「キャリア迷子」という言葉を耳にしたことのある方は、多いのではないでしょうか。

「キャリア迷子」とは、キャリアに悩みを抱えて今後の展望が描けない状態のことで、リクルートワークス研究所の調査によると日本人の約8割に該当するという結果が出ました。そして年代別では30代が一番高い割合を示したそうです。

「自分の今後のキャリアが心配だ…」
「30代だけどキャリア迷子で大丈夫なの?」

という方に、今回は30代で「キャリア迷子」になる原因や対処法をご紹介します。

キャリア迷子に陥る原因は?

なぜキャリア迷子に陥るのでしょうか。

その根本的な原因は、自分のキャリアに自信がないということが大きく関係しています。ここでは、キャリア迷子になる原因を4つご紹介します。

人と比べて専門性がない

30代でキャリア迷子であると感じる方の多くは、今までのキャリアに統一性がないという方が多いと言われています。

20代で複数回職種を変えて転職を経験した方はもちろん、社内異動でさまざまな部署を回ったという方もいらっしゃるでしょう。

同じ30代でも事務職で内勤から営業職で外回りなどを経験した方と、新卒から人事一筋でキャリアを歩んできた人との間では専門性が大きく異なります。そういった専門性を持った方と自分を比べて、なんとなく自分の専門スキルはなんだろうとキャリアについて悩みを感じる方は少なくありません。

今まで仕事は頑張ってきたけど、「何ができるか」「何が専門か」と聞かれると困ってしまう…そんな状況が原因になっているようです。

今後のキャリアパスが不透明

一方で、ずっと同じ部署や職種を経験している方にも悩みの種が。傍目には一貫した経験がある状況ですが、「この部署やこの業務しかしていないけれど、本当にこのままでいいのか」「ここにいると、どうなるのか」とキャリアパスに疑問を感じたり、キャリアパスを不透明に感じてしまう方もいるようです。

例えばわかりやすく年功序列の企業であれば、「40代まで頑張れば部長になれる」など明確なキャリアパスがイメージできるかもしれません。

しかし現在は、年功序列が明確な企業は少なくなっているため、このまま仕事を続けていて定年まで平社員かもしれないと不安になります。

そういった環境では、自分のキャリアはこのまま終わっていいのか?とキャリア迷子に陥ってしまうのではないでしょうか。

やりたい仕事がない

「やりたい仕事がない」というのは、30代の方だけの悩みではありません。世の中では「いろいろ思うことはあるけれど、給与のために仕方なく今の仕事をやっている」という人も多いので、焦ることはないのです。

しかしコロナの影響もあり、自由な働き方が広がっているので自分の好きなことを仕事にする!という方の話を、周囲でもネットのニュースでも、目につくようになったかもしれません。

そういったこともあり、自分はやりたいことがないけど大丈夫かなと不安になってしまいます。

やりたい事というのは、必ずしも仕事の中で見つけなければいけないものではありません。必死になって仕事の中にやりたいことを探すのではなく、趣味などでもいいのです。

あなたの人生の中で「仕事」というものの立ち位置を、もう一度考えてみてもいいかもしれません。

仕事とプライベートの両立ができていない

30代で仕事が忙しく、プライベートの時間がうまく取れていないという方は、仕事とプライベートのバランスを見直したいと思っているのではないでしょうか。

20代から30代まで仕事に打ち込んできたけれど、今後もずっと今の働き方はできないと感じることもあります。仕事を頑張りすぎてプライベート時間を取るのが難しくなると、何のために働いているのだろうという気持ちになりますよね。

また、30代で結婚などライフイベントの発生で、働き方を見直したくなるということもあるでしょう。

そんな思いから、「本当に自分の人生、このままでいいのか」とキャリア迷子になってしまう方もいらっしゃるかもしれません

そんなときには、今の仕事で、仕事とプライベートを両立できているのであれば問題ありませんが、少しでも疑問を感じるのであれば残業時間や業務量など、働き方を見直す必要があります。

毎日は無理でも水曜日はノー残業デイにするなど、自分の中でルールを作ってみるのもおすすめですよ。

キャリア迷子になりそうな時の対処法

キャリアに対して今後の不安があるときは、まず何か行動を起こしてみるのが不安を軽減する近道になります。キャリアなどこれからずっと続いていくものに対して、何もしていないという状態が一番不安を感じやすいからです。

