「女性ってなんだか働きにくい…」
「キャリアアップは現実的に難しいかもしれない…」
「結婚・子育てでキャリアを捨てないといけないかも…」

など、女性のキャリアに関する課題は、ライフステージごとにたくさんあります。今回は、女性のキャリアのシビアな現実と、その対処法について、実例とともに見ていきましょう。

働く女性は増えている

まずは大枠の背景、社会環境をみていきましょう。

日本では、どんどん少子高齢化が進んでおり、働き手が不足すると言われています。そのため、日本政府は「一億総活躍プラン」として、女性や高齢者の社会進出を進める取り組みをしています。

出産や育児のため、主に30代女性の労働人口が少なくなる「M字カーブ現象」は、近年では“台形”と呼ばれているほど、解消されています。

参考:『内閣府男女共同参画局』女性の年齢階級別労働力率の推移
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-01.html

働く女性が多くなっているのは、政府の施策だけではなく、「個人の時代」という要素が強くなり、理由はさまざま多岐にわたります。

多くみられるのが、「社会とつながっていたい」「社会貢献をして自分の存在意義を感じたい」「働かないと経済的に厳しい」「自己成長がしたい」などです。

女性は男性よりキャリアに不安を感じている

一般的に、女性は男性に比べて、キャリアに多くの不安を持っていると言われています。それは、「ライフステージが変わるタイミング」が男性よりも多いとされているからです。

結婚、妊活、出産、子育てなどのライフイベントや、生理、更年期など女性特有の身体の悩み、親の介護 などなど…

キャリアを歩むうえで、様々な壁が出てくるのが現実です。

女性の前に立ちはだかる壁は、たくさんある

そんな女性のキャリアの現実は、いったいどんな実態なのでしょうか?世代・イベントごとに見ていきましょう。

20代までの女性のキャリアの壁

独身で、働きながら婚活をしている人は多くいらっしゃいます。仕事の適性に関して、転職に関して悩む方もいらっしゃるでしょう。

また20代の時期は、一般的に生理が重くなり、働くのがつらいと感じる人も多くなると言われています。

Aさん(27歳/独身/会社員)

「仕事で失敗をしてしまって、自分に今の仕事が向いているのか、わからなくなってきました。このまま同じ会社で続けるのが良いかわからない…。結婚もしたいけれど、日々のタスクに追われていて、休日は疲れて休むしかできず、なかなか出会いの場に行くことができない…。仕事や職種と、自分に合う結婚相手・子供のタイミング…何かと女性は考えることが多いと思います」

Bさん(29歳/既婚/会社員)

仕事をいつ頑張って、いつ産めばいいの?と思います。なぜ女性ばかり悩まなくてはならないの?!とたまに思ってしまいます。理想の産み時なんてないんでしょうけれど、できるだけキャリアの可能性を広げておきたいと思うと、妊活が後回しになってしまいます」

Cさん(25歳/独身/会社員)

「20代になってから生理が急に重くなってしまい、その時期になるとベッドから起きられないほどつらくなります。会社には“生理休暇”の制度があるのですが、周りに活用している人がおらず、男性の上司ということもあり、言い出しづらく、困っています」

Dさん(27歳/既婚/会社員)

「異動先の上司から、『結婚されて1年ですが、そろそろ子どもは考えられているんですか?』と質問されました。本当はもう少ししたら妊活を始める予定だったのですが、『全く考えていません』と言いました。そう言い切らないと、仕事内容が変わって、他の同期と差がついてしまいそうだったから…」

30代女性

結婚して、子どもがいる人も多くなってくる30代。一般的には30代が一番忙しい時期、などとも言われています。

Eさん(31歳/既婚/会社員)

「子どもが2人いて、現在2人目の育休中です。正直、職場復帰がとても怖いです。まだ1人の時は、なんとか夫と協力し合って乗り越えられましたが、2人いるとなると考えただけで、どっと疲れてしまいます。こんな状態で、自分のキャリアアップなんて考えられないと思います」

Fさん(32歳/既婚/自営業)

