近ごろよく聞く ワーママとは、「ワーキング・マザー」を略した言葉で、一般的には正社員・パート・フリーランス等、働きながら子育てをしているママのことを指します。

「子育てと仕事の両立が難しい…」
「自分のキャリアと向き合う時間が取れない…」

など、たくさんの悩みがあるワーママ。今回は、ワーママによくあるキャリアの悩みとその解決策をご紹介します!

ワーママはどのくらいいる?

そもそも、全国のワーママはどのくらいいるのでしょうか?下の図は、専業主婦世帯と、共働き世帯の1980~2021年の年代別のグラフです。

参考:https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html
総務省統計局「労働力調査特別調査」、総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」

専業主婦世帯が多かった時代から、共働き世帯がどんどん多くなっていっていることがわかります。2021年時点では、1247万世帯が共働きで、ワーママは増加傾向になっています。

また、共働き世帯が増える中で、2022年9月、厚生労働省の世帯・所得について調べる「国民生活基礎調査」では、子育てをしながら働いているワーママの割合は75.9%と、今までで最も高い割合になったことがわかりました。

そして働いているワーママのうち、およそ半数が正社員ではなく、パートや派遣などの非正規雇用ということです。

ワーママはどんな悩みが多い?

では、そんな働きながら子育てをしているワーママはどんな悩みが多いのでしょうか?

悩みが多くなる時期、子どもが0歳~小学生の期間によくある悩みを一緒に見ていきましょう!

子育てと仕事の両立が体力的にしんどい

まず、「子育てと仕事の両立が身体的にしんどい」、「体力的に厳しい…」というものです。

特に、新生児の時や、保育園などに入りたての時は、まだ夜泣きをすることも多く、十分に寝られない。疲れが回復しない。など深刻な睡眠不足になってしまうことがあります。また、そこから産後鬱など、心身ともに体調を崩すことになってしまうケースもあります。

職場の人間関係がストレス

子どもの急な発熱やイベント等で、仕事を抜けなければならない場面もあります。そこで、職場のメンバーの理解が得られていないと、肩身が狭くなるような思いをすることがあります

育児経験がない上司などを持つと、お互いの理解がうまくいかず、職場の人間関係が悪化して、仕事がつらくなる…という悩みです。

自分のキャリアと向き合う時間がとれない

続いて、子供の行事や体調不良で、急に呼び出されることがあったり、お迎えの時間が決まっていたりして、仕事に全力になれない、というお悩みです。

独身のころは、仕事が軌道に乗ってきたから、少し残業してがんばることもできていたのに、ワーママになると、「色んな制約で残業ができない…」「最近、私仕事で活躍できていない…」「私って何がしたかったんだっけ…」など、自分自身のキャリアと向き合う時間が取れない、もどかしさを感じる場合があります。

子どもと向き合う時間が足りない

一方で、子どもと向き合う時間が取れない…というのもよくある悩みです。

もっと子どもに全力投球して、多くの時間を子供と向き合っていたいのに、仕事の時間があるから、物理的に子どもと触れ合うことができない。

「私って子育てうまくできているのかな…」「ママとしてしっかりできているかな…」と不安になるケースです。

家事・育児の負担が重く感じる

ワーママの中には、「家事育児の負担が自分に偏っている…」「シンプルにやることがとても多い…」と感じる人も多くいます。

理由は、パートナーが単身赴任、夜勤シフト制、残業が多い、シングルマザーになった、など様々あるかと思いますが、家事と育児の負担が多くなって、体力的にも精神的にも余裕がなくなってくる…「もう限界…」というお悩みです。

周りに頼れる人がいない

自分たちの実家が遠い、近所に友人がいない、知り合いが遠くに住んでいる、など、「頼れる人がいない」という問題は、特に都会のワーママに多くあります。

核家族の形態が多くなっているので、その分、周りにちょっとしたことでお願いできる関係の人がいない、という方が多いです。

会社の評価・制度に不満

「子育てをはじめると、時短や仕事内容の変化などで、会社での評価が悪くなってしまった」という声もあります。

これはあってはいけないことですが、正当に評価されていないと感じているワーママがいるのも事実です。

ワーママの悩みへの解決策

本当にたくさん、いろんな悩みが尽きないワーママですが、その悩みを、少しでも解決に導くための考え方をご紹介します!

完璧を目指さない

まず、「完璧を目指さない」ということです。

子育ても仕事も丁寧に、効率よく、完璧に…!なんて思っていると、体も心もしんどくなって、無理をしてボロボロになってしまいます。

人間には、完璧なんてありません。完璧主義を捨てるという意識を持つと、いくらか心のゆとりも出てくるかもしれません。

自分に合った環境に変える

「がんばっても、がんばっても、評価されない…」「この生活、しんどすぎる…」と思うときは、環境がご自身に合っていない可能性があります。

リモート勤務・フレックスワークなど、柔軟な働き方ができる会社への転職や、子育てがしやすい街へ引越しをするなど、自分が頑張りすぎなくてもいい環境に、身を移すこともとても大切です。

家事・育児の負担を減らす工夫をしてみる

家事育児の負担が重いな…と感じるときは、パートナーと家事・育児の役割分担について話し合う、便利家電や、家事代行サービス、ベビーシッターさんなどを導入するなど、どんな工夫ができるか考えてみましょう。

時間をお金で買うことは、とてもいい解決策の1つだと思います。

相談できる相手を作る

「頼れる人がいない」、「相談ができる人が少ない…」と感じている方は、周囲に相談できる人を作れるか考えましょう。

学生時代の友人、ご近所さん、親戚、キャリアコンサルタント、国や公共機関が開催しているコミュニティなど、調べてみると、意外とたくさん頼れる人がいると思います。見つからない人は、書籍や記事でもOKです。

