
「子育てでキャリアが中断してしまうのが不安…」
「職場・仕事のことを考えると気が重くて、復帰したくない…」
「育休後もスムーズにキャリアを築きたいけれど…」
など、キャリアに関する漠然とした悩みがある方へ、今回は、「子育てでキャリアを中断せず、スムーズにキャリアを築くための考え方」をテーマにお届けします。
きっと多くの人が通る道です。 さっそく先人たちの体験談や役立つコツを見ていきましょう!
働くママ・パパを取り巻く日本の状況

まずは社会環境から見ていきましょう。
近年、日本では、少子高齢化が進んでいて、働き手の不足が叫ばれています。政府が「一億総活躍プラン」等を掲げて、女性・高齢者の社会進出を進めて、生産性の向上を進めようとしています。
30代女性を中心に、出産・育児などを理由に働く人口が少なくなる「M字カーブ現象」は、時代とともにどんどん浅くなっていき、今では台形のような形になっていっています。
このような現象の背景には、「未婚の女性が増加したこと」、「育児をしながら働く女性が増加したこと」の、主に2つが挙げられます。

<参考資料>『内閣府男女共同参画局』女性の年齢階級別労働力率の推移
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-01.html
そのため、共働き世帯はどんどん増えています。男女共同参画局が発表している「共働き等世帯数の推移」では、
昭和55年以降,夫婦共に雇用者の共働き世帯は年々増加し,平成9年以降は共働き世帯数が男性雇用者と無業の妻から成る世帯数を上回っている
<参考資料>男女共同参画局「共働き等世帯数の推移」
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r03/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-03-03.html
とされています。

働く女性が多くなった理由としては、政府の女性活躍推進だけではなく、人それぞれ「経済的な理由で」「社会とつながることで精神的に余裕が出る」「自立していたい」「社会貢献をしたい」「成長したい」など、そこには多様な思いがあります。
共働き世帯が多くなっていることに伴って、最近は男性の育休の取得率も高くなっています。2022年10月には、厚生労働省より、産後パパ育休(出生時育児休業)が施行され、男性の育児休業取得の推進を図っています。
女性85.1%に比べると、まだまだ少ないですが、男性の育休取得率は、令和3年度には13.9%にまで上がり、過去最高の取得率になっています。

<参考資料>厚生労働省「育児・介護休業法の改正について」p.6https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000851662.pdf
子育てがキャリアにどんな影響を与えるの?

キャリアの中断理由として多いとされる「子育て」ですが、実際どのような影響が表れるのでしょうか。
女性のほうが負担が大きい
男性の育休が進んでいるとはいえ、先ほどの政府の目標からはまだほど遠く、現実的に今の日本では、育児に関する負担は女性のほうに偏っている傾向があります。
男女共同参画局のホームページでは、家事や育児について、下記のような調査を見ることができます。
主だった家事・家庭のマネジメント項目について、夫婦に分担状況を聞くと、「妻」「どちらかというと妻」との合計が、おおむね5割以上(「食材や日用品の在庫の把握」「食事の献立を考える」は8割超)です。(中略)日々の家事をマネジメントする責任や日々の家庭生活を滞りなく送ることが出来るようにする責任は妻が多くを担っています。
引用:男女共同参画局HP「共同参画」2020年9月号
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2020/202009/202009_02.html
どの項目をとっても女性の負担が多く、小さい子供(0~7歳)がいる夫婦についての育児の分担を見ると、妻7割、夫3割となっているデータもあります。
また、妻がフルタイムで働いている場合は、約2倍、妻がフルタイム以外で働いている場合は、約4倍、妻の家事時間が長くなっているともいわれています。
共働き世帯であるとすれば、これは少しおかしい話かもしれませんが、現実にはこういった傾向があります。
日本は「キャリアの中断」に対して厳しい?
「子どもは欲しいと思うけれど、キャリアが中断してしまうのが良くないかも・・」
子育ても仕事もプライベートも「あれやらなきゃ」「これやらなきゃ」…と、いっぱいいっぱいになっている・・
そんな声がたくさんあります。
それはなぜでしょうか?
それは、日本では “終身雇用”の考え方が根強く残っているため、一時的な離職でも、“キャリアの中断”ととらえられてしまい、そのブランクが、復職・再就職に不利になることが多いから、と言われています。
いったんキャリアを育児でお休みすると、もうキャリアアップは望めない会社や組織がまだ多くあるのが現状です。
そんなキャリアの中断を嫌う日本社会の現状と、政府の施策とでギャップがあるのです。
キャリアを中断してしまったケース

