「いつか、地元へ帰ろう」「地元に恩返ししたい」「高齢の親の近くにいた方が安心」…そんなUターン転職への思いがいつも頭のどこかにあるものの、「仕事は辞めてからのほうがいいのか?」「年齢的にいつまでに転職したほうがいいのか」と、いざとなるとなかなか踏ん切りがつかない方も少なくないのではないでしょうか。

そこで今回は、失敗しないUターン転職のために、Uターン転職のベストなタイミングについて整理してみたいと思います。

「仕事を辞めてからUターン転職」は極力避ける

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Uターンの転職活動で、大きな壁となるのが情報収集と面接です。

都市部の企業と異なり、地元の企業は、大手転職情報サイトに求人が掲載されておらず、ハローワークをメインの募集手段として求人募集をしていることがよくあります。地元から遠く離れた都市部で仕事をしていては、「どんな求人があるのかよくわからない」「地元に戻りたいけど、情報がない」というのが現状ではないでしょうか。

そして何らかの手段で求人情報を見つけ、応募したとしても今度は面接に行くのが一苦労だったりします。

地元に往復するのが、日帰りでは厳しいような状況であれば、「一旦仕事を辞めてから転職活動をしたほうがいいのかな」という思いもよぎるでしょう。

仮に1日で往復できるような場所にあったとしても、面接に行くための有給が「なかなか取りにくい」「有給を取るネタが尽きた」となると、「やっぱり辞めてからのほうが…」と思ってしまうのも無理はありません。

しかし、失敗しないUターン転職のためには、「仕事を辞めてから」の転職活動は極力避けたいもの。「Uターンさえ実現できれば、仕事はあまりこだわらない」と思えるくらいの強い思いがない限り、転職活動のために現職を辞めてしまうのは、あまりおススメできません。

「仕事を辞めてから」じゃないほうがいい理由

その理由は、「地方では、自分の希望にマッチするような求人がすぐに見つかるとは限らない」からです。

そもそも地方の企業数は、言うまでもありませんが都市部に比べて少ないです。つまりUターン転職では、業種も職種も都市部に比べれば少ないなかから、自分の希望にマッチする求人を探すことになります。運が良ければすぐ見つかるかもしれませんが、運が悪ければなかなか「これは!」と思うような求人には出会えません。

仕事を辞めて地元に戻ってきたけれど、希望の求人が見つからない…。

そうこうしているうちに、あっという間に数か月が過ぎてしまうでしょう。そうなれば、離職期間は長くなればなるほど選考にマイナスの影響を与えますし、離職期間が長くなることを避けて納得のいかない転職をしてしまえば後悔が残ります。

そのリスクが高いからこそ、Uターンの転職活動は可能な限り仕事を続けながら行うほうがよいのです。

そして、仕事をしながら転職活動をする際に避けられない「面接に行く時間が取れない」問題については、

①地元密着型の転職エージェントを利用し、相談する。
(地方でも主要都市であれば、地元密着型の転職エージェントがあります。転職エージェントに間に入ってもらうと、日程調整がしやすくなります)

②企業の人事担当者に率直に相談してみる。
(転職エージェントを使わない場合には、率直に人事担当に相談してみるのも1つです。入社意欲を伝えつつ、どうしても都合がつかない事情を説明すれば、遠方からの面接に対して何かしら考慮してくれる可能性もあります)

③休日に開催される転職フェアに参加する。
(民間企業や行政が、土日に都市部でUターン転職フェアを開催しています。その場で面接ができることもありますし、面接がなくてもこの場で一度企業の人事担当者と面識を作っておくと、面接の日程調整も考慮してもらいやすくなるかもしれません)

などの対策をしてみましょう。Uターン希望の応募者に対して、土曜日などに面接を調整してくれる企業もありますので、あきらめずに調整の可能性を探ってみてください。

Uターン転職に適した年齢は?

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Uターン転職を成功させるには、年齢的に「いつ転職するか?」も重要なポイントです。

もし地元に戻る気持ちが固まっており、都市部での生活に未練がないならば、早ければ早い方がよく、遅くとも30代前半までに転職するのがベストなタイミングといえるでしょう

企業の人材育成の観点から、若手人材のほうが採用されやすいという転職のしやすさもありますが、実はそれだけでなく、Uターン転職をするなら若いうちにしたほうが「自分が感じる、転職後のギャップを極力小さくでき、新しい環境に馴染みやすくなる」というメリットもあるのです。

「企業文化」は自分では意識しなくても、長く勤めれば勤めるほど、体に染みつきます

新卒入社後、10年も働けば、「今の職場での当り前」が「その企業での文化」としてしっかり体にしみ込んでいます。何回か転職して、職場を渡り歩いていたとしても、「都市部での働き方」「都市部での仕事の常識」は無意識のうちに「当り前」になって身についているでしょう。

しかし、Uターン転職をし、地元に戻れば仕事や働き方の感覚は、都市部のそれとは全く異なります。

今までの企業文化がしみ込んでいればいるほど、あるいは都市部での価値観ができ上っていればいるほど、Uターン転職後の環境にギャップを大きく感じ、「以前はこうだったのに…」という思いが新たな職場に馴染む妨げになりえるのです。

そして年齢が30代半ばから40代になると、今度は即戦力として事業やマネジメントを任せられる能力や経験が求められるようになり、転職のハードルが上がってしまいます。このハードルを越えて転職したとしても、企業文化や商習慣の違う地方で、自分の今までの感覚とは全く違う環境で働いてきたメンバーをまとめ、事業を推進するのは並大抵のことではありません。

20代半ばから30代前半は、ちょうど仕事が面白くなり始めるころです。「もう少しここで経験をつけてから」「もう少しやり切ってから」という気持ちもあるかと思いますが、このタイミングは、Uターン転職するにもベストなタイミングです。

もし「ゆくゆくは地元に」と考えているのであれば、仕事を続けながら少しずつ地元での転職先を探し始めてみてはいかがでしょうか。

「Uターン転職してよかった」と思えるには、こうしたタイミングだけでなく、Uターン転職の現実をきちんと理解しておく必要もあります。

後悔しないためのUターン転職のポイントについては、こちらのコラムも合わせてご確認ください。

→「Uターン転職で後悔しないために知っておきたい3つの現実