「突然、夫が転勤になった!」
「やっと仕事に慣れてきたころなのに、今?!」
「夫についていくか迷う…」
「出産・育児、夫の転勤など、女性はキャリアプランを立てづらい…」
夫の転勤が決まったとき、こんなことを思うかもしれません。これまでの環境がガラッと変わってしまうので、当然不安や悩みもありますよね。
今回は、夫が転勤になったときの女性のキャリアの考え方について、徹底解説していきます!
転勤する人の割合と理由

そもそも、転勤になる人の割合はどの程度なのでしょうか?厚生労働省の調査によると、以下のようなデータがあります。
正社員(総合職)の転勤(転居を伴う配置転換)がどのくらいあるかについては、「正社員(総合職)のほとんどが転勤の可能性がある」が33.7%、「正社員(総合職)でも転勤をする者の範囲は限られている」が27.5%、「転勤はほとんどない(転勤が必要な事業所がない)」が27.1%となっている。「正社員(総合職)のほとんどが転勤の可能性がある」の割合は、正社員規模が大きくなるほど、拠点数が多くなるほど、高くなる(図表2-1)。
「企業における転勤の実態に関する調査」調査結果の概要https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000149700.pdf
つまり、転居を伴う異動が必要になるのは、全体の約33%程度と言えます。統計から転勤族の妻は200-300万人はいるかと思います。
また、異動の多くの理由が社員の人材育成・適材適所などということです。
転勤の目的は、「社員の人材育成」が66.4%ともっとも多く、次いで、「社員の処遇・適材適所」(57.1%)、「組織運営上の人事ローテーションの結果(53.4%)、「組織の活性化・社員への刺激」(50.6%)、「事業拡大・新規拠点立ち上げに伴う欠員補充」(42.9%)、「幹部の選抜・育成」(41.2%)、「組織としての一体化・連携の強化」(32.5%)など(図表2-2)。
「企業における転勤の実態に関する調査」調査結果の概要https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000149700.pdf

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000149700.pdf
ただ、実際のところ、総合職でも転勤にならない人はずっと異動しない一方、数年ごとに転勤になる人もいるという、運のような要素もあります。マイホームを買った途端に異動になったという人も…。人の数だけ、転勤エピソードはあるかと思います。
夫が転勤になった!妻の選択肢は?

突然夫が転勤になったとき、妻の選択肢は大きく分けて2つです。
①夫についていく
②夫についていかない
子どもがいる、いないでも大きく環境が変わってきますが、今回は悩みがより多くなりそうな、「子どもがいる」パターンで考えていきます。
夫についていく場合のメリット・デメリット

