡単に叶う人と、何十社応募してもなかなか採用通知がもらえない人がいます。
この違いは何でしょうか。実は、単に「仕事ができる、できない」だけの違いではないと知っていましたか?
派遣社員から正社員に採用される秘訣は何なのか。正社員になりたいなら、ぜひ知っておきましょう。
「派遣社員」から「正社員」はなぜ難しいのか
そもそも、どうして派遣社員から正社員になるのが難しいのか、まずはそこから明らかにしていきましょう。
それは一般的に派遣社員と正社員では、同じ年齢でも正社員と比べてキャリアが違う、という問題の他に、「働き方や仕事の仕方が違う」からです。
企業が正社員を採用する際、正社員には以下のような働き方や仕事の進め方を期待します。
・業務に合わせて残業や転勤を受け入れること。
・状況にもよるが、基本的には企業の業務を優先すること。
・自分で考えて責任を持って自主的に業務を行うこと。
・職場とうまく連携しながら仕事を進めること。
一方、派遣社員という働き方を選んだ人に対して、そのイメージから採用側が危惧してしまうことがあります。それが次のようなことです。
・年相応の経験、責任のある任務をしていないのではないか。
・指示された仕事をするばかりで、受け身の姿勢なのではないか。
・正社員としての仕事の進め方(周囲との連携など)がわからないのではないか。
(正社員と派遣社員では責任範囲が異なるため)
・プライベートや自分の都合を優先するタイプで、正社員としては扱いにくいのではないか。
・残業や休日出勤をやってくれないのではないか。
つまり、正社員に対して求めるものと異なるのです。その結果、「正社員としての仕事を、安心して任せられないのではないか。」という不安を持ち、それなら正社員経験者を採用しようとなります。これが苦戦する理由です。
言い返せば、このイメージを覆すような応募書類を作成し、面接でアピールできれば、正社員への道はぐんと近くなります。
ではどんなポイントで正社員になりたい理由をアピールし、それを裏付けていけばよいのか、みていきましょう。
正社員になりたい理由はあくまで「仕事軸」で
派遣社員から正社員になるために特に重要なのが、「正社員になりたい理由」です。
正社員になりたい理由は、本音をいえば「年齢も考えて、そろそろ安定したいから。」「腰を据えてじっくり働きたいから。」かもしれません。しかし、このような「応募者の人生の都合」で正社員になりたい理由を伝えたところで、よほど強力な縁故でもない限り採用されることはほぼありません。
派遣社員から正社員を目指す志望理由は、必ず「正社員としてこんな仕事がしたい」という「仕事軸」で考えてください。
例えば、ある大学で留学関連事務を担当していた派遣社員のAさんは、業務上必要な情報も上司の許可がなければ閲覧できず、会議にも参加できない状況でした。社内の情報共有に参加し、学生たちによりよい情報とサービスを提供したいと訴え続けた結果、仕事に対する意欲が認められ、正社員への打診があり30代半ばにして正規雇用の職員となりました。
Aさんは大学卒業後2年間事務の仕事をした後、結婚して退職し、その後子育てしながら約8年間、専業主婦をしていました。だから、決してキャリアが豊富なわけではありません。しかし、仕事に対する真摯な思いが正社員としての採用に繋がったのです。
Aさんの事例でもわかるように、大切なのは今後の生活の安定の必要性を訴えることではなく、「正社員となって仕事の質を高めていきたい」というプロ意識と成長意欲を伝えることです。
正社員のほうが安定している。だから派遣社員から正社員になりたい。それは口にしなくても、企業の採用担当者は十分わかっています。それだけではない、「仕事への思い」を用意しましょう。
正社員同様に仕事をした実績・できる理由を伝えよう
たとえ「仕事軸」で「正社員になりたい」思いを語ることができても、それだけでは面接は突破できません。「正社員として仕事ができる(正社員同様に仕事ができる)エピソード」を用意しましょう。
もし、かつて正社員として働いた経験がある、または正社員と同じような業務をこなしている等の実績があればそれが強みとなりますので、わかりやすく大いにアピールしてください。
そのような実績がない場合には、周囲から頼りにされていたことがわかるエピソードなどを伝えましょう。また、業務に積極的に取り組む意欲、スキルアップのために行っていることを伝えるのもおすすめです。
自分で考えて仕事をした経験をアピール
そして重ねてアピールしたいのが、「自分で考えて仕事をした経験」です。企業が正社員の採用に応募してきた派遣社員に対して最も懸念するのが、「言われたことしかできないのではないか。」「仕事に対して受け身ではないか。」という点です。
この懸念を払拭する材料を用意しておきましょう。
どんな小さなことでもいいので、自分で考えて業務改善を提案した事例、自分から上司に働きかけて上手くいった事例などを用意し、仕事に対する自発的な姿勢をアピールしてください。
派遣社員から正社員になるために大切なこと
そして派遣社員から正社員になるには、企業選びも大切です。
例えば、中小企業であれば派遣先の企業に正社員として雇用を打診も可能性がありますが、大企業の場合は派遣社員から正社員に採用されることはほぼありません。
なぜなら大企業は業務分担が明確であり、明らかに正社員は違う責任と職務があると割り切られているからです。実務でどんなに頑張っていたとしても、派遣社員として行っている職務で評価されていたとしても、正社員として雇用されるのは極めて難しいでしょう。
その点中堅・中小企業であれば、実際に派遣社員が正社員並の仕事をしていることもあり、それが認められる可能性も低くはありません。
同様に転職先の企業選びも大企業よりは、中小企業やベンチャー企業を選んだほうが正社員として採用される確率は高いでしょう。
大企業のように正社員の応募者も集まるような求人では、よほどでない限り、他者比較で不利になってしまいます。
大企業よりも中小企業やベンチャー企業で。この点を踏まえた企業選びをすることで、派遣社員から正社員になる転職活動はよりスムーズにいくでしょう。