転職手段の1つに、転職エージェントの利用があります。無料で様々なサービスを受けられる転職エージェントをうまく活用すれば、他にはない求人情報を入手でき、面接から入社までスムーズにいくよう、多くのサポートをしてもらえます。

そのサービスを最大限活用するためには、転職エージェントのキャリアアドバイザーとの付き合い方にコツがあるのをご存知ですか。

特に通常キャリアアドバイザーに会うのは、初回面談の1度のみ。この面談にどのように臨むかで、その後の転職活動に差がつきます。

そもそも転職エージェントの「面談」ってどんな場なの?

面談

転職エージェントのキャリアアドバイザーとの面談は、面接ではありません。面談は、あなたの転職理由や今後の希望を伝え、今後どのようなサービスをしてもらうのか、キャリアアドバイザーと方向性をすり合わせる場です。

一方、キャリアアドバイザーの視点からすると、あなたがどのような人物か、応募書類では伝わらない部分を判断する場です。雰囲気、考え方、話し方、身だしなみなどをチェックし、紹介する企業を選ぶ判断材料にし、あなたの人物情報を応募企業に伝えます。

面談の場で誠実な対応をすることで、キャリアアドバイザーが持つあなたの印象も良くなり、それが応募企業にも伝わって、転職活動にプラスになると考えましょう。

そのためにも、第一印象を良くするための清潔感のある身だしなみは大前提です。私服の場合にも、「将来の仕事を相談しに来た人」として誠実で好印象が持てるかどうかを客観的に判断してみましょう。そのうえで、気を付けると差がつく面談のコミュニケーションのコツがこちらです。

1:今後の希望に転職理由と本音はできるだけ伝える

本音

今後どのような仕事、あるいは企業で働きたいのかは、できるだけ本音で伝えましょう。転職理由も可能な限りは、本音で伝えるほうがよいです。そのほうがあなたの大事にする価値観がより正確に伝わり、希望に近い仕事を紹介してもらえるようになるからです。

例えば、今回の転職理由が「転勤辞令が出て、どうしても転勤したくないので転職したい。」が本音だったとします。これをそのまま伝えれば、転勤のない企業を紹介してもらえます。しかし、「今までのキャリアを活かして○○をやりたいと思った。」と、無理やり前向きな理由にしてしまうと、転勤のある企業を紹介されてしまい効率が悪くなる可能性もあります。

転職理由がキャリアアップ等のポジティブ理由なことばかりではないことは、相手は百も承知です。今の職場や企業(退職している場合は前職)の文句や愚痴を一方的に言うのでなければ、転職理由がネガティブだからといって、ネガティブな印象を持たれることはそうありません。

ネガティブなことを伝えるのに抵抗がある場合は伝えなくても構いませんが、その際には「次の職場には、どのような雰囲気を希望するか。」という形で、今の不満を解消できるような職場を紹介してもらえるようにしましょう。

2:今の転職活動の状況を正直に伝える

面談では、今の転職活動の状況をできる限り正直に伝えましょう。

□転職活動の段階
(転職はまだ先で情報収集の段階なのか、活動し始めたばかりか、すでに何社か応募しているのか、内定をもらった企業があるのか)
□応募している企業があれば、応募企業と応募した理由とその企業の優先順位
□面接の調整がつきやすい時期
□他のエージェントに登録していればその状況とここに登録した理由

などを伝えることで、キャリアアドバイザーはあなたの状況がよくわかります。相手の状況が詳しくわかればわかるほど、適切なサービスがしやすくなります。

例えば、すでに何社か応募している状況でれば、書類選考や面接日程を通常よりも早めてもらえるよう、企業と調整してくれます。海外出張などで面接日程がなかなか取れない場合には、面接可能な時期にまとめて面接を組むこともできます。

また、「今は情報収集の段階で」と言えば、しつこく応募を進められることはおそらくありません。キャリアアドバイザーも、転職意欲が高い候補者に集中したいのです。

「他の転職エージェントにも登録していると話してはまずいのではないか。」
「今応募している企業があると伝えると、あまり企業を紹介してもらえないのではないか。」

と考える方もいますが、その心配はありません。キャリアアドバイザーの視点から言えば、転職活動の状況がよくわかっている候補者は、提供すべき情報が何かがわかり、そうでない候補者に比べて心理的距離も近くなるので、コミュニケーションがとりやすいのです。

かといって、事細かに随時報告する必要はありません。面談時点での活動状況をオープンにした後は、求人紹介・応募依頼のタイミングなどで報告すればよいでしょう。

3:キャリアアドバイザーと合わない場合は遠慮なく担当変更を

転職エージェントのキャリアアドバイザーと面談をしても、「提供してもらえる情報量が不満。」「アドバイスに共感できない。」など、「なんとなく信頼できない。」ということもあります。また、相談しにくい、コミュニケーションがなんとなく取りにくいということもあるでしょう。

その際は、遠慮なく担当変更を依頼しましょう。転職エージェントのキャリアアドバイザーを活用できる場面は、単なる求人紹介だけではありません。面接アドバイス、ネットや口コミサイトではわからない企業の生情報の提供、面接日程調整、面接後の企業へ熱意のアピール、内定交渉と様々な場面でその力を利用できます。そのためキャリアアドバイザー次第で、転職活動の満足度、成功度は大きく変わります。

ただし、業界や職種によっては、他に担当がいなくて担当変更ができない場合もあります。その際は、その担当者は「求人を紹介してくれる人」と割り切って、他の転職エージェントに登録してみましょう。

よいパートナーシップを築ければ活動にプラスαが

構築

転職エージェントのキャリアアドバイザーは、ボランティアでもお友達でもありません。しかし、こちらがビジネスライクで割り切ってしまえば、相手もビジネスライクに対応します。

それでも必要なサービスを受けることはもちろんできますが、転職エージェントの持つ機能を最大限活用したいならば、「よいパートナーシップ」を目指しましょう。

キャリアアドバイザーも感情を持った人間です。同じ条件ならビジネスライクな対応をされるよりも、信頼できるパートナーとして接してもらった方が嬉しく、その分何かあったときの対応に差が出ます。

例えば、キャリアアドバイザーが転職エージェントの企業担当者にプラスの評価で推薦したり、面接などの融通を利かせてくれたりと、転職活動にプラスアルファの効果があります。

「自分のことをオープンに話し、誠実な対応をしてくれる人」には、心理的に誰もが好印象を持ちます。転職エージェントを利用する際には、ぜひあなた自身がそのような人になりきって、転職活動を有利に進めましょう。