SEの求人倍率は2.98倍(DODA「転職求人倍率レポート」 2015年11月)と非常に高く、転職市場全体の求人倍率1.17倍を大きく上回っています。SEのまま仕事を続ければ、仕事に困ることはおそらくないでしょう。
しかし、その仕事は精神的・体力的にハードなこともあり、「長くは続けられない。」「向いていない。」とキャリアチェンジを考えるSEも少なくありません。
SEからのキャリアチェンジを考えた時に、どのような可能性があるのか。考えられる7つの選択肢を紹介します。
1:WEB業界でシステム開発者やWEBディレクターに
SEからのキャリアチェンジするときに、最もキャリアチェンジしやすいのがWEB業界への転職です。
WEB業界には通販会社からアプリケーション開発会社、ゲーム会社、WEBメディア運営会社など様々な業態があります。また職種も、その企業でのシステム開発者からWEBディレクター、さらにセンスがあればWEBデザイナーへのキャリアチェンジも可能です。
今までは顧客から開発案件を請け負ってシステム開発をしてきたSEも、今度は自社のシステムやアプリケーションを開発することになります。
SE時代は使う人の顏が見えない状態で開発していたけれど、キャリアチェンジによって使う人やその先のエンドユーザーの反応もよくわかるようになって新たなやりがいを感じるようになる人も少なくありません。システム開発のモチベーションも、大きく変わってくるでしょう。
2:上流工程の経験があるならITコンサルタントへ
SIerでシステム開発の上流工程の経験や、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーの経験があるならば、ITコンサルタントとしての転職も可能です。
ERP、CRM、SCM、SAPなど、今まで携わってきた専門領域を活かした分野にキャリアチェンジの可能性があるでしょう。
システムを構築し、それを納品することがゴールだったSEとは異なり、企業が抱える経営課題の解決がITコンサルタントのゴールとなるため、「システムを武器にして、より本質的な課題解決をしたい」と考えている方には向いています。
ただし、ITコンサルタントは、高い課題発見力、課題解決能力、ロジカルシンキングやコミュニケーション能力など多くの要素が求められます。仕事内容は肉体的・精神的にもSE時代よりもハードになることもありますので、「大変なSEから脱出したい」という志向の方には向いていないキャリアチェンジ先と言えます。
3:20代ならばIT関連や人材関連業界で営業職にも
人と話すのが好きであり、対人折衝が好きならば、20代のうちなら営業職へのキャリアチェンジも可能です。
特にIT関連業界や、IT業界を顧客に持つ人材関連業界などでは今までの業界経験も生かせて、より転職の可能性も高いでしょう。
人と接するのは好きだけれど、「営業としてノルマに追われるのはちょっと…。」というタイプや、「自分はどちらかというと後方支援がいい。」というタイプなら、アフターサービスを担当する技術営業や、カスタマーサポートなどもよいかもしれません。
4:経験次第ではフリーランスも視野に
経験次第では独立し、フリーランスとなって仕事をしていく選択肢もあります。フリーランスなら自分のペースで仕事をある程度調整でき、収入もSE時代よりも上がる可能性があります。
人脈がなく、独立時に顧客がいなくても、今はクラウドソーシングのサイトを活用して仕事を得ることができるのでさほど心配は必要ないでしょう。
今までの経験や仕事内容によっては、会社員時代の倍以上の収入を得ることも夢ではありません。但し、今まで会社が払ってくれていた厚生年金や健康保険料を今度は自分で払わなければなりません。額面の収入は上がりますが、その分支出も増えます。
企業に属さないことが「不安」ではなく「自由」だと感じるタイプなら、フリーランスの道を選ぶのも悪くないでしょう。
5:求人は少ないが社内SEも有力候補
システム開発の経験を活かして、社内SEになるのもSEに人気のキャリアチェンジ先の1つです。
同じシステム開発でも、今度は自社の本業の業務を改善するためにどのようなシステムを開発すればよいのか、どのように運用・改善すればよいのか、と1つのシステムにじっくりと取り組むことができます。業務の課題分析から始まり、システム設計から、開発、社員のシステム教育やメンテナンスなど業務は多岐に渡ります。
次から次にシステムを開発することや、異動でシステムの完成まで携われないことにストレスを感じるタイプであれば、1つのシステムに向き合っていく社内SEはやりがいを感じられる転職先になることでしょう。
社内SEは30代以降でもキャリアチェンジが可能な職種ですが、大企業でもそれほど多くの人数を必要としない職種であるため、求人数自体はそう多くありません。
社内SEへの転職を希望するなら、会社の規模や知名度などを問わずにチャレンジする姿勢を忘れないようにしましょう。
6:管理部門系のシステム開発経験があれば、人事・経理の可能性も
他の職種に比べれば可能性は低いですが、経理・財務系のシステム開発の経験が中心であれば経理・財務へ、人事給与系のシステム開発経験が中心であれば人事へのキャリアチェンジの可能性もゼロではありません。
この場合は、システム開発を通じて業務にも精通した知識があることが前提です。システム開発を通じて業務に興味を持つようになったといえば、キャリアチェンジの理由として納得感もあるでしょう。
加えて簿記2級や社会保険労務士などの資格を取得して、熱意と本気度をアピールすればより説得力も高まります。
ただし、SEからこうした管理部門系の職種へ転職でキャリアチェンジできる可能性があるのは20代まで。30代になれば、求人に応募しても経理・財務や人事の実務経験者と比較されるようになるので極めて難しいでしょう。
また、経理・財務系システムや人事・給与系のシステムの開発に携わったことがなければ20代でも管理部門系への転職は厳しいといえます。
7:自分の興味のある分野で独立・起業する
最後に、自分が今までやりたかった、あるいは自分の興味のあるSEとは全く関係のない分野で独立・起業するというのもあります。自分の好きなものを海外から仕入れて通販サイトで販売する、農業をする、飲食店を開くなど、今までとは全く違う世界にキャリアチェンジするのもありです。これなら年齢は関係ありません。
「企業に転職する」となると「今までの経験を活かせる分野へ」という制約がつきものですが、自分の興味のあった分野で独立・起業するなら話は別です。
但し、一度全く違う分野で独立・起業したら、起業がうまくいかなかったからといって、再度会社員に戻るのは、年齢によっては至難の業になります。20代であればやり直しは可能ですが、30代、40代となってしまうと、再就職先を見つけるのは並大抵のことではありません。
好きな分野で独立するなら、不退転の決意で頑張りましょう。