職場の人間関係の悩みは、多かれ少なかれ誰もが経験します。気を遣いすぎたり、どうしても合わなかったりしてストレスがたまってしまい、辞めたくなることもあるでしょう。
実際にいつの時代でも、「職場の人間関係の悩み」は転職理由の上位に入っています。
しかし、会社を辞める前にできることもあります。ストレスで心身に影響が出るほど我慢する必要はありませんが、職場の人間関係に疲れて会社を辞めたくなったら、一度立ち止まってこんな視点から考えてみませんか。
辞めても次の職場が人間関係に恵まれているとは限らない
職場の人間関係に疲れて転職しても、次の職場に自分の希望するような人間関係があるとは限りません。
求人情報や面接では、自分が配属される部署の人間関係まではわかりません。今はネットで転職情報として、企業で働く人の本音情報を確認することもできますが、情報の真偽は確かめられません。真実だったとしても、その情報の提供者と自分の感性や受け止め方が一致するとも限りません。
ある人にとってはとんでもない企業も、自分にはぴったり合う企業という可能性もありますし、その逆もありえます。
いずれにしても、転職で仕事や企業は選べても、職場の人間関係までは選べません。社会人であれば、どんな職場であっても対応できる対応力が必要です。今がその対応力を学ぶ時だと思ってみましょう。
「辞め癖」がついてキャリアダウンを繰り返す可能性も
嫌なことがあるからといって仕事を辞めてしまうと、「退職」や「転職」への抵抗感がなくなり、「嫌なことや納得できないことがあったら、辞めればいい。」と転職を繰り返すようになってしまいます。そのうち
「上司と合わないから。」
「希望していない部署・仕事への異動辞令が出たから。」
「給与がダウンしたから。」
とちょっとした理由で、仕事を辞めてしまうようになります。転職相談の現場でも、30代で6~7社経験など人よりも多い経験社数を持つ方は、このように「会社を辞めること」に抵抗がなくなり、「辞め癖」がついているタイプも多いのです。
最初の1~2回の転職なら、問題なく仕事が見つかるかもしれません。しかしそれが繰り返されると、人より多い経験社数は転職でマイナス評価になっていきます。希望する仕事や待遇で、なかなか採用してもらえなくなってしまうことが増えていくでしょう。
その結果、よほどのスキルや能力を持っていない限り、転職の度に年収がダウンし、待遇も悪くなる、キャリアダウンのスパイラルに陥ってしまう可能性が高くなります。
簡単に仕事を辞めてしまう「辞め癖」がついてしまうのは、キャリアにも人生にも決してプラスではありません。
原因は自分?対応や見方を変えれば現状が改善する可能性も
職場の人間関係の問題の原因が、自分にあることもあります。次の行動に心当たりはないでしょうか。
□出社、退社のときに挨拶をするのが面倒。
□仕事をする時に人に聞いたり、確認したりするのが苦手。
□他人の評価が気になってしまう。
□自分より仕事ができる人へのライバル意識が強く、その人行動をいちいち気にしてしまう。
□仕事ができない人にイライラし、つい冷たく当たってしまう。
□同僚や先輩、上司の気になる言動をよく周囲に言ってしまう。
□言われたことを忘れたり、後回しにしたりしてしまうことがある。
□人に注意されるといやな気持になり、「そうはいっても!」と思うことがよくある。
もし心当たりがある場合は、あなた自身が職場で「扱いにくい人」になっている可能性があります。これらの行動を改めることで、あなたに対する周囲の目も変わり、人間関係も改善していく可能性が高いでしょう。
もちろん自分の行動とは別にトラブルメーカーが存在し、職場の人間関係にストレスを感じてしまうこともあります。「そんな言い方をしなくてもいいのに。」と思うような対応しかできない人は、どこにでもいます。
その際は、物事の捉え方を変えてみましょう。
文句ばかりいう人、他人に感情的に当たり散らす人、何でも人のせいにする人、大人になっても誰かをいじめる人というのは、その人自身何か問題やストレスや傷を抱えていることが多いのです。
「人に嫌な思いをさせているとも気づかず、こういう言い方や対応しかできないかわいそうな人なんだな。」と思えば、行動の受け止め方もだいぶ変わってきます。
困難な人間関係も成長のチャンス
職場の人間関係にストレスを感じた時、仕事を辞めて「場」を変えれば、確かにその悩みが解決するかもしれません。
しかし、自分も周囲も異動が繰り返される会社員人生では、よい職場環境ばかりに恵まれて定年まで勤め上げられる可能性は極めて少なく、今後の人生でもどこかでストレスフルな人間関係に悩まされる可能性のほうが高いでしょう。
その度に仕事を変えますか。
職場の人間関係で困難な状況を乗り越えることは、社会人として学びや成長のチャンスでもあります。
自分の対応や見方を改めて見直す機会になりますし、プライベートでのストレス発散の方法や、「聞き流す」「気にしない」などのストレスをため込まない方法を若いうちに身につけておけば、必ず役に立つでしょう。
今を学びと成長のチャンスと捉えなおしてみると、職場の人間関係に疲れて転職する前にもう少し今の環境でできることが見えてくるかもしれません。