「仕事を辞めたい!」そう思っても、次の転職先のあてがなければ、「辞めたい」という覆思いを抱えたまま、今の仕事を続けることになります。でもそんなモヤモヤしたまま仕事を続けるのは、とてもストレスフルな状態ですよね。
仕事を辞めたいけれど、自分に次の転職先はあるのか?転職先があっても今よりも仕事内容や待遇が悪くなってしまうのではないか。それならばこのままここにいるしかないのか…そう思い悩んだときには、このように考えてみませんか。
1. 本当に「次がない」のか?自分の経験の棚卸をする

まずは、本当に「次がない」のか、自分の経験の棚卸をしてみましょう。経験の棚卸とは、
①会社概要
②所属部署
③業務内容
④習得したスキル
⑤仕事の実績(営業実績、関わったプロジェクト、社内表彰の経験、マネジメントや後輩指導経験など)
⑥やりがいを感じたこと
⑦仕事上で心がけていた(こだわっていた)こと
などの項目について、今までの経験を整理することです。そして、整理する際には以下の3点に意識して書くようにしましょう。
・実績、担当顧客数、毎月の処理件数などなど具体的な数字が出せるものは具体的な数字を書く。
・まずは小さなことでも書き出していく。
・自分の業務が「誰に」「何を」「どのように」提供していたのかを書く。
これが次の転職先にはどのような可能性があるか?を考えるベースになります。
「次がない」と思っているのは自分だけかもしれない
経験の棚卸は自分一人で行えるものですが、実は自分だけで整理をしていると、強みを見落としてしまう、あるいは自分にとっては当たり前すぎて、強みとは認識できずにいるということが起こります。
特に転職経験がない場合、今の会社での業務経験が客観的にどのように評価されるのかを確認する機会がないため、「次がない」と思い込んでしまっているかもしれません。あるいは、自分にとっては何気なくできることが実は企業から高く評価されることに気づかないだけかもしれません。
「次がない」と思い悩んでいても、中途採用やキャリアをよく知る人があなたのキャリアを聞いたら「次がないなんて、とんでもない!」ということも大いにありえるのです。
プロのキャリアコンサルタントを活用して経験の棚卸を
そこでおすすめなのが、プロのキャリアコンサルタントに経験の棚卸をサポートしてもらうことです。プロのキャリアコンサルタントと一緒に経験の棚卸を行うことで、次のようなメリットが得られます。
キャリアコンサルタントと経験の棚卸をするメリット
・どんな業務を棚卸していけばいいのか、「棚卸をする視点」がわかる。
・自分の業務経験や、仕事上の強みがわかる(自分の経験の何を企業が評価するのかがわかる)。
・自分の業務経験や、仕事上の強みを言語化するサポートをしてくれる。
・その仕事を活かして、どのような選択肢が考えられるか、情報を得られる。
転職エージェントにもキャリアのプロがいますが、転職エージェントでは転職エージェントにある求人の紹介が前提となりますので、「いきなり転職の話をするのではなくて、まずは棚卸をしてから考えたい」というケースでは、プロのキャリアコンサルタントのキャリア相談がおすすめです。
2. 次がないけど辞めてもいいのか?メリットを知っておく。

