就職する際に、「自分に向いている仕事」を選ぶことは多くの人が望んでいることではないでしょうか。楽しく働きながらお金を稼ぐことで、家庭や趣味が充実した生活を過ごすことができますよね。

ですが、「何の仕事が向いているのかわからない」という方も非常に多いです。高収入だからと転職したものの、仕事が全く向いておらず精神的に疲弊してしまうケースもあります。

転職というアクションを起こせていればまだ良い方で、「向いている仕事がわからない」という理由から転職に踏み切れず、職場への不満を抱えながら働き続ける方もいます。

この記事では、仕事選びがわからない原因を深堀りしたうえで、自分の向いている仕事を選ぶために知っておきたいステップをご紹介します。仕事の選び方がわからずにお悩みの方はぜひ参考にしてみてくださいね。

なぜ仕事の選び方がわからないのか

仕事選びがわからないとは、具体的には「仕事選びの基準」がわからないからと言えます。この基準は人によって異なるので、基準を明確にしないまま就職した場合は「年収は高いけど仕事が辛く満足感がない」というミスマッチにつながる可能性があります。

原因として3つの要素があげられるので、当てはまっている要素がないか1つずつ確認してみてください。

自分自身の特性・願望を把握できていない

仕事選びがわからない原因の1つ目は、自分自身がどんな人間であるか把握できていないことです。仕事の好き嫌いや仕事中に心地良さを感じるポイントなどを把握していないため、どんな仕事なら楽しく働けそうか判断できない状態になります。

例えば、お客さんと会話することに楽しさを感じているのに、事務職などの作業メインの仕事に就いてしまっては楽しさを感じる機会がないですよね。会話が多い仕事である営業職や接客業などの方が向いている可能性が高いと言えます。

職種や業界の知識がない

2つ目の理由は、職種や業界のことを知らないことで比較ができず、仕事が選べないということです。

仕事内容がわかれば、自分がやれそうだと感じたり、やりがいを感じられそうな仕事が見えてきます。逆に仕事で苦労すること、大変なことを知っておけば、「このくらいなら耐えられそう」など自分の許容範囲が見えてくるので、仕事選びの軸を作ることができますよね。

また、業界ごとのビジネス状況や、将来的な成長度なども把握しておくと、仕事選びの範囲を絞り込むことができます。例えば、高収入を稼ぎたい場合は成長産業を中心に選択すべきですし、ほどほどの稼ぎでまったり働きたいのであれば安定した業界から選択するのが良いです。

世の中にどんな仕事があり、業界ごとにどんな特徴があるのかを知らないと仕事選びもできないので、インターネットやニュースを通じて情報を仕入れておくことが必要です。

世間体や周囲の評価を気にしすぎている

3つ目の理由が、世間体をはじめとした周囲からの見られ方を気にしすぎているということです。これは、大企業に勤めることや高年収の職業に就くことで周囲から高く評価される…という点を軸に仕事選びを行ってしまうことです。

確かに、誰もが知る大企業に勤めていれば周囲から「すごい!」と思われる場面もあります。

一方で、周囲に評価される大企業で働いていたとしても、仕事があわず肉体的・精神的にボロボロになりながら仕事をしている状況では元も子もないですよね。

世間体や周囲の評価といった他人軸ではなく、自分自身の軸で選択することが望ましいです。

具体的な仕事の選び方

なぜ仕事が選べないのか、その代表的な理由を書いてきましたがいかがでしょうか。

まずは自分自身の特性を理解することで仕事選びの「自分軸」を作ることが先決です。仕事や業界の情報を踏まえたうえで、自分がどの仕事にマッチしそうかを検討していくことで、自分に向いている仕事に一歩近づくことができます。

