中途採用では、企業は基本的に「経験者」を採用したいと考えます。だから、転職でキャリアチェンジをするのは、一般的にはそう簡単ではありません。

しかしその難易度も準備次第で変わってきます。転職でキャリアチェンジをしたいと思ったら、次のような万全の準備をしておきましょう。

1:「なぜキャリアチェンジしたいのか?」志望動機を明確に

なぜキャリアチェンジ

通常の転職活動でも志望動機は重要ですが、キャリアチェンジをしたい場合は更にその重要度が増します。「経験はないけれど、こんな人なら会ってみたい」と採用担当者が思うような内容が求められるからです。どんな内容であれば、「会ってみたい」と思ってもらえるのかというと、

・応募企業のことをきちんと調べ、情報分析している(3C分析、4P分析)。
・その情報から、なぜキャリアチェンジしたいのか、なぜ応募企業を選んだのかが納得できるストーリーになっている。
・他の経験をしてきたからこその新しい価値を提案している。

が最低限、含まれていることが望まれます。

それに応えるために、応募企業について1社1社きちんとリサーチし、その企業の商品やサービス、市場性とそこで自分がやりたいこと、違う経験をしているからこそ役に立てると思うことを具体的に志望動機、または自己PRとしてまとめましょう。

未経験の分野へキャリアチェンジを成功させたいなら、経験のある分野に転職する時以上のリサーチが必要です。言うまでもなく志望動機・自己PRは1社1社用意し、採用担当者が「うちのことを本当によく調べて、よく考えてくれたんだな。」と感じられるようなものを目指してください。

企業が求める経験を持っている場合は、志望動機が多少まとまっていなくても書類選考くらいは通過できる可能性もありますが、未経験からのキャリアチェンジではそうはいきません。

気合を入れて応募書類を作成しましょう。

2:職務経歴に「余計なこと」を入れない

応募書類でもう1つ大切なことは、職務経歴で「余計なこと」は書かない、目立たせない、ということです。可能な限り、これから志望する仕事に関連する業務やスキル、経験をわかりやすく書きましょう。

ここでいう「余計なこと」とは、キャリアチェンジしたい分野では活かせない、またはあまり関係のない経験のことです。

例えばインターネット広告の企画提案営業をしていて、インターネット関連事業のマーケティングや事業企画などにキャリアチェンジしたいというケースを例に考えてみましょう。

このまま法人営業で転職する場合は、営業実績や担当していた顧客領域、1ヶ月の訪問件数や新規開拓件数などのプロセス数字があるのが望ましくなります。しかし、インターネットマーケティングや事業企画を希望する場合、「営業」に関するプロセス数字よりも重要なものがあります。

それが、どのようにマーケットを捉えてどんな販売促進企画を提案してきたかなど、マーケティング力や事業企画力があるとわかるような実績であり、それが職務経歴書でわかりやすいようにクローズアップして伝える必要があります。

他にも、例えば「総務と経理を経験してきたけど、この先は人事にキャリアチェンジを希望する」など、複数の職務経験がある場合は、これから希望する職務に関連しないものは簡略化して書くことも有効でしょう。

このケースでは、業務経験のうち人事関連業務(福利厚生の対応や給与計算など)があればそれをわかりやすいように書き、それ以外の業務(請求書の伝票処理など)は簡略化する、という具合です。

職務経歴書では、未経験ながらも希望する職務に活かせる業務経験や能力・スキルを持っていることをわかりやすくアピールしなければなりません。

わかりやすい職務経歴書になっているか自信がなければ、応募前に信頼できる第三者にチェックしてもらい、アドバイスをもらうとよいでしょう。

3:「仕事内容」以外の条件はすべて妥協する覚悟を

今までと比べて年収が下がる。
大企業から中小企業へと企業の規模が小さい。
企業の知名度が低い。
勤務地が希望の勤務地ではない。
福利厚生が充実していない。

など、応募企業を選ぶ時に今の条件と比べてしまい、キャリアチェンジしたいけれど、働いてみたい企業があまりないという人もいるかもしれません。

しかし、転職でキャリアチェンジをしたいと思ったら、「仕事内容」以外の条件は全て妥協する覚悟も必要です。「応募先がない」と応募を見送っている間に月日が過ぎてしまえば、それだけキャリアチェンジの難易度は上がってしまいます。

「経験者」を採用するのが原則の中途採用市場で、未経験の分野に挑戦したいと思った時に、そもそもその希望を受け入れてくれる企業のほうが少ないことを認識しておきましょう。大手企業など、経験者からの応募も多く集まるような人気企業では、まず採用してもらえる見込みはありません。

それにも関わらず、応募企業について選り好みをしてしまう間は、キャリアチェンジに対する本気度がまだ熟していないともいえるかもしれません。

とにかく未経験の分野への挑戦ですから、面接を突破するには相応の本気度が必要です。

本気でキャリアチェンジしたいなら、まずは何が何でもその仕事に従事することを第一に考えてください。実績ができたら、より条件のいい企業に今度は「経験者」として転職する可能性も見えてくるでしょう。

「経験者」よりも採用したくなる「本気な人」になろう

繰り返しになりますが、よほどの理由がない限り、企業が中途採用で採用したいのは「経験者」です。そこを突破して採用してもらうためには、「経験者」よりも採用したくなる人でなければいけません。

この時に何で差をつけられるかというと、それが仕事に対する熱意や本気度です。

今までに紹介したのは、その仕事に対する熱意や本気度を伝えるために最低限必要なことです。しっかり準備をして、経験者よりも採用したくなる、仕事に本気な人になって転職活動に臨みましょう。