退職時に転職先が決まっている方が安心ですが、「次は決まっていないけど、とにかく辞めたい」という気持ちが高まってしまうこともあります。
厚生労働省の「転職者実態調査」(平成27年)によると、転職先を決めずに退職した人の割合は25.8%。約4人に1人は次がなくても辞める道を選んでいます。それには、次が決まっていなくても辞めることによる、次のメリットがあるからです。
次がないけど辞めるメリット①ストレスから解放される
退職してしまえば、「辞めたい」という気持ちの原因となっているストレスから解放されます。これは何より大きいメリットと言えるでしょう。
大きなストレスから解放されるのは、自分の精神的にもプラスですが、転職活動にもプラスになることもあります。なぜなら、現職での大きなストレスが、「覇気がない」「表情が疲れている」「発言が消極的」など、転職活動に影響している可能性もあるからです。
仕事を辞めてしまい、ストレスから解放されれば、イキイキとした表情で転職活動をすることができ、それが好結果をもたらすことも考えられるでしょう。
次がないけど辞めるメリット②落ち着いて転職活動ができる
仕事を続けながらの転職活動は、平日の夜や土日など、空いた時間を使って行う必要があります。仕事が忙しかったり、疲れてしまったりすると、思うように進まないこともありますが、仕事を辞めてしまえば転職活動を行う時間はたっぷりあります。
自分が次にやりたいことを考える、いろんな人に会って話を聞いてみる、次の転職先をじっくり選ぶなど、落ち着いて情報収集や転職活動を行うことができるでしょう。
次がないけど辞めるメリット③面接の日程調整が楽になる
仕事を続けながらの転職活動では、面接の日程調整が難しいという難問に直面します。営業職やフレックス制など、外出に違和感のない仕事であれば比較的面接日程も調整しやすいのですが、「外出すると目立ってしまう」「有休もとりにくい」といった職場では、面接に行くのも一苦労です。
その点、退職してしまえば時間は自分の好きなように調整できるので、面接の日程調整は格段に楽になります。興味のある企業に複数応募し、面接を通じて比較検討することも気兼ねなくできるでしょう。
3.次がないけど辞めてもいいのか?デメリットも知っておく

このように「次がなくても辞める」メリットはありますが、「辞めたいけど次がないから辞められない」と今まさに思っているように、転職先を決めずに辞めるデメリットもあります。
改めてそのデメリットも確認しておきましょう。
次がないけど辞めるデメリット①経済的に不安定
最大のデメリットともいえるのが、やはりなんといっても収入が途絶え、経済的に不安定になることです。
失業給付は、自己都合の場合には、1週間の待機期間後に3ヶ月の給付制限期間があり、その期間の失業給付は給付されません。さらに、給付制限期間が終了し、求職の申込をしてから数えて約1か月後に最初の振込があります。つまり退職してから約4ヶ月以上は、無収入となります。
さらに、自己都合で退職した際に失業給付がもらえる期間は、雇用保険の被保険者であった期間によって次のように決められています。
【失業給付の給付日数】
・1年以上10年未満:90日
・10年以上20年未満:120日
・20年以上:150日
このように20~30代前半ですと給付日数も90日と短いので、次の転職先が決まらないと経済的に不安定な状況になってしまうかもしれません。
次がないけど辞めるデメリット②転職活動が長引くリスクも
退職すれば時間はたっぷりあります。しかし、時間がたっぷりあることでかえってのんびりしてしまい、転職活動が長引くということも。
また経済的に安定するためにアルバイトを始めてしまうと、今度は「アルバイトをしているから…」ということが逃げ道となって転職活動に本腰が入らなくなってしまう人もいます。
さらに、離職期間が長くなると、求人に応募しても他の応募者との比較検討の際に「離職期間が長いから」という理由で不採用となるケースも出てきます。企業は、離職期間が長い人よりは、現職の人、または離職期間が短い人を好む傾向があるからです。
そうなると、今度は「なかなか内定がもらえない」という理由から転職活動が長引いてしまうリスクがあるのです。
次がないけど辞めるデメリット③転職先に妥協し条件が悪くなるリスクも
その結果、転職先が選べなくなってくるというリスクもあります。「とにかく内定が出た企業に」と転職した結果、前職よりも条件や待遇が悪くなってしまうことも。
このように転職するたびに給与や待遇などの条件が悪くなる、転職の負のスパイラルに陥ってしまう人も少なからずいます。
次の転職先を決めずに辞めてしまうと、このようなリスクがあることを知っておきましょう。
4. 辞めたい気持ちは固まっているなら、転職活動を始める