あなたの悩みは、だれかがすでに経験している悩みである可能性がとても高いです。一人で抱え込まずに、先人の知恵を借りて、日々の生活に役立てていきましょう。

キャリアプランを立てる

ワーママは、とても忙しくて、今日のこと、目の前のことで、精いっぱいになってしまいがちです。

実際、「5年後のキャリアプランって言われても、どうなっているかわからない」という方も多いかもしれません。

ですが、中長期的なキャリアプランを立てることは、これからのご自身のキャリアにとって、とても重要なことです。「明確にこうなりたい!」、と決められなくても、なんとなくでいいので、一度考えることがおすすめです。

というのも、なんとなく方向性をいったん決めておくことで、無意識にその方向にいく、というような人間の習性があるからです。

一度、子育てを含めた、将来のキャリアプランを立ててみましょう。

キャリアプランの立て方

「キャリアプランを立てるって言っても、具体的にどうするの?」
「何から手を付けていいかわからない」

という方に、キャリアプランの立て方・手順をご紹介します!

理想の自分はどうなっているか考える

まずは、自分がどうなりたいかを、思いのままに書いてみましょう。

5年後、10年後、自分はどうなっていたいでしょうか?

想像できない部分も多いかもしれませんが、どういう自分になっていたいのか、自由に挙げていきましょう。

例えば、「周りから信頼されている人」「金銭的に余裕がある人」「○○の分野で活躍している人」などなど、なりたい姿は、人によって無数にあります。

理想の自分になるための要件を決める

次に、その「なりたい姿になったな」と思える、要件を書いていきましょう

上の「周りから信頼されている人」になったなあと思えるのは、どんなことがあるからそう思えるのでしょうか?

「部下をもって、その部下がたわいもない相談をしてくれる」からでしょうか。「○○案件のプロジェクトを任されている」からでしょうか。「子どもから○○という言葉を言ってもらえる」からでしょうか。

できるだけ具体的な要件を書いていきましょう。

具体的な計画を立てる

では、その具体的な要件を実現するために、必要なことはなんでしょうか?

「○○資格を2023年12月までにとる」でしょうか。「子どもの行事には毎回参加する」でしょうか。たくさんのプランが出てくるかと思います。

このような手順で進めると、キャリアプランはスムーズに考えられるかと思います。

私のキャリアと子供の成長シート

また、厚生労働省が発表している、「私のキャリアと子供の成長シート」を活用するのもおすすめです。

参考:厚生労働省ホームページ「平成29年度 労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業

こちらは、自分自身のキャリアと、夫、子どもの年齢を照らし合わせて、長期的に見通すことができる、ワーママ向けのシートです。

このシートを記入するときには

「この先、時間の使い方や働き方にどんな変化がありそうか」
「どの時期にどうなっていたいか」
「そのために、今できることはなにか」
「どんなサポートが必要か」

などを意識して書いてみることで、長期的なキャリアプランを可視化することができます。

「今、子どもが0歳と2歳で、とても手がかかる時期で時短で働いているけれど、5年後には少し負担が減って、フルタイムに戻ることができるかも」
「8年後には、昇格試験や○○の資格取得にチャレンジしたいな」
「自分が45歳になると、子どもが二人とも中学生になるから、長期の出張もできそうだな」

など、子どもの成長と、自分のキャリアを5年、10年、15年と、長いスパンで考えることができます。

それによって、「いつまでもこのしんどさが続くわけじゃないんだ」と気づくこともできますし、「今の仕事は続けられそうにないから、今のうちにキャリアチェンジをしておこう」など気づきを得られるかもしれません。

キャリアプランは変更してもOK

また、いったん書いたキャリアプランは、絶対に守らなければいけない。ということは全くありません。

その時その時で、柔軟に、臨機応変に、変更していきましょう

迷った場合は、プロのキャリアコンサルタントと一緒にキャリアプランを考えることも可能です。

キャリアコンサルタントに相談する効果

自分の気持ちや悩みを整理することができる

キャリアコンサルタントに話してもらうことで、ご自身の気持ちや考えが整理される効果があります。

自分ではいっぱいいっぱいにやってしまっていたけれど、今こうして人に話してみることで、自分の悩みってこうだったんだ。ここがポイントだったんだ。

と、見つめ直して見えてくることがありかもしれません。

自身のなりたい姿がみえてくる

今までのご自身の経験をキャリアコンサルタントに話している中で、どういうときに自分がポジティブになっていたのか、見えてきます。

そこから、自分がどうなりたいのか、という理想の姿がわかってくることがあります。キャリアコンサルタントはプロなので、有益な質問を投げかけてもらうことができ、自身の内省が進みます。

具体的な解決方法が見つかる

一人で考えているだけでは、「どうしよう…」「何をしたらいいかわからない…」と迷われている方も、キャリアコンサルタントと話すことで、悩みの解決方法も見つかりやすくなります。

というのも、キャリアコンサルタントは、様々な悩みへのアプローチを網羅しているからです。

ワーママのみなさんのお悩みもきっと、親身になって解決策を一緒に見つけてくれるでしょう。

1on1で真剣に向き合う

基本1人につき、1人のキャリアコンサルタントがつき、しっかりと相談に乗ります。

どういう姿を目指して、どういう強みを活かして、どういう行動をするのか、など、あなたの悩みに真剣に向き合って、長期的なキャリアプランや現在の悩みに寄り添って考える、濃いコミュニケーションをとることができます。

キャリアコンサルタントは、あなたのキャリアの悩みを少しでも晴らしてくれると思います。思い切っていろんな経験や思いを伝えてみましょう。