ここからは、仕事を選ぶ時の判断軸を書いていきます。人によって判断軸の優先度が変わりますので、一番共感できた要素を軸にしてみてください。

条件や環境で選ぶ

1つ目は、労働条件や労働環境を判断軸とすることです。この選び方は、仕事に対して収入や働きやすさを重視する人であれば判断しやすいかと思います。

労働条件は、主に年収をはじめとする経済的な要素で判断します。基本給や賞与をベースに、住宅手当などの諸手当、退職金の有無なども判断要素です。諸手当や退職金が手厚くなっている会社や、ストックオプションの権利がもらえる会社もあるので、自分の希望する収入となる会社を選択するような判断方法となります。

もう一方の労働環境は、勤務地や残業時間などの働き方面を判断軸とします。自宅から近いこと、残業が少ないことだけがベストな選択肢とは限らないため、過去の職歴から「自分が理想とする労働環境」を定義しておくのが良いかと思います。

自己実現できるか

次に、目指しているライフプランが実現できる仕事であるかという選び方です。この選び方をするには、自身のライフプランが言語化できていることが前提です。

例えば、「早期にリタイアして悠々自適な生活を送りたい」ということであれば、より高収入な職種に絞って短期間で稼いだり、ストックオプション付きの会社を選ぶなどがあげられます。

また、「将来的に独立したい」というプランであれば、独立のスキル・ノウハウが学べる会社が良いですよね。将来のプラン実現をもとにすることで、納得感の高い仕事選びができます。

自分自身がいまできることで選ぶ

3つ目は、今の自分ができることで選ぶという選択肢です。この選び方をする人は、同業他社への転職ももちろん良いですが、それまでとは別の仕事に就職することも視野に入れていく必要があります。

例えばコールセンターで勤務している場合、「相手の話を正確に聞き取れる」ことを活かし、法人のルート営業などでの活躍が期待できるでしょう。今の仕事を通じて自分ができることを言語化し、同じことが求められる仕事を選択していくことで

自分ができることを仕事にすれば、周囲からの評価が得やすくなることで承認欲求が満たされやすくなります。また、人間関係や日常生活をプラスのメンタルで過ごせるので、人生の幸福度は高まるはずです。

やるべきこと

ここまで仕事の選び方を書いてきましたが、どの判断軸で選択していくのかは人それぞれ異なります。また1つの判断軸ではなく、3つの判断軸に優先順位をつけながら選択することがしっくりくる人もいるため、何を判断軸とするかを決定する必要があります。

そのために必要なアクションを3つ記載します。1人ではじめられるものもありますので、記事を読んだうえでまずは行動してみてください。

自己分析

まずは、自己分析を通じて自分自身を把握することからはじめましょう。自己分析に関する書籍は数多く販売されており、この内容にもとづいて分析してみることもお勧めです。

職歴がある人なら、過去の職歴を振り返ったモチベーショングラフを作成してみてください。これは過去の経験を時系列で書き出し、それぞれの経験を通じてモチベーションや満足度がどう変化したのかを分析する手法です。

モチベーションが上がった場面、下がった場面でそれぞれ共通する要素が何かを洗い出すことで、自分自身の好き嫌いなどを把握することができます。

自分の願望を書き出す

自己分析の一環として、将来の願望を紙に書き出すこともお勧めです。海外に移住したい、月の半分を別荘で過ごしたいなどのライフスタイルはもちろん、「働かないで過ごす」といった内容でもOK。

しかしここで気を付けたいのは、いったん現実性を度外視して書き出すことです。現実性を考えてしまうと本当の願望は書き出せないので、「夢」レベルでの願望を書き出すのが望ましいでしょう。

書き出したうえで、それを実現するためにはどれだけ稼ぐ必要があるのか、そのためにはどんな業界・職種でどんなスキルが必要なのかを分析することで仕事選び判断軸を作ることができます。

職種・業界について研究する

職種・業界を知ることも、仕事選びにおいて大事な要素です。職種ごとに、どんな働き方をするのか、どんなスキルが必要なのか、ネットや書籍でもある程度把握することができます。

