「このままでいいのかな」と、今の仕事や今後のキャリアについて、働く人の大半が悩みを感じたことがあるでしょう。

仕事を始めるタイミングでも、長期的なキャリアをイメージするものです。それでも働き始めると、思っていたような仕事内容や働き方ではなかったり、ライフイベントの発生で違うキャリアを選ばないといけなくなることもあります。

今回は人生における仕事とキャリアの考え方をご紹介します。

なぜキャリアに悩んでしまうの?

働く人のほとんどが直面する、仕事とキャリアについての悩み。なぜみんな、キャリアについて悩んでしまうのでしょうか。

一人ひとりキャリアは違う

キャリアに関しては、一人ひとり違う道を歩んでいくのが大きな要因でしょう。同じ性別、同じ年齢でも育った環境が違えば後々の選択肢も変わってきますし、パートナーの有無やライフイベントの発生などでも大きく変わります。

ただ同じ会社で同じ仕事をするという点だけでみると、同じスタートラインに立って同じところを目指しているようにも見えます。

それが仕事とキャリアの大きな違いではないでしょうか。

仕事は業務を含めた共通の目標がありますが、キャリアは仕事を含めた一人ひとりの人生そのものなのです。

キャリアは誰にも正解がわからない

キャリアに関しては、誰にも正解がわかりません。本人が正解と思ったら正解なのです。

だからこそ自分のキャリアに関しては、悩み続けるのが当たり前の姿なのかもしれません。悩んで、考えたからこそ、その決断を自分で正解と思える時がくるのだと思います。

自分がした選択を正解にするために努力し、考えていかなければならないのです。

キャリアは思い通りにならない

キャリアに関しては思い描く理想の姿があったとしても、思い通りになるかはわかりません

運やタイミングもありますし、そしてただ仕事で数字を追うということではなく、あなたの人生とあなたに関わる人の人生が絡みあっているからです。

「20代は仕事を頑張る!」と思っていても子どもを授かり、仕事よりも家庭を優先したくなるかもしれません。

人生何が起こるかわからないように、キャリアに関しても何が起こるかはわからないのです。

キャリアの悩みは多岐にわたる

一言でキャリアに関しての悩みといっても、その種類は多岐に渡ります。性別や年齢によって異なる悩みもあるからです。

ライフイベントとの兼ね合い

キャリアを考える上でまず思い浮かぶのは、結婚などのライフイベントへの対応ではないでしょうか。

ライフイベントを計画的に行うこともできますが、いつも計画的に起こるとは限りません。そして計画外に発生したライフイベントであっても、あなたの人生にとって大きな転機となる可能性が高いのです。

特に妊娠・出産に関しては、女性の多くが悩むことでしょう。仕事が楽しくもっと頑張っていきたいと思っていても、必ず休まなければいけない期間があります。

そして頑張りたいと思っていても、心身共に今までとは異なる状態になるため、長年思い描いていたようなキャリアを断念せざるを得ないこともあるのです。

また男性にとっても、新しく家族が増えることで今後のライフプランが大きく変わるでしょう。パートナーが一生懸命お腹に宿した命を守ってくれているところを側で見守っていると「自分は仕事を頑張らないと!」という気持ちになる方が多いのではないでしょうか。

今まで激務で毎日深夜に帰宅するような生活をしていた方は、キャリアを見直す必要も出てきそうです。

長期的なキャリアパスが見えない

今仕事を頑張っていても、結局何になるんだろう?どうしたいんだろう?と悩む方もいるのではないでしょうか。

同じ仕事をし続けていて昇進せずに同じポジションのままだったり、周りのメンバーも変わらないとなると、長期的にみて「今後も何も変化がないのかもしれない」「このままでいいのだろうか」と不安になるかもしれません。

もちろん変化がないということが悪いことではありませんが、ずっと同じことをしていていいのだろうかという悩みは起きやすいです。

または周りが転職や退職など、どんどん変化を求めて環境を変えているような状況になると、自分は置いていかれているような感覚になるかもしれません。

そうなってくると自分の将来や、キャリアについても見直したくなるでしょう。

理想のロールモデルがいない

もし、あなたが「理想の働き方」や「理想の仕事内容」が具体的にイメージできているのであれば、それを実現できている方が社内にいるかどうかはとても気になりますよね。

「30代で部長になりたい!」と思っていても、今の会社の部長陣は40代後半の方しかいなかったり「育休後は時短勤務で、両立しながら働きたい!」と思っていても時短勤務の社員がいないこともあります。