実際、「本当は働き続けたかったのに、やめてしまった・・」というような、子育てでキャリアを中断してしまった方もたくさんいます。
Aさん(1児の母・30代)
育休明け2ヶ月で仕事を辞めてしまいました。
本当は働き続けたかったのですが、職場の人間関係が悪く、育児時短をとっているにもかかわらず、残業を押し付けられることなど多くがありました。
また、年配の女性から「私たちの時代は時短なんてなかった」「ゆっくり出勤できていいね」など嫌味を言われることもあり、つらかったです。
Bさん(1児の母・20代)
育休明け当初は、特に不安なく職場に復帰したのですが、想像以上に夫が家事・育児に全く協力的でなく、ワンオペ状態になってしまい、育児と仕事の両立が忙しくしんどすぎて、最終的にメンタルを病んでしまい、退職しました。
この少子高齢化の時代にもかかわらず、子育てしづらい環境がたくさん・・・ありますね。
キャリアを中断せず、働き続けているケース
一方で、そんな環境の中でも、子育てをしながら自分の描くキャリアを実現している人もいます。
Cさん(1児の母・30代)
キャリアが中断されて、評価が低くなるのではと不安でした。また、親族が遠くにいて、サポートがない状態で、とても大変でした。
いろいろと悩みましたが、育休中に奮闘して仕事に必要な資格を取り市場価値を上げました。復帰後に在宅勤務ができる会社へ転職することができ、今では子育てと仕事の両立ができていていると思います。
Dさん(2児の母・30代)
子どものイベントや病気などの時、妻である自分ばかりが休んで対応しないとならない状態で、とても大変な状況でした。自分もキャリアを築きたいのに、男性は何の中断もなく働けることがうらやましくて仕方ありませんでした。
そして、夫と何度も話し合いを重ねて、2人目の子育て時には、夫に育休をとってもらうことにしました。今はとても助かっているそうです。
このように試行錯誤しながら、ご自身の理想のキャリアを実現している人もいらっしゃいます。
子育てとキャリアの両立の難しさ
今では理想の働き方を手に入れているCさん、Dさんも、最初は苦労されていたことがあったとか。
例えば、
・妊娠のつわりでしんどすぎてはたらけない…
・子どもの発熱などの呼び出しで、ちゃんと仕事ができていない…
・時短勤務で人間関係が良くない状態になってしまった…
そんなたくさんのお悩みポイントがあるかと思います。そんなとき、どのように考えて対応すればよいのでしょうか?
子育てと仕事の両立をして、理想のキャリアを築くためのコツ

子育てと仕事の両立をして、理想のキャリアを築くため、役に立つ考え方やコツをご紹介します。ぜひご自身に合うものを選んで試してみてください!
いつまでも手がかかるわけではない
まず、大前提として、子どもはどんどん成長します。
一般的には、いつまでも手がかかる時期、というわけではなく、例えば、赤ちゃんのお世話で大変なのは、0~3歳と言われています。
3歳を過ぎるとおしゃべりが発達し、歩けるようにもなり、楽になったと感じる親が多いと言われています。
また、10歳ごろ等、小学生中~高学年になると、だいぶ自分の手から子供が離れて、趣味や自己啓発など、自分自身にかけられる時間が増えたと感じる方が多いようです。