仕事に関係するものから、仕事に関係ないものまで、おすすめの対処法をご紹介します。

新しいスキルの習得に挑戦する

専門性がない、自分のできることがわからない、など自分に自信が持てずキャリア迷子になってしまっている方は、新しいスキルの習得に挑戦してみるのはいかがでしょうか。

とりあえず興味のあることや、今の仕事の延長線上にある資格などの勉強をしてみると、この分野をもっと知りたい!など興味が湧くかもしれません。興味の湧くことがあればそこに対してスキルを磨いていくことで、今後のキャリアの選択肢が広がっていきます。

もし転職など環境を変える選択をする際にも、先に知識やスキルと付けていくことで大きなアドバンテージになるからです。

興味のあることが見つからなかったとしても、新しいことを学んでいるという状態は停滞していると感じていた自分自身に対して、ちゃんと新しいことに挑戦しているという感覚を持つこともできます。その自己肯定感が、キャリア迷子から抜け出すきっかけになるかもしれません。

会社以外での活動を始めてみる

キャリアに悩んで仕事のことばかり考えてしまっている方は、一度仕事のことや会社関係者とは違うコミュニティでの活動をしてみるのがおすすめです。

無理して趣味を作らなくてもいいですが、違った環境の方と話したり交流することで新しい発見や価値観が芽生えるかもしれません。お酒を飲むのが好きな方であればいつも同僚と行く店ではなく、ちょっと足を伸ばして初めてのエリアに飲みに行ってみるのもいいでしょう。

何かを始めるのに初期投資をしてしまうと、それが自分にあまり合わなかったとしても、「お金かけたし、続けないと…」と義務のようになって余計負担に感じてしまいます。

釣りを始めるぞ!ゴルフを始めるぞ!と気合を入れすぎず、いつもの習慣にプラスαで変化を与えていくのはいかがでしょうか。

自己分析をして今の自分を知る

今後のキャリアに悩んでしまい何も行動を起こせないという方は、現在の自分を知ることをおすすめします。

自己分析というと大学生が就職活動をするときに行うようなイメージですが、仕事を経験した30代になってもう一度しっかりと自己分析すると、就職活動のころとは違う新たな発見や気づきがあると思います。

学生時代に目標としていた姿と、30代になって今目標としたい姿は大きく異なっていることもよくあります。

今の自分には何ができるのか、それは理想の自分とはかけ離れているのか、ささまざまな視点で客観的に自分を見返すことができます。

特に、社内でも管理職のポジションに就いている方であれば、客観的に誰かから意見されることも減っているのではないでしょうか。そのような方にはとてもいい機会になるはずです。

また、なぜ今の会社に入社して、どのようになりたかったのかという初心を思い出すこともできます。初心を思い出し、またここで頑張るぞとなるのか自分の理想と大幅にずれてしまっているから軌道修正が必要だと感じるのかはわかりません。

しかしどちらにしても、30代で自己分析をしっかりと行うことは何かしらの転機になるはずです。

今後のキャリアプランを練る

キャリアに悩み、もうどうしたらいいかわからない!という方はプロと一緒にキャリアプランを練ってみてください。

キャリアプランを練るだけでプロに頼るの?と思う方が多いかもしれません。しかし自分ひとりで考えていると、見落としてしまうこともありますし、堂々巡りになってしまうこともよくあります。また、自分のキャリアの価値を、過小評価してしまう方も多くいます

ひとりで悩んでキャリア迷子になっているあなただからこそ、プロと二人三脚でキャリアプランを練ることをおすすめします。

友人などに相談するのも一つの手段ですが、30代になると友人にキャリアの悩みを相談するのを躊躇う方も多くいます。周りに劣等感を感じている方などは、特にひとりで溜め込んでしまうでしょう。

また、正直なところ、友人からのアドバイスは素直に受け入れられないということもあるのではないでしょうか。

プロに相談というと転職を進められそうなイメージですが、転職エージェントなどを仕事を斡旋するサービスで相談するのではなく、キャリアコンサルタントにキャリアの相談をするだけのサービスもあります。

「現職にとどまった方がいい」という選択肢も含めて、中立で客観的な立場からの意見やアドバイスをもらうことができるので、悩んでいる時間がもったいない!と感じる方はぜひプロへの相談を検討してみてください。

これからの30代を楽しむためには?

