大学を卒業して、社会人になってから約10年。
企業の最前線で即戦力となる30代ともなると、今までに転職したことがあってもなくても「このまま今の仕事(会社)でいいのかな」とキャリアチェンジが頭をよぎることは、誰にでもあるでしょう。
30代でキャリアチェンジしたくなったときに、人事異動で叶えば望ましいですが、そう簡単に叶うものではないのが現実です。
それでも、「転職してでも叶えたい」とキャリアチェンジへの思いが強くなってしまったら、「30代からのキャリアチェンジ」に求められる4つの項目に全て「YES」と答えられるかどうか、チェックしてみてください。
1:本当にその「仕事」がやりたいか
「これをやってみたい。」と今、考えているその仕事。
それは、本当に心からやりたいと思い、この先ずっと自分の仕事にしていきたいと思えるものでしょうか。
特に今まで1度も転職したことがなく、社内でもほぼ同じような部署で仕事をしているという人ほど、「何となく違う仕事もしてみたい」「何となく、違う会社も見てみたい」という理由からキャリアチェンジを考えてしまうことがあります。
実はキャリアチェンジしたい本当の理由は、「マンネリを感じる現状からの脱出」であり、「やりたいことの実現」ではないことはよくあるのです。
本当にやりたい仕事があってのキャリアチェンジなのか、それとも何らかの理由があって現状がイヤなだけなのか、自分の心に問いかけてみましょう。
キャリアチェンジしたいと思った本当の理由が「現状がイヤ」であれば、その思いの解決策は転職してキャリアチェンジすることではないかもしれません。
2:未経験ならではの価値を提供し、
未経験で今からやっていける資質を備えているか
一般的に企業が30代を中途採用する時は、即戦力を求めます。今までの経験を活かして、どれだけ自社に貢献してくれるのか、それを期待して採用するのです。
30代でキャリアチェンジして新たな職種へ転職するとなれば、その企業の期待に未経験なりに応えていける「何か」を準備する必要があります。
それが、
・今まで異なった業務・業界での経験があるからこそできる、新たなビジネスチャンスや新規事業の提案や、業務効率を上げるための提案、組織をよくするための提案などの「提案力」
・あなたが入ることで組織が活性化すると思わせる「人間力」
・今からでも新たな業務・職場に馴染める「柔軟性」や「素直さ」
などです。
応募する職種で業務経験を持つ他の応募者よりも、キャリアチェンジで応募した自分を選んでもらうために、「今までの経験を生かして、応募企業にどんな新たな価値を提供できるか」という視点で志望動機を語れるでしょうか。
そして、「この人なら、今から未経験で採用してもすぐに業務を吸収し、成果を出してくれそう」「未経験だけど職場の人とうまくやっていけそう」と企業を安心させられるようなスタンスで臨めるでしょうか。
もし今までその視点で考えたことがなかったら、ぜひ一度考えてみましょう。
3:年収、社格、勤務条件・・・すべて下がってもやりたい仕事か
30代で転職してキャリアチェンジを実現したいと思ったら、年収、社格、勤務条件などすべてが今よりも下がってもいいと言い切れるくらいの覚悟も必要です。
今受け取っている給与は、今までの経験や実績に対して支払われているものです。キャリアチェンジしたら、その実績や経験に対する評価は変わりますから、現在と同様の年収を希望するのはそもそも無理があります。
また、現実的に30代でキャリアチェンジしたい未経験の応募者の採用を検討してくれるのは、中小企業かベンチャー企業になります。大手企業では、中途採用をすれば経験のある応募者が集まるので、リスクを冒してまで未経験者を採用する必要がないからです。
「今のままでは嫌だし、キャリアチェンジしたいけれど、年収や社格、勤務条件は下げたくない」では、転職でキャリアチェンジするのは無理難題といっても過言ではありません。その場合は、今の社内で現状を打破する方法を考えたほうが、得策といえるでしょう。
4:年下の経験者の話を素直に聞くことができるか
最後に、転職してキャリアチェンジが実現した時のことをイメージしてみましょう。
その職種ではあなたは初心者同然です。職場にはおそらくあなたよりも年下の経験者がいて、仕事を教えてもらう必要があります。その時に年下の経験者の話を、素直に聞くことができるでしょうか。
今までとは全く異なる業務やその業界・職種ならではの暗黙のルールなどを、謙虚に周囲に確認しながら、覚えていくことができるでしょうか。
未経験で新たな職場に入社したら、周囲に仕事を教えてもらう「謙虚な姿勢」が必要となります。今までの業務でどんな実績があったとしても、それは全く関係なくゼロからのスタートです。
「今から20代の若手に教えてもらうのはちょっとなぁ…」と少しでも躊躇する気持ちがあるようでは、仮に転職ができたとしても、中途入社した後の職場でうまく人間関係を築き、仕事をこなしていくことは難しいかもしれません。
「キャリアチェンジしたい」と思った「本当の理由」を見極めよう
「キャリアチェンジしてこの仕事を本気でやりたい」と考えているならば、ここで紹介した4つの項目に「YES」と答えるくらいの覚悟が必要となります。
1つでも「YES」と答えられなかった項目があれば、キャリアチェンジの道は残念ながら少し厳しいかもしれません。
ですがそんなときは、ぜひ、あなたがキャリアチェンジしたいと思った本当の理由は何だったのか、もう一度考えてみてください。
それはもしかしたら、「やりたい仕事がある」ではなく、「マンネリから脱出したい」「今の仕事は激務すぎて、長く働けないから違う仕事がしたい」等、なんとなく「今を変えたい」という思いだったのではありませんか。
その場合、現状の不満や悩みを解決する方法は「転職してキャリアチェンジする」以外にもあります。そして「転職してキャリアチェンジする」よりも、他の解決法を試すほうがはるかに簡単なこともあります。
自分が本当に望んでいるのは、キャリアチェンジなのか、そうでないのか。迷ったときはぜひ私たちキャリアコンサルタントにご相談ください。