毎日働いていると、人間関係や仕事のストレスから、「もう仕事に行きたくない」「思い切って辞めたい」と思う日もありますよね。

もちろん退職するのも一つの方法ですが、勢いで辞める前に一度立ち止まってみてもいいかもしれません。

今回は、仕事に行きたくないという気持ちで一杯になってしまった方のために、どのように対処すべきかをご提案します。

会社を辞めたい時は自分の悩みを細分化する

経営学の分野では、大きな問題にぶつかったとき「問題を細分化して一つずつ解決する」ことが有効であるとされています。

この理論を応用して「仕事に行きたくない」という感情に向き合ってみるのは、有効な対処法です。

辞めたいという勢いで無計画な退職・転職し、後悔しないためにも、まずは「なぜ自分は辞めたいと思うのか」という理由の部分に焦点を当て細分化しましょう。

下記4つのうち、ご自身がどれに当てはまるか、考えてみてください。

1.人間関係に悩んでいる

人の悩みの多くは、人間関係に由来します。

仕事を辞めたいという悩みも、「職場の人間関係が上手くいっていない」というケースが多いです。

実際に、マイナビが行ったアンケートによると「職場に嫌いな上司がいますか(いましたか)?」という問いに対して、73.5%が「いる」と回答しています。

(参考:マイナビ「「上司が嫌いで辞めたい!」実際に転職した人はXX%。退職理由にしていいの?」

多くの方が上司との関係に対してネガティブな感情を抱えていますが、そのパターンはいくつかに分かれます。

まず、「正当に評価されない」ことです。仕事で成果をあげてもそれが認められなければ、モチベーションが維持できません。

特に自分勝手な上司の下についてしまい、こちらが報連相をしてもまじめに聞いていなかったり、指示が不明瞭だったりすると、自分がどれだけ努力しても認められない悪循環に陥ってしまいます。

また、「精神論ばかりで具体的な助言がない上司と一緒にいる」ことが、大きなストレスになっているケースもあります。仕事で行き詰ったときに「できるまで頑張れ」「あきらめるな」といった漠然としたことしか言わない上司に対し、苦手意識を持つ方は少なくありません。

具体的なアドバイスやサポートがなく自分のスキルアップが見込めないことも、仕事に対してネガティブになりうる要素です。

人間関係は、対上司だけでなく、同僚や後輩についても重要です。

相性の悪い部下を持ってしまい上手くマネジメントできず、多くのタスクを抱え込んでしまっている」方もいるでしょう。

特に初めて部下を持ったときには、自分の業務をこなしながら後輩育成もしなくてはならないため、ストレスを感じやすくなります。

2.仕事を楽しめない

仕事との相性が理由で、会社に行きたくないと思うこともあります。

毎日決められた業務を素早く正確に行うことが得意な方もいれば、クリエイティブな発想で自由に企画するのが好きな方、人当たりが良くコミュニケーションをとることに長けた方もいます。

自分が得意とする仕事ができればよいのですが、チームの中で苦手なことに取り組まなくてはならないこともあります。これを成長のチャンスと捉えることができる一方、あまりにも相性が悪いと多大なストレスがかかります。

また、マンネリ化して達成感が得られないケースもあるでしょう。

入社したころは覚えることも多く毎日必死で過ごしていても、だんだんと慣れてくるものです。仕事が単なるルーティンとなり、「何のためにこれをしているのか」と思い詰めてしまうことは珍しくありません。

部署異動や昇進により業務内容が変わり、「前の方が良かった」と感じることもよくあります。

3.職場環境や待遇が良くない

いくら人間関係が良好でやりたい仕事をしていても、環境や待遇が悪ければ辞めたいという気持ちはわいてくるものです。

生活に十分な給与がもらえなかったり、休日が少なくプライベートの時間が取れなかったり、残業続きで寝る時間が短かったりすると、なかなか長期的に働くことはできません。

そんな時に転職サイトを見たり友人の話を聞いたりすると、自分の状況を変えたいと思うようになるのは自然なことです。

「資格を取れば手当てが出て手取りが上がる」など明確な基準があれば頑張れるかもしれませんが、そういった基準がなければ辞めたいと思ってしまうのも無理はありません。

4.将来性を感じない

「この会社にいても先がないのでは」と悩み始めると、転職を考えるようになります。

会社の業績悪化など経営的な側面はもちろん、上が詰まっていてステップアップできない、保守的すぎて時代にあわせて変化できていないといったところから、将来性のなさを感じることもあるでしょう。

「会社と一緒に沈むくらいなら、辞めて違う職場で頑張りたい」というモチベーションで転職をする方も、実際にたくさんいます。

会社を退職・転職したいと思ったらすべきこと

問題を細分化したら、行動を起こしましょう。

勢いで職場を離れるのか、計画的に対処するのかによって、その後の人生が大きく左右されます。

会社を休む

毎日職場に通っていると、自分や仕事、キャリアについて客観的に考えることが難しくなってしまいます。

まずは有給休暇などを使って会社を休み、リフレッシュしましょう

ストレスがかかり続けると、最悪の場合、体調やメンタルの調子を崩してしまいます。もしうつ病などになってしまうと完治まで非常に時間がかかるので、取り返しがつくうちに対応してください。

休みをとったら、まずは仕事のことは考えずストレス発散することに集中します。自然に触れたり、好きなアーティストのライブに行ったり、旅行をしたりと、自分が楽しいと思えることに時間を使ってください。

転職サイトに登録する

転職サイトに登録したからといって、すぐに転職活動をしなくてはならないわけではありません。アカウントだけ作っておいて、時間のある時に求人をチェックするだけという使い方もできます。