上記のグラフにもあるとおり、現に、年齢が上がるほど、働いている人も増えています。
「この大変さは、一生ずっと続くわけではない」「限られた時間なんだ」と思うと、少しは気持ちが楽になるかと思います。むしろ、「今しかない瞬間」「宝物のような時間」というように思い、いとおしく感じている人も多くいるようです。
出産や育児で一時的にキャリアが中断されるかもしれませんが、長い目でみると人生のうち一瞬の出来事なのかもしれません。
がんばりすぎない
子育てをしているときには、「子育ても育児も自分がやらないと!」「どうしてうまくいかないんだろう…」など、考えてしまうこともあるかもしれません。
でも、抱え込まない、思いつめないことが大切です。たとえば、次のようなことも意識してみてはいかがでしょうか。
・家事は時短家電に頼る:ロボット掃除機や食洗器、電気調理鍋・電気圧力鍋などの「ほったらかし家電」を、積極的に取り入れて、楽をしましょう!
・できないことはできないと割り切る:人には必ず得意不得意があるものです。「できないことをできないとわりきる」ことで、心が軽くなることがあります。時には、掃除代行や、家事代行サービスも活用することも、選択肢の1つです。
時々1人の時間を強制的に作る
仕事をしながらの子育ては、時間との闘い。なかなか「自分の時間」を作るのが難しくなります。だからこそ時々、自分を甘やかす時間を強制的にでも作るようにして、自分のことを責めないようにしましょう!
友達とごはんに行く、1人で映画館で映画を見る、趣味の時間に没頭する、お気に入りのアロマを焚いてお風呂に入る、など自分に合ったテンションが上がるようなことをして、気分転換をするのが良いと思います。
ママ・パパが健康なことがいちばんです。できる限り負担を減らした環境に身を置きましょう!
パートナーと話し合う
「あれ、自分ばかり育児の負担を背負っているかも・・」「ワンオペ育児になっているな・・」と感じるときは、パートナーと話し合ってみましょう。
もしかすると、一方は「今の状況をあまり問題じゃない」と思っているケースもあり、お互いの認識がすこし違っているのかもしれません。
「言っても変わらない・・」「どうせわかってくれないから・・」と、最初からあきらめず、少しでも2人で前に進めるような話し合いを行うことはとても効果的です。
周りの支援がないか情報収集をする
・パートナーのほか、親戚・家族やご近所の方
・職場の支援
・地域・民間のサポート
・子どもの一時預かり
など、子育てに関することを頼ることができる施策やサービスは意外と多くあります。地域特有のものもあれば、国からのものもあります。ぜひ調べられることをおすすめします。
プロのキャリアコンサルタントに相談する
また、プロのキャリアコンサルタントに相談することもとても効果的です。
「なんとなくもやもやする・・」「頭では分かっているけれど、どう動いていいかわからない・・」「キャリアに関するアドバイスが欲しい・・」
など少しでも不安に思っている方は、プロの資格を持ったキャリアコンサルタントに相談する。というのもおすすめです。
プロのキャリアコンサルタントに相談する効果

では、プロのキャリアコンサルタントに相談すると、どんなメリットがあるのか、お伝えいたします。
自分の気持ち・悩みの整理ができ、現状がわかる
人に話すことで、自分の今の気持ちや考えが整理されることがあります。
また、第3者に自分の悩みを聞いてもらうことで、自分の現状を冷静になって見つめなおすことができます。
自身のなりたい姿、強み・弱みが客観的にわかる
プロのキャリアコンサルタントは、たくさんの方の相談に乗っているため、あなたの特性や強み・弱みなどを、きっと見つけられます。今までの経験やエピソードなど、話していくうちに、理想の姿や、そのために活用できるようなご自身の特性がわかってきます。
具体的な目標・解決方法が見つかり行動しやすくなる
一人で考えているだけでは、もやもやと言語化できないことでも、キャリアコンサルタントに話してみることで、言語化することができて、目標・解決方法も見つかりやすくなります。国や地域の支援・サービスなどの情報の探し方も、キャリアコンサルタントなら知っています。
親身になって一緒に考えるのがキャリアコンサルタントの仕事なので、思い切っていろんなことを話してみるのがおすすめです。
マンツーマンで濃いコミュニケーションができる
基本マンツーマンで、あなたのお話をじっくり1人のキャリアコンサルタントが相談に乗ります。真剣に1人に向き合い、ともにキャリアを考えて、どういう目標を立て、どういう強みを活用して、今後どう行動するか、などさまざまなことに対して、あなたの答えを見つけることができます。
さいごに

「子育てでキャリアが中断してしまうのが不安…」
「職場・仕事のことを考えると気が重くて、復帰したくない…」
「育休後もスムーズにキャリアを築きたいけれど…」
など、その他、キャリアに関する漠然とした悩みがある方は、ぜひ気軽にキャリアのプロに相談してみましょう!
きっと今後の行動のヒントが見つかるはずです。