また、実際に働いている人にインタビューするのも効果的ですし、可能であれば実際にその仕事で働いてみるとリアルな経験を積むことができます。

職種だけでなく、業界知識も把握しておきましょう。業界の成長率などもそうですが、仕事内容のハードさや残業時間の多さも業界によって異なるため、仕事を選ぶ際に比較検討できる情報となります。

会社に所属している方であれば、自分の会社にやってみたい職種がないか調べてみることも価値があります。会社は1つの職種だけでは機能しないので、必ず複数の職種があるはずです。社内異動は転職よりもハードルが低いため、これで希望が叶えられれば個人・会社双方にとってメリットのある着地ができます。

専門家に相談する

自己分析、職種・業界研究を通じて自分なりの仕事選ぶ軸が形成できたうえで、キャリアコンサルタントに相談してみましょう。

自分なりの選択では、どうしても検討漏れや偏った判断になりがちです。多くの相談をこなしてきたキャリアコンサルタントの経験から、自分の判断軸に偏りがないか意見をもらうことで、より精度の高い判断ができるようになります。

客観的な目線で、仕事選びに不足している箇所がないか、他に選択肢がないかをチェックしてもらい、時には提案してもらうこともおすすめです。専門家の意見を取り入れることで、より良い仕事選択に近づける可能性が高まります。

仕事を変える

キャリアコンサルタントへの相談を経た後は、仕事を変えるために転職や社内異動をしてみるのもありです。

「自分に向いている仕事」を見つけるためには、実際に仕事をしてみて検証するのが一番です。自己分析などでは気づけない自分の特性もあるので、実際の経験を踏まえて転職・社内異動した後の仕事が自分に向いているのか考えてみましょう。

もし仕事が合わないようであれば、具体的に何が合わないかを言語化するなどして、自分のスキルアップで解消できるのかを分析しましょう。仮にスキルアップで解消が図れないようであれば、再び仕事を変えるというのも視野に入れる必要があります。

仕事選びで注意したいこと

ここまで仕事選びのステップを記載してきましたが、注意しておきたいことは以下の3点です。

キャリアプランを作って可視化する

自己分析やキャリアコンサルタントへの相談を通じて仕事選びをしているものの、仕事に対する向き・不向きや願望は変化していきます。

何を目的にその仕事を選ぶのか、どんな願望に向かって仕事をするのか、こういったプランも年齢を重ねるごとに変化していくので、何らかのドキュメントに落とし込み、常にブラッシュアップしていくことが必要です。

特に家庭を持ったり体調が変化したり…など、仕事以外の要因でキャリアプランが変わることはよくあるので、都度見直しながら仕事選びを検討してください。

転職することが絶対的な正解ではない

仕事を変えることが必ずしも正解というわけではありません。前にも書きましたが、自分のスキルを磨くことで最初は不向きだと思っていた仕事の楽しみ方がわかることも十分あります。

仕事の能力アップは数年スパンで考えるほど時間がかかるため、まずは今の仕事を楽しめるようになるまで頑張って取り組んでみてください。

チャレンジしないことは絶対に避ける

どんな仕事が向いているかわからない、めんどくさいといった理由で「行動・チャレンジをしないこと」は避けたいです。行動やチャレンジをした結果、たとえ失敗だったとしても教訓にできる実経験を得ることができるので、仕事選びとしては必ず前進します。失敗を繰り返さないよう、分析しなおすことでより高精度で満足のいく仕事選びができるようになるはずです。

終わりに

仕事の選び方について、その方法や選べない理由を書いてきました。

仕事選びをするために、まずは自己分析を通じて自分の現状を正しく把握してください。そのうえで、情報収集やキャリアコンサルタントへの相談といったアクションを起こしていきましょう。

繰り返しにはなりますが、実際に転職すること、社内異動することが正解ではありません。すぐに仕事を変えるのではなく、必要なスキルを身につけながら根気強く働いてくことも必要です。キャリアコンサルタントへの相談をうまく利用しながら、納得感のある仕事選びをしていってくださいね。