そういった環境では、ロールモデルとなる方がいないので不安になってしまいます。

「前例がなければ作ればいい!」と前向きに挑戦していけるのであれば問題ないのですが、前例がなければ自分のときも希望は叶わないのではないかと思ってしまうのも無理はありません

仕事へのモチベーションが維持できない

なんとなく仕事を続けているけど、仕事に対するモチベーションが維持できないという方もいるのではないでしょうか。

たとえ今の仕事自体に不満はなくても、「作業」と化してしまってやる気が出ないということもあります。

または、周りで働く人達のやる気のなさに影響されてしまうこともあるでしょう。周りは関係ない!と思っていても、実際にあまりモチベーションの高くない環境にいると精神的な負担は大きいものです。もしあなたが「仕事を頑張りたい」「仕事で成長したい」と思っているならば、モチベーションが低い環境は相当なストレスでしょう。

自分らしいキャリアプランとは

あなたには、自分自身が実現したいキャリアプランはありますか。キャリアプランというのは、「バリバリ働いて実績を上げ、成功していきたい」というキャリアアップの話だけではありません。

キャリアはまさに人生そのもの。どんな仕事を、どんな環境でどのように働いていきたいかというものです。キャリアプランを考えることで、どんな方向に向かって、どのように歩いていきたいのか、自分の軸がはっきりします。また、自分の軸が明確になるので、軌道修正の際に何を大事にすればよいのかも考えやすくなりますし、悩みも整理しやすくなります。

ここではキャリアプランを練る際の流れをご紹介していきます。

理想のキャリアを書き出してみる

自分の理想のキャリアはどのようなものなのかを知るには、まず具体的に自分の理想像を書き出してみるのがおすすめです。

「40代で年収1,000万円を目指す!」「仕事も楽しみながら、プライベートも充実させたい」というような目指したい状態を描き、それを実現するにはどんな仕事や環境が必要なのか、いつまでに何をしておくとよいのかを考えていきましょう。

頭の中で想像するだけではなく、紙に書き起いてみると、可視化することでしっかりと認識することができるのでおすすめです。自分が実現したいことに対して、日々何が必要になってくるのかまでイメージしましょう。

あなたにとってのロールモデルがいるのであれば、その人がどのようなキャリアを歩んでいたか知ることも重要です。企画の責任者になりたいのであれば、その前にどのような経験やスキルが必要になるのかなど、具体的に知っておきましょう。闇雲に頑張っていても、もしかすると届かないキャリアなのかもしれないからです。

キャリアプランを明確にする

実現したいことが明確になったら、今度はキャリアプランを立ててみましょう。キャリアプランは仕事面のことだけではなく、人生そのものをどうしていきたいのかを反映させることが大事です。

例えば将来的には地元へ帰りたい、マイホームを建てたい、海外移住したいなど仕事への影響が大きい目標もあるのではないでしょうか。

自分でキャリアプランを練るのは難しいと感じる方は、プロに相談してみましょう。日本ではキャリアに悩んだからといってプロに相談するというのはあまり広まっていませんが、海外では当たり前のように行われています。

また転職エージェントだと転職を考えている人だけが相談するものというイメージが強いですが、仕事の斡旋ではなくキャリアを相談する相手としてキャリアコンサルタントが在籍しているところを選べば問題ありません。

プロに相談することでキャリアに対しての悩みがすっきりしたり、さまざまな選択を行う上で意思決定の後押しをしてくれるかもしれません。

今のままでも実現可能なことを知る

キャリアプランを立てることができたら、自分の目標に対して今の環境や年齢だからこそできることを知っておきましょう。

たとえば、「起業して社長になりたいから退職する!」というような唐突な決断をする前に、少し落ち着いて現在自分の置かれている環境をしっかりとみてみてください。

社内に新規事業の発足を応援するプログラムがあったり、希望者にはマネジメント研修を受けさせてくれたりと、退職しなくてもあなたの目標へプラスになるようなものが今の環境にあるかもしれません

目標に向かって突き進むことができるのはとても良い才能ですが、まずはリスクを取らずにメリットを享受することを考えるのがおすすめです。

「あの時退職したのは、間違いだったなぁ」と後悔しないような決断をするためには、しっかり状況を把握して冷静に判断していきましょう。

環境を変えないと難しいことを知る

もちろん、今の環境では自分が希望するキャリアプランを実現するのは到底難しいという状況になることもあると思います。

自分が身につけたい経験やスキルが、今の環境では身に付かなかったり、地元に帰りたいけど支店がないから今の会社じゃ無理だということもあります。

その場合は今できることと、将来的に絶対不可能になることを比較してみましょう。そして環境を変えなくてはいけないのであれば、それはどのタイミングがベストなのか、など具体的にイメージしておきましょう