いろいろとご紹介してきましたが、「辞めたい」「もう辞める」という気持ちは固まっていて、ただ「次がない」という不安で二の足を踏んでいる状態ならば、まずは転職活動を始めてみましょう。
転職活動を実際に始めてみれば、本当に「次がない」のか、思っている以上に選択肢はあるのかも見えてきます。
ここで、転職活動を行う際の2つの重要なポイントも知っておきましょう。
転職活動はあらゆる手段を使おう
転職活動は、できる限りあらゆる手段を使いましょう。大手の転職情報サイト、転職エージェント、ビズリーチなどのスカウトが届く転職サイトなどのサービスの利用はもちろん、友人知人のネットワークも活用できるなら活用しましょう。今は、リファラル採用といって社員に友人知人を紹介してもらう採用手段も広がっているので、「今、転職先を探している」という情報を流しておけば、声がかかることもあるかもしれません。
様々な手段を活用すると、その分、転職活動に費やす時間もかかりますが、収集できる情報も多くなります。なかには、「リファラル採用でのみ募集している」など、その手段でのみ募集している求人もありますので、様々な手段を使うことは、手がかかる一方で、可能性を増やすことにもつながります。
転職エージェントを活用するメリット・デメリットを知っておこう
ここでよく活用される転職エージェントのメリット、デメリットも押さえておきましょう。インターネット上には転職エージェントをおすすめするサイトがたくさんあります。それらのサイトで紹介されているように、転職エージェントには他にはないメリットがたくさんあります。
転職エージェントの主なメリット
・非公開の求人が多い。
・企業の情報を詳しく教えてくれる。
・プロの視点から、キャリアの可能性をアドバイスし、選択肢を提示してくれる。
・職務経歴書の添削や、模擬面接など面接アドバイスをしてくれる。
・面接情報を知っているので、面接対策がばっちりできる
・退職交渉のアドバイスをしてくれる。
・転職先との条件交渉をしてくれる。
このように転職するには非常によいサービスなのですが、一方でデメリットもあります。
転職エージェントを活用するデメリット
・担当のキャリアコンサルタントが自分の話を聞かず、押し進めてくることもある。
・企業は転職エージェントから採用する際に、高額な手数料の支払いが発生するため、「それだけの採用コストもかけても採用したい人材」の募集に限られる。
・転職エージェントに求人を出さない企業もある。
特に、転職エージェントへの手数料が発生するからこそ、転職エージェントからの採用はそれなりの人材を採用したいという思いが企業にも生じます。そのため、転職エージェント経由ではなく、自分で応募したほうが採用してもらいやすいことも時にはあることを知っておきましょう。
5. 「転職する」以外の選択肢も考えてみる

最後になりますが、「辞めたい」の後に転職しなければならないわけではありません。特に今は様々なかたちで収入を得ることができます。
「次はないけど辞めたい」と思ったときに仕事を辞め、次は転職せず、自分のスキルやキャリアを活かしてフリーランスになったり、好きなことを活かして起業することも、選択肢として考えてみるのもよいでしょう。
フリーランスになる
スキルがあれば、その分野でフリーランスとして仕事を行うこともできます。今現在、コネやネットワークがなくても、今はクラウドソーシングサイトが数多くあり、そのようなサービスを利用して案件を獲得することができるでしょう。
収入の不安定さはありますが、スキルによっては会社員時代よりも稼ぐ人もいますので、「会社に縛られない働き方」をしたい方には合っているかもしれません。
ただ、フリーランスもメリットばかりではありません。フリーランスという道を選択するにあたって、知っておきたい現実はこちらにまとめてありますので、ご興味のある方はぜひご一読ください。
自分の好きなことや経験を活かして起業する
起業のハードルも今はずいぶん低くなっています。また起業内容も、商品やサービスを提供するだけでなく、自分の好きなことや興味のある分野、経験を活かしてインターネット上でアフィリエイト収入や広告収入を得る手段もあります。
もちろん、簡単な道のりではありませんが、適性があれば自分の好きなことを活かして生計を立てることもできるでしょう。
いかがでしたでしょうか。
一人で考えていると「次がない」と思ってしまうかもしれませんが、自分一人で考えていると見えないだけで、他の視点から「たくさんの次がある」ことはよくあります。
自分では見えない「次」に何があるのか、可能性を見つけてみたい方はぜひお気軽にご相談ください。