子どもがいて、夫についていく場合は、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
「新しい街、新しい学校で周りに合わせていけるのか…?」
「方言が出ることで、いじめや不登校の原因にもなるケースもあると聞いた…」
色々不安の声はありそうです。早速見ていきましょう。
夫についていく場合のメリット
夫についていくと決めて、子どもも連れて引越しした場合は、どんな良いことがあるのでしょうか。
新しい世界や価値観を知れて、世界が広がる
まず、良いこととして、「新しい世界を知ることが出来て、視野が広がる」ことが挙げられます。夫の転勤がなかったら、経験していなかった土地、経験していなかった文化など、ご自身の経験値がどんどん上がり、自分の世界の幅を広げることが出来ます。
今までのしがらみをリセットして、再スタートができる
「3週間後に異動です」など、サラリーマンの家庭なら珍しくありません。そんな時に、夫も大変なプレッシャーがあるかと思いますが、妻のほうも不安です。ただ、「今までのしがらみをリセットして再スタートを切れる」という良さはあると思います。
もし「今までの人間関係や仕事に少しうんざりしている…」など、お悩みがあれば、この機会にバッサリ断ち切ってみるのもメリットと言えるでしょう。
新しい自分になったような気がして、なにか新しいチャレンジをしようという気になった、などという声もあります。
コミュニケーション能力が上がる
何度も転勤をしていると、新しい土地、新しい人に順応するために、「コミュニケーション能力」が向上する傾向があります。
今後AIが進み、一部の仕事が奪われるようになっても、人間のコミュニケーション能力は奪われることはなく、その価値はどんどん上がってきています。
そんな貴重な能力を、転勤をきっかけに磨いていくことが出来るでしょう。
色んな土地に友達ができる
転勤をせず、一つの土地にずっといたら出会わなかったような人々に出会うことが出来ます。
もしまた転勤をすることがあっても、どんどんと人脈を増やしていくことができ、旅行など行く時があれば、各地の友人に会うなどの楽しみも増えるかもしれません。
夫についていく場合のデメリット
では、夫についていって、子どもと一緒に新しい土地に引っ越す場合の、デメリットはどのようなことがあるのでしょうか。
新しい環境に打ち解けられない可能性がある
まだ子どもが小さいうちは、なんとなく乗り越えられてきたことも、子どもが幼稚園以上になると、「友達と離れるのがさみしい…」など、短いスパン転勤で子どもの心や親の心の安定が失われてしまうケースです。
子どもたちもママも順応しきれない…夫も不安…。そんなケースが多いのではないでしょうか。
実家など、頼れる場所が遠くなる
夫の転勤についていったことをきっかけに、実家やなじみの地域から、遠く離れてしまって、孤独を感じてしまう場合があります。
孤立感を感じて、子育てや地域生活がしんどい…と感じるようになり、胃腸炎や、じんましんなど、ストレスが身体に出てしまう女性もたくさんいます。
定住できないので、家を買えない
夫が転勤が多いと、1つの土地に定住ができないので、家を買えないといったデメリットがあります。「持ち家か、賃貸か」の2択で、持ち家を希望している人にとっては、この部分は、つらい点となります。
新しい土地で、希望の仕事が見つからない
夫の転勤がきっかけで新しい土地に引っ越したものの、そこでの仕事が見つからない…というケースです。経済的な理由や、社会的な理由などで働き始めようとしたとき、その土地で希望の仕事が見つからないと、不安ですよね。
最近はフルリモートで働くことが出来る職業もたくさんあるので、そのあたりもぜひ考慮に入れていきましょう。
夫についていかない場合のメリット・デメリット

夫についていかない場合は、どうなのでしょうか?単身赴任を決めた時の、一般的なメリット・デメリットを見ていきましょう!
夫についていかない場合のメリット
夫が単身で転勤先に住んで、妻と子どもはもともとの場所にいるときのメリットのご紹介です。
女性はキャリアを中断せず、仕事を続けられる
転勤についていく場合は、自分の仕事を辞めてついていく女性が多くなると思います。しかし、夫についていかずに「単身赴任」をしてもらうとなると、女性は、元の場所で元の仕事を続けられる可能性が高いです。
子どもが幼稚園や学校を転校せず、続けられる
子どもが学校などに通っていると、そこでのコミュニティやママ友、子ども同士の友情など、様々な面で「ここを離れたくない」と思う要素があると思います。単身赴任を選択すると、そんな心配はなく、今まで通りのコミュニティで過ごすことが出来ます。
住み慣れた土地だと、子どももママも安心できる面が多いと思います。
夫についていかない場合のデメリット
夫が単身赴任をしているときに考えられる、デメリットをご紹介します。
夫がそばにいない寂しさ
結婚してずっと一緒に過ごしていたのに、急に夫と毎日会えなくなるので、寂しさはあると思います。精神的に支えあっていた家族の1人が傍にいないことで、お互い喪失感を感じるでしょう。
子育てがワンオペになってしまう
夫が単身赴任をすることで、妻に子育ての責任がすべて移ってしまう、このデメリットはとても大きいと言えます。
近くに、子育てを協力できる家族や親せきなどがいれば良いですが、そうでない場合が多く、妻のほうも、仕事をしている場合はなおさら、体力的にしんどく、精神的にも「孤独感」を感じる場面が多くなります。
夫の転勤!女性のキャリアの考え方

