入社2年目で「仕事を辞めたい」「転職したい」と考え始める方は、たくさんいらっしゃいます。そこで今回はそんな悩みをお持ちの方に、具体的なアドバイスを5つご紹介します。
仕事を辞めたい方が取り組むべき5つのステップ

新卒で入社したばかりのころは、覚えることも多く、業務についていくのに精いっぱいになるものです。それが2年目になると仕事にも慣れ、会社を辞めたいという気持ちがわくこともあります。
しかし勢いで辞めてしまうと、その後のキャリアで大きな苦労を抱えてしまうかもしれません。
だからこそ、下記の5つを参考にきちんと計画を立てて行動してみてください。
1.会社を辞めたい理由を考える
まずは、自分がなぜ転職をしたくなったのか、原因を考えましょう。
ここがクリアにならなければ、なんとなく転職をしてまた2年経ったころに仕事を辞めたくなってしまいます。
人が転職したい理由は様々ですが、多くの場合人間関係に由来します。上司と合わなかったり、職場の雰囲気に馴染めなかったり、後輩とのコミュニケーションが上手くいかなかったりといったものが多いでしょう。
人間関係が悪化すると、適応障害やうつ病などメンタル的な問題を抱えることもあります。
また、仕事内容を理由に転職する方も多いです。入社前とのイメージにギャップがあり、「仕事が楽しくない」「やりがいを感じられない」といったこともあるでしょう。
そういった状況で他社の求人を見ると、「自分のやりたいことは、別の会社でならできるかもしれない」といった気持ちになるものです。
給与や休日など、待遇面に関する理由もあります。
仲間に恵まれ仕事が面白くても、生活費に困るほど給料が少なかったり、休みが取れず余暇を楽しめなかったりすると、長く働き続けることはできません。似た仕事をしてもっと待遇が良くなる環境があれば、そちらで働きたいと思うのは自然なことです。
2.有給休暇の取得や休職
自分が退職したい理由を整理しようとしても、日々の仕事に追われて冷静に考えられないことがあります。
そんな時は有給休暇を取って、気分をリフレッシュしてください。
今の会社で続けるにしても、転職するにしても、ネガティブな気持ちのままでは上手くいきません。
休暇中にこの先のことを考え詰めるのではなく、一度仕事のことを忘れ、自分の気持ちを上向きにすることが大切です。休暇が終わりまた仕事に戻ったとき、転職活動をするか改めて考えてみてください。
また、肉体的・精神的な疲労が大きい場合、休職してみるのも一手です。退職してから会社に戻るのは難しくても、休職であればまた復帰できます。
「休職期間があると転職に不利ではないか」と考える方もいますが、一時的な家業の手伝いや、怪我をした家族のサポートなどの理由であれば、ネガティブに取られることは少ないです。
3.転職せず会社内で問題を解決できないか検討
なぜ転職したいかが明らかになったら、その問題をまずは社内で解決できないか考えてみましょう。
上司から正当な評価がされない、パワハラを受けているといった人間関係での問題は、人事部と交渉すると改善する可能性があります。ハラスメントがある場合は、証拠を持参できるとより早急に対応してもらいやすいでしょう。
また、こうした悩みから精神的に不安定になったり、体調が悪くなったりしている方は、産業医への相談も視野に入れてください。
後輩指導がネックになっている場合、指導係の変更などができないか上司に相談してみましょう。「自分は人にものを教えるのが向いていない」と考えてしまう方も多いですが、人と人との問題なので、単に相性が悪いだけの可能性もあります。
「途中で放り出しては申し訳ない」という気持ちも生まれるかもしれませんが、後輩にとってももより相性のよい上司と組んだ方が早く成長ができるため、お互いにとってメリットがあります。
仕事内容が原因で転職を考えているのであれば、部署移動やチームの変更などを検討します。業務内容が変わることで新しい気持ちで仕事に取り組め、前向きになるケースは少なくありません。
事前に「2年間だけ経験を積んで、そこで転職する」と決めておけば、期限が区切られている分、集中して働くこともできます。
部署異動を申し出る時には、「今の仕事が嫌だから」といった理由は伏せた方が賢明です。新しい仕事にチャレンジすることで、自分の対応できる仕事の幅が広がること、広い視野を持って業務ができるようになることなど、ポジティブな理由を考えましょう。
待遇面で給与に不満がある場合、まずは何を達成したら給与が上がるか、評価について確認しましょう。評価基準が明確なのであれば、それに向かって努力することと転職すること、どちらが自分にとって合っているか冷静に判断できます。
資格を取得すると手当てが出るケースもあるので、そういった情報も改めて確認してください。
休日の日数や労働時間が問題の場合、働き方を変えられないか相談することもできます。人事部や総務部と話し合い、どのような選択肢があるのか確認してください。
2年目は仕事での疲れが溜まり体調の変化も起きやすい時期なので、「みんな同じ条件で働いているから、自分だけ変えてほしいとは言い出せない」と無理しないようにしましょう。
いずれのケースでも、まずは自分を責めすぎる前に、周りの人に相談してみてください。
4.退職後のスケジューリング
考えた結果、転職を決意したのであれば、今後のスケジュールを立ててください。
何も決めずに退職してしまうと、仕事が決まらず気持ちが焦ったり、転職活動が上手くいかなかったりする可能性があります。今の職場から期間を空けずに転職する場合、退社日と入社日がかぶらないようにしなくてはなりません。
引継ぎや有給休暇の消化などを考え、直属の上司や人事とすり合わせましょう。