「1児のワーママです。妊娠しながら会社で働いていた時、産休・育休をとるリスクがあるからと、プロジェクトから降ろされたことがありました。その時はとても悔しかったし、これが女性のキャリアの現実か…と思いました」

Gさん(35歳/既婚/会社員)

“小1の壁”を乗り越えられずに、退職しました。地方から東京に出ていて、周りに頼れる人もおらず、ワンオペ状態なので仕方ないことだし、これでよかったと思っています。でもたまに、あのままキャリアを築けていたらどうなっていたんだろう…と考えてしまうことがあります

Hさん(37歳/独身/フリーランス)

「体力面で男性と同じように働けないのが、悔しいです。フリーランスという働き方を選択したので、覚悟はしていたのですが、30代になって周りの男性と比べて体力が減って稼働できない時間があるのが、もどかしく、もっと体力があれば…と思うことがあります」

40代女性

Iさん(40歳/既婚/会社員)

「不妊治療をしています。営業職なこともあって、治療と仕事の両立が、思った以上に体力的にも、精神的にもつらいです。会社の同期は、『子どもがいて時短勤務というだけで評価が下がる』と嘆いていたので、そういった心配もあります」

Jさん(49歳/女性/会社員)

ホルモンバランスにより気分が浮き沈みしてしまうことが、最近よくあります。部下の言動がいちいち気になってしまったり、家庭で夫とけんかしてしまったり…。仕事のパフォーマンスも悪くなっていることがわかり、少し焦っています

Kさん(50歳/女性/主婦)

親の介護と仕事の両立ができず、退職しました。金銭的にも、ケアマネージャーや老人ホームに頼ることができず、家で介護をしています。人生の優先順位を考えて、仕事を辞めた選択は間違っていないと思っています。ただ、金銭的には不安があるので、パートで求職しています」

本当にどれもリアルで、切実な女性たちの声。

「仕事を続けるのはしんどい…!けど、やめたら経済的に不自由になってしまう…」
「仕事を再開したいけれど、家族に反対されている…」
「キャリアと育児を両立された先輩のきらきら話は、共感しづらく、かえってモチベーションが下がってしまう…」

などなど、ほかにも、人の数だけ悩みはたくさんあります。

この記事を読んでいただいている方の中には「わかりすぎる!」と共感する方もいれば、「女性のキャリアの現実は、厳しいんだ…」と憂鬱になるもいらっしゃるかもしれません。

しかし、心配しすぎる必要はありません。そんなにお先真っ暗、というわけではないと思うのです。

ここからは対策を見ていきましょう!

女性のキャリアの現実をより良くする解決策!

ここまで様々な女性のキャリアの現実に関するコメントを見てきました。環境や悩んでいることは、それぞれで異なっていますが、解決方法は意外と共通しているものがあると思います。

「今悩みがある…」という方はぜひ、この中の1つでも良いので試してみてください!

情報収集をする

今悩んでいることに関して、一度立ち止まって、情報収集をしてみるのが、第一のステップとしてとてもおすすめの方法です。

例えば、子育てと仕事の両立に関して悩んでいる場合は、「職場に時短制度はないか?」「より子育てと両立させられる職種は何か?」「地域に子育てのサポート・施策はあるか?」など、今の環境をより良くするための“情報収集”をしてみましょう。インターネットや、ハローワーク、区民センターなどに情報があるケースが多いです。

世の中にある仕事を調べるときや、自分自身の適職を考える際に役立つのは、厚生労働省が運営している「Job tag(ジョブタグ)」というサイトです。

職業興味検査や価値観検査などをすることもできるので、就職・転職をする前などに使用してみてください。

参考:厚生労働省 Job tag https://shigoto.mhlw.go.jp/User/

また、情報収集の手段としては、書籍や記事もとても有益です。ぜひ積極的に悩みがあるポイントの情報を取りに行くことをおすすめします!