転職サイトから情報を集めることで、自分の職場と他の職場を比較しやすくなります。

自分のスキルで転職したら、どのくらい年収がアップするのか、待遇はどれだけ変わるのかなどわかれば、「今のところにいた方がいいかもしれない」「思い切って転職した方がよさそう」など、判断しやすくなります

また、サイトによっては企業側からスカウトが来ることもあります。

「自分にはこの会社しかない」と思うと思考が狭まりますが、他にも選択肢があると感じられれば、気持ちの面でも楽になるものです。

尚、登録する転職サイトはエージェントを利用しないものがおすすめです。

エージェントからの紹介は、あくまでも転職の意思があることが前提となるケースがほとんどなので、この段階では上手くマッチしません。

まずは自ら案件を探すタイプのものに登録して、本当に転職しようと決めたらエージェントタイプを選んだ方がより有効に利用できます。

運動や自分の趣味の時間を作る

「会社に行きたくない」という気持ちが強すぎて、メンタルに不調をきたし始めることは多々あります。

そんな時は一旦仕事のことを忘れ、体を動かしたり、楽しいと思えることに集中したりしましょう。

運動をすると交感神経が優位になり、気持ちが前向きになるものですし、体を疲れさせることで夜眠りやすくなるという側面もあるので、おすすめです。

また、趣味の時間は、なるべく仕事とは別のことをしましょう。

例えば読書が好きな方は、「仕事に役立つからこのビジネス書を読んでおこう」と選ぶのではなく、「この小説家が好きだから新刊を読もう」など、リフレッシュ目的で読む本を選んでみてください。

キャリアコンサルタントに相談する

仕事を辞めたいという悩みは、上司や先輩などに相談しづらいものです。

そんな時は、キャリアコンサルタントを利用してみてください。

キャリアコンサルタントは、一般的には「転職をするときにキャリアプランについてアドバイスをする」というイメージがありますが、「会社に行くのが嫌になってしまった」「転職しようと決めたわけではないが、辞めたいとは思っている」といった相談をすることもできます

まずはしっかり悩みを聞いたうえで、どんな解決法があるか、具体的にどうすべきかなど、自分で答えを見つけるためのコーチングをしてくれます。

「仕事に対して意識が高い人が使うもの」という印象かもしれませんが、「仕事の相談ができる、職場以外の人」というカジュアルな気持ちで試してみてください。

自分のキャリアプランを考える

そもそもなぜ今の会社に入ったのか、これから何をしたいのか、どんなキャリアを積みたいかなどを考えることも有効です。

目の前の仕事にとらわれずキャリアプランを考えることで、今の職場にいるべきかどうか、長期的な視点で判断することができます

まだここで学べることがあるのか、転職するとしたらいつどんな会社を選ぶべきかなど冷静に考えられれば、なんとなく退職・転職をして「まだ元の職場にいればよかった」と後悔するリスクを減らせます。

自分の会社で環境改善を試みる

日本では長く終身雇用が採用されてきましたが、今では転職をする人はまったく珍しくありません。

そのため、辞めたいと思ったタイミングで職場を離れるのも一手です。

しかし「ここだけどうにかなれば、今の会社にいたい」という気持ちがあるのであれば、まずは現在の環境を改善するために行動してみるのはいかがでしょうか。

人間関係の改善

上司との関係に悩んでいる方は、別の上司や人事などに相談してみてください。

上司の人となりをわかった人から客観的なアドバイスをもらうことで、適切な対処法が見つかるかもしれません。

部下の扱いに悩んでいるなら、マネジメント能力に長けた上司や先輩からアドバイスをもらうのがおすすめです。

もしも、上司からのパワハラやセクハラといったハラスメントが原因で悩んでいるのであれば、すぐにでも相談しましょう。

2020年6月に施行された改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)により、企業にはハラスメント相談窓口が設置されることになりました。

2022年4月からは一元的な相談窓口の設置が中小企業にも義務化するので、「誰から、どんなハラスメントを受けているのか」をまとめ、もしメールなどの証拠があればそれを持って相談してください。

仕事内容の改善

仕事の内容に面白さややりがいを感じないのであれば、チームや部署を異動すると改善されるかもしれません。

その際、「今の仕事がやりたくない」「つまらないから新しいことがしたい」といった希望では通りにくいため、「キャリアに幅を持たせたい」「スキルアップして、自分ができることを増やしたい」といった前向きな気持ちで申請することがおすすめです。

また、社内ベンチャーなどの制度があれば応募してみてもよいでしょう。

自ら企画立案したプロジェクトであれば、やらされ仕事をこなすよりもやる気が出て、ポジティブに取り組むことができます。

待遇の改善

働きにあった給与がもらえていないなど、待遇面での不満が大きければその改善にチャレンジしてみてください。

いきなり「給料をあげてほしい」と言うのではなく、これまでの実績や保有している資格などを整理して伝え、「どうすれば、いくら上がるのかを明確にするための話し合い」にすると有益です。

「会社を辞めたい」と思うのは悪いことではない

友人や家族に「会社を辞めたい」と相談すると、「もっと頑張ったら?」「他の会社も同じようなものだよ」などと言われることがあるでしょう。

こうした言葉が返ってくると、仕事を辞めたいと思うのはネガティブなことのように思えるかもしれませんが、そんなことはありません。

入社してから退職するまで一度も辞めたいと思わない人の方が少なく、色々なことに悩みながら四苦八苦しながらキャリアを磨いていく人はたくさんいます。

まずは「仕事を辞めたいなんて思ってはダメだ」という意識を捨て、自分の気持ちを自分で認めてあげるところから始めましょう

そのうえで、どんな理由で辞めたいのか、何がストレスになっているのか、どんな対処法があるかなど考えてみてください。

一度ゆっくり仕事について考える時間をとることで、長期的なキャリア形成に役立つことは多々あります。