転職活動を始めたら、新しい職場にはいつまでは前の職場に籍を残す必要があるかを説明し、入社日で折り合いがつくかしっかり話し合ってください。
次の仕事を始めるまで期間をおく場合、失業保険についても調べておきましょう。年齢や職場に勤務していた年数などに応じて、もらえる金額や期間が変わります。また、手続きに必要な書類もあるので、ネットで調べたり役所で調べたりしてみてください。
5.転職活動の準備・実行
ここまで準備ができたら、いよいよ転職活動の準備を始めます。
求人を見ているとどれを選べばよいかわからなくなることもありますが、そんな時は先に考えた、「自分が転職したい理由」を改めて確認してください。
例えば、体育会系の厳しい人間関係に疲れているのに、給与が高いからといって似たような社風の職場に転職してしまうと、同じ悩みを持つことになります。
また、新卒の就職活動の時に行った自己分析をすることがおすすめです。学生のころから2年経ち、新たな強みができたり、以前は弱みだった部分がカバーできるようになったりしているはずです。そういったところを転職活動でアピールできるよう、改めて自分について考えましょう。
一人で考えるのが難しければ、キャリアコンサルティングを利用してみてください。
キャリアコンサルタントはこれからのキャリアを一緒に考え、自分の強みを活かした転職をするにはどうしたらいいかアドバイスをくれます。
ビジネスに対して意識が高い人が使うイメージもあるかもしれませんが、実際には「なんとなく仕事を辞めたいと思って悩んでいる」といった相談も受けています。
第三者の視点を入れることで客観的な意見を取り入れられるので、非常におすすめです。
準備が整ったら、転職活動を本格的に始めます。
まずは求人サイトを見てみて、どんな仕事があるか調べます。実際にその会社の従業員の方と話さないとわからないこともあるので、気になるものがあれば積極的に応募したり、話を聞きに行ったりしてみましょう。
自分で探すだけでなく、転職エージェントの活用も役立ちます。
プロの目線からよりあなたにあった求人をピックアップしてくれますし、採用されるようにあらゆる面でサポートが入ります。転職サイトや転職エージェントはそれぞれ特徴があり、例えば「看護師のための転職サイト」など、職種に特化したものがあります。
自分のやりたいことがはっきりしている場合は、こうしたサイトがおすすめです。
また、転職サイトや転職エージェントは2~3社ほどかけもちすると、スピード感を持って転職活動を進められます。
2年目の人の転職におすすめの業界
コロナ禍で休業・倒産する企業が増えていますが、一方で業績を伸ばしている企業もあります。2年目の方はこうした業界を選ぶことで、より転職しやすくなるでしょう。
まず、IT業界です。
各企業でリモートワークが導入されたり、人と人との接触を減らすためにITツールを導入したりといった動きが活発になり、社内システムの開発やIT機器の製造が伸びています。
今後も、コロナ禍が続く以上はこうした分野が成長していくと考えられています。エンジニアやIT機器メーカーの営業などに興味がある方は、今がチャンスです。
医療・衛生品もコロナ禍を追い風にしている業界です。医師や看護師、薬剤師といった医療従事者を始め、病院の受付や事務などの求人も増えています。
ハンドソープや石鹸、消毒液などのメーカーもビジネスを拡大しており、経験者はもちろん、未経験の第二新卒も採用しています。
人々が外出しなくなった結果、ECの利用が増え、それに伴い物流業界も業績を伸ばし始めました。ドライバーや運行管理などの需要が拡大し、求人も増加傾向です。
長距離運転は体力的に厳しいイメージもありますが、国土交通省を中心に長時間労働を是正する動きが強まっていますし、基本的には一人で業務が完結することからも人気が高まっています。
2年目の人が面接でアピールすべきポイント
2年目での転職は第二新卒という枠に入りますが、ここでアピールすべきポイントが2つあります。
1つ目は、1社目をなぜ辞めたかという理由を明確に説明することです。
面接官になんとなく転職していると思われてしまうと「うちで採用しても、またすぐ辞めて別の会社に転職するのでは」と判断されてしまいます。転職の理由は、嘘をつく必要はありませんが、なるべくポジティブな表現をすることがおすすめです。
例えば「仕事が合わなかった」という理由であれば、「○○という業務に携わることで、○○を経験し、そちらをメインにした仕事の方が自分の合っていると感じた」などと言い換えてみてください。
2つ目は、1社目で学んだことやスキルを、その会社でどう活かせるかについてです。
例えばエンジニアからウェディングプランナーに転職する場合、一見するとまったく関係のない業界なので、1社目の経験を活かすことが難しいように思えます。
しかし
「エンジニアとして他のメンバーと協力しながら、一つのアプリを開発するために、スケジュールをどう管理していくか、チーム内のコミュニケーションをどう工夫すれば円滑に進められるかを学びました。これはプランナーとして、お客様の結婚式という一つの目標に向かい、メンバーでコミュニケーションを取りながら取り組む中で、活かせるスキルだと思います」
といったように、つなげることは可能です。
2年目での転職はしっかり準備してから実行しよう
よく「石の上にも3年」と言いますが、転職したい明確な理由があるのに、無理に今の会社に居続ける必要はありません。
冷静に現在の状況を考え、転職した方がよいと思うのであれば行動をすべきです。しかしその場合、勢いで辞めてしまうのではなく、しっかりと準備をしましょう。