自分の気持ちを整理する

情報を集めることができたら、次は「自分はどうしたいのか?」を1人で考えることがおすすめです。忙しくしていると取り残してしまいがちな「自分の気持ち」にじっくりと向き合ってみましょう。「忙しい」という字は、「心をなくす」と書きます。

忙しくしていると、目の前の出来事をこなすので精一杯になってしまいます。その結果、自分では思ってもみなかった方向に進んでしまうこともありますので、一度立ち止まって周りを見渡して、自分と向き合うのが良いでしょう。

自分はどういうことで悩んでいて、その悩みがこういう理想の状態になっていてほしくて、そのためには何ができるか…

現実と、理想と、そのギャップを埋めるための方法を、紙に書きだして考えてみると、意外とシンプルなことに悩んでいた、と気づくことができるかもしれません。

周りの人に相談する

1人でずっと、もんもんと考えているのは、あまり良い状態ではないかもしれません

自分自身の悩みを、「どうせ上司に言っても聞いてくれないだろうから」「私だけの問題だし…」と抱え込まないようにしてください。

お伝えできる範囲で良いと思いますので、ご家族・パートナーや、職場の方々、その他周りの方々へ、今ご自身が「どういうことが起こっていて」「それにどう感じていて」「どういう風にしたいのか」を伝えてみましょう。一人で考えた、「現実と、理想と、そのギャップを埋めるための方法」です。

人と話すことで、改めて「自分ってこういう風に考えていたんだ…」と気づけることがあります。そして、自分では思いつかなかった角度の意見や考えを受け取ることができるかもしれません。勇気を出して、一歩踏み出すと、物事は良い方向に進み始めることが多いです。

目標とアクションを決めて、実行する

情報収集をして、自分で考えて、周囲に相談して…といろいろな観点の情報から、自分自身の人生として「どうなっていたいか」が見えてくるはずです。

それは、人それぞれの思いがあると思います。

「ママになっても働き続けたい」
「キャリアチェンジとしてこういう職種で働きたい」
「やっぱり子供が欲しい」
「フリーランスとして働きたい」
「リーダーになりたい」
「子育てに集中したい」
「すべてを実現したい」などなど…

その理想の目標を設定した後は、どういうアクションが取れるか、考えてみましょう。ここも情報収集が役立つと思います。

もちろん色んな制約もあるかと思います。金銭的、社会的などなど、そういったこともすべて踏まえて、実現できる目標やアクションを選ぶようにしていきましょう。

決めたアクションは、紙に書いていつも見えるところに置いておくと続けやすいと言われています。ぜひ試してみてください!

プロのキャリアコンサルタントに相談するのもおすすめ

「とは言っても、自分1人じゃどうしたらよいかわからない…」
「現実はそんなにうまくいかないよ…」
「女性ならではの現実に戸惑っている…」
「働きたいのに、子育てとの両立で仕事をやめないといけないかも…」

そう感じている方もいらっしゃるかもしれません。そんな時は、プロのキャリコンサルタントに相談することがおすすめです。

キャリコンサルタントに相談するメリットを、少しご紹介します。

あなたの今の気持ち・悩みを整理することができる

キャリアコンサルタントは、相談を聞くプロの訓練を受けています。そのため、あなたの悩みをキャリアコンサルタントに話すと、きっとご自身の考えが整理されるでしょう。

自分では目の前のことしか見えていなかったけれど、キャリアコンサルタントに話していくうちに、自分の悩みの本当のポイントが見えてくるかと思います。

あなたの目標・ありたい姿を一緒に見つけられる

ご自身で「こうなりたい」「こうしたい」と目標がはっきり決まっていない場合でも、キャリアコンサルタントと話していくうちに、過去ご自身がどういったことでモチベーションが上がっていて、どういったことでポジティブになれていたか、という、「大切な軸」が見えてきます

キャリアコンサルタントは有益な質問を投げかけてくれると思いますので、その質問に答えていくうちにだんだんと、じっくりとわかってくることがあるかと思います。それを踏まえて、あなたの人生として今後の目標、ありたい姿がわかってくることがあります。

キャリアコンサルタントは、“キャリアの相談に関するプロ”なので、きっとあなたの悩みの解決の糸口を見つけられますよ!