では これらの悩みは、どのように考えると解決に近づくのでしょうか?夫についていく場合、ついていかない場合、それぞれご紹介します!
夫についていく場合の考え方
人間は変化を嫌うもの。不安で怖くて当たり前
そもそも、人間は遺伝子的に変化を嫌うように出来ています。それは安定な土地で子孫を残すような本能です。
そのため、新しい土地に行くのは怖くて当たり前です。
まずはその前提をもって、考えていきましょう。
子どもの順応性は、予想以上に高い
お子さんの性格にもよりますが、大人より子供のほうが、新しい場所になじむ適応能力は高かったりします。
ママが一番不安がっていて、子どもは意外と大丈夫。
そんなご家庭が多いように思います。
ただ、お母さんが強く心配していると、そのお母さんの気持ちが子どもに伝染してしまう可能性があります。あまり、「子どもに申し訳ない…」「かわいそう…」「大丈夫かな…」など、心配しすぎないように、ネガティブになりすぎないようにしましょう。
「ない」でなく、「ある」に注目する
上記で、メリットとデメリットを紹介しましたが、デメリットばかりに注意を向けてしまっていませんか?転勤という事実が変わらないのであれば、とらえ方次第で何とでもなります!
多くの土地で色んな人に合ったほうが、多くの価値観を知ることが出来ますし、人間的な幅も広がるかもしれません。
もっとポジティブな要素に目を向けて、前向きにとらえていく練習をすると良いかもしれません。
幼いころの友達は、一時の場合が多い
「転校による子どもの友達関係が心配…」などの声がありますが、学生時代、特に幼稚園や小学生などの友人は、そのあとの人生で会う友人と比べて、「一時の友達」になる場合が多いです。
「新しい環境で友達をつくる能力は、今後の人生にきっと役に立つはず」とポジティブに考えてみましょう。
転勤にも左右されない仕事を選ぶ
女性のキャリアの選択肢の一つとして、フルリモート、在宅でできる仕事など、場所にとらわれない働き方もあります。
もし「夫が転勤族で、なかなか仕事が定まらない…」などの悩みを持っているなら、そのような職種を調べてみるのがおすすめです。
夫についていかない場合の考え方
ワンオペがしんどい時は、周りに頼る
家族や親せき、友人、その他地域の子育てコミュニティなどを探して、周りに頼っていくことが大切です。
完璧なお母さんなんて一人もいません。
・一人で抱え込まないで、周りに頼る
・完璧を目指すのでなく、テキトーで大丈夫
・自分を責めずに、自分に優しく
上記のことを心がけて、軽い心で過ごしましょう。
現状のメリットを意識してとらえる
ある程度時間が経つと、どんな選択をしたとしても、不満は出てくるものです。
その時は、自分自身が選んだ選択の「メリット」の部分に注目して、「この選択をして、よかったな」と思うようにしてください。そうすると、幸福度も上がると言われています。
さいごに

計画的偶発性理論(プランド・ハップンスタンスセオリー)
最後に、1つのキャリア理論をご紹介します。「計画的偶発性理論(プランド・ハップンスタンスセオリー)」をご存じでしょうか?
「キャリアの8割は、予期しない偶然によって形成される」という、20世紀末にスタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱した考え方です。
不確実なVUCAの時代において、だれも予測できないこの考え方は、広く納得感高く受け入れられています。
また個人のキャリアは、下記の5つの行動を心がけることで、偶然を味方につけることができると言われています。
「好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心」
どんな道を選んだとしても、それを正解にしていくのは自分自身です!楽観的に、好奇心をもって、冒険していきましょう。
プロのキャリアコンサルタントに相談するのもおすすめ
また、迷ったときは、プロのキャリアコンサルタントに相談するのもおすすめです。
あなたのもやもやも、きっと解決することが出来ます!