なんとなくのタイミングで行動していると、もっと早くやっていればなぁと後悔することもあります。

あなたにとっての優先順位をつける

キャリアプランを練って、今できることとできないことを知った後は、自分にとっての優先順位を考えてみましょう。「これだけは譲れない」というポイントを自分自身の中で持っておくことで、選択に迷った時に何を優先すれば良いのか判断しやすくなります。

これから長くキャリアを歩んでいく中で、全てが理想通りに進んでいくわけではありません。いつかは、何かを選び、何かを選ばないという取捨選択を迫られるタイミングがやってきます。

たとえば、地元に帰ることができても収入は減ってしまったり、やりたい仕事をできるけど、激務でなかなか家族との時間を確保できなくなってしまったり…など、「全てが思い通りになる」環境はなかなかないからです。

しかしそうなった場合でも、優先順位が明確であれば、自分自身も納得して意思決定することができます。地元に帰ることが第一優先なのであれば収入を諦めて帰る選択になりますし、家族との時間をたくさんとることが優先なのであれば違う仕事に就く選択もできます。

自分の中での優先順位を決めておけば、後から嫌なことがあったとしても一番大切にしていたことが守られていると、納得感のある決断をしたと思えるでしょう。

キャリアプランに沿った行動

理想のキャリアプランを練った後は、それに従い行動していくことになるでしょう。では具体的にどのような行動をするのが良いのか、ポイントをご紹介します。

必要な能力開発を行う

理想と現在の距離感を掴んだ後は、目指す理想とする姿にむけて、必要な能力開発に時間をかけることが大切です。なりたい姿はあるけど、能力が追いついていないとなると理想の実現はなかなか大変そうですよね。

たとえば経営者になりたいのであれば、扱う商材の知識が必要ですし経営の勉強もしなくてはいけません。

今の段階で具体的にやりたいことやなりたい姿がイメージできていない場合でも、自分の能力開発を行なっておくことで後々役に立つことがあります。特に興味のある分野がない方は、今取り組んでいる業務内容に沿ったスキルを伸ばしていくのがおすすめです。

営業であればもっと成績を伸ばすためにマーケティングを学んだり、心理学を学んでコミュニケーション能力を伸ばしておくというのもいいでしょう。

または会社で許可されているかの確認はしなくてはいけませんが、副業に挑戦してみるというのもおすすめです。

副業をしてみると個人事業主のように、どういう流れでお金が生み出されているかというビジネスに必要なことを体感することができます。気軽に始められることはたくさんありますし、それで副業収入も得られるので、最終的に自分には合っていないとわかったとしても挑戦してみる価値はあるでしょう。

何より「これは自分に合わない」「これが自分に合う」ということを知る経験は、今後の人生に活かせるはずです。

可能であれば上司へも共有する

上司との関係性や組織の雰囲気などもあると思いますが、もし理解をしてくれそうな上司ならば、上司にもあなたのキャリアプランを共有しておきましょう。

もしそれが社内で叶う内容なのであれば、新しいポジションが空いた際など上司の方はあなたのことを想起してくれるでしょう。地味なことですが、やりたいことはやりたいと、周囲にきちんとアピールしておくことは重要です。

ただ注意点は、絶対に今の会社では実現不可能な目標があるのであれば、上司や周りに退職を想起させてしまうので闇雲に話すのはやめておきましょう。ちょっと判断がつかない時も、言わないでおくのが安心です。

転職を検討する

キャリアプランに沿った行動をする上で、もちろん転職という選択もあるでしょう。今の環境ではできないことを叶えるためには、一番早い方法です。

ただ近年転職は簡単にできるように思われていますが、実際にあなたが入りたい会社や職種に簡単になれるということかはわかりません。

求人倍率は、人気の職業とあまり人気ではない職業を合わせて算出されています。まずは転職を考えている業界の状況を、しっかりと把握することから初めてください。

転職はキャリアにおいてとても大きな転機となります。後々に後悔しないようフィーリングで決めてしまうのではなく、しっかりとプロに相談して進めていくようにしてください。