キャリアに悩んでばかりで30代を楽しめていないのは、とても勿体無いことです。

これから40代目前の方も30代になったばかりの方も、これからを楽しむために必要な考え方をご紹介します。

自分の軸になるものを知っておく

30代だからこそ今までの経験から、「これは譲れない」というものができてきたのではないでしょうか。

自分では気づいていなくても、日々選択を行う上で何か自分の軸になるものがあるはずです。これまで何かを決断するときに、最終判断をしていた軸を思い出してみるのもいいかもしれません

例えば、今の会社に入社した理由は「転勤がなかったから」なのであれば、住まい環境などプライベート重視しているのかもしれません。プライベート重視ということは、家族との時間や自分の趣味の時間を重要視しているのではないでしょうか。

そういった過去の経験から深掘りしてくことで、自分が潜在的に大切にしているものに気づくことができます

何か転機があったのであれば、その選択はなぜだったかを思い出すようにしてみてください。

旅行や趣味に時間とお金をかける

キャリア迷子について考えすぎるのは良くありません。キャリアについてはっきりとした正解はないからです。

自分自身で、これでいいんだと思える選択をするのが正解となります。

悩みすぎて塞ぎ込んでしまう前に、今の年齢でできる旅行や趣味に時間をかけてみるのはいかがでしょうか。もし挑戦したことのないアクティビティなどあればどんどん挑戦していくことで、気分転換になります。

例えば、年齢制限のあるダイビングなどもいいでしょう。今だからこそできるということを探してみてください。そういった経験の中から、興味のあることが見つかるかもしれません。

また気分転換をすることで、旅行などの「趣味のために仕事をする」という気持ちになるかもしれませんし、「趣味の絵を副業にしていきたい」など新しいキャリアの道が拓かれるかもしれません。

いずれにせよ、何かしら日々の生活に変化を起こしてみることが大切です。

運動習慣をつけておく

どういうキャリアを歩んでいくとしても、自分の健康に気を遣っていかなければなりません。

今までデスクワークのみで基本的に座っての作業だった方などは、これを機に運動習慣を取り入れてみるのもおすすめです。

体を動かしてみるとストレスが軽減されたり、頭がすっきりしたりする効果があります。キャリア迷子になっていたとしても、実はちょっと考えすぎだったなと思えるかもしれません。

適度な運動習慣が、あなたの人生において悪影響を及ぼすことはありません。どうせ何かするのであれば、まずはウォーキングなどの軽い運動から始めてみてはいかがでしょうか。

家族との時間を大切にする

ぜひ家族との時間を見直してみてください。ちゃんとご家族と一緒に食事をしていますか?毎日会話はありますか?少しいつもより一緒に過ごす時間を増やしてみてください。

仕事ばかりであまり実家に帰ってないという方は、ぜひ親孝行してみてください。今しかできないことをしておくことも、大事です。

また家族や両親をコミュニケーションをとることで、得られる気づきもあります。ご両親がとても仕事を頑張ってくれていたことや、実は転職も経験していたことなど30代になった今だからお互いに話せることもあるはずです。

あなたが何かしら決断を迷っているのであれば、背中を押してくれる相手になるかもしれません。

新たな挑戦に踏み切る

30代で新たな挑戦をすることを躊躇う方もいるはずです。しかし新しい挑戦をするにあたって、年齢を気にすることは全くありません

人生100年時代と言われているほどなので、これからの方がずっとずっと長いのです。今モヤモヤ悩みがあるのであれば思い切って何かに挑戦してみるのもありでしょう。

転職や起業など大きく環境を変えてみるのもいいですし、思い切って地方移住するという選択もあります。

深刻に考えすぎない

キャリア迷子という言葉を使うと、早くどうにかしないと!と悩んでしまうでしょう。しかし30代であればまだまだキャリアは続いていきます。

今深刻に考えすぎて焦って決断してしまうと後悔してしまうかもしれません。

あまり悩みすぎず、まずは気分転換や人に相談することで客観的に自分の状態を知るところから始めてみてください。