スキルや資格、技術に共通言語がある技術職の職務経歴書とは異なり、営業職はそのキャリアや能力を相手にわかりやすく表現し、伝える必要があります

その時にうまく活用したいのが、職務経歴書の自己PR欄です。

営業職の転職は自己PRの表現次第で、自分のキャリアへの評価をより高めることができます。一方で、一歩間違えるとキャリアを過小評価されてしまうことになりかねません。

よりよい転職のためにも、職務経歴書の自己PRを最大限活用するコツを押さえておきましょう。

1:何よりも「見た目」の体裁を整える

見た目

内容以前の問題ですが、職務経歴書の「第一印象」はとても重要です。顧客にとって見やすい資料作りは営業職には欠かせない能力であり、それは職務経歴書の作成にも通じるからです。職務経歴書であなたの「資料作成能力」と「読み手に対する配慮」というスキルと気遣いが判断されると心得ましょう。

もし職務経歴書の要点がわかりにくく、文章が長々と書いてある読みにくいものであれば、「この人は営業として、資料を作成する能力に欠ける」「読み手に対する配慮も足りない」とマイナス評価になってしまいます。

自分の営業力をアピールするためにも、職務経歴書・自己PRの見た目と読みやすさが重要であることを理解し、以下のポイントを押えて体裁を整えましょう。

【職務経歴書・自己PRの体裁のポイント】

1)キャリアが長い場合は今までの経歴を3~4行でまとめ、「要約」として一番上に記載する。

2)営業の経験は、「誰に(顧客層)、何を(商品・サービス・その価格帯)、どのように販売してきたか(営業手法や、新規開拓中心かルート型営業か)」を明記する。

3)業績を示す場合は、対前年比や営業順位など比較対象となるデータを添える。

4)「【 】(カッコ)」や「●」「■」、箇条書き、太字、下線、タイトル付けなどでポイントをわかりやすくする。

5)文章は長すぎないように。1文は1~2行で区切り、一段落は長くても3~4行程度にし、その後は改行して文章を見やすくする。

体裁を整えて初めて、自己PRの内容にも興味を持ってもらえます。職務経歴書が読みにくければ、どんなにすばらしい内容の自己PRでも、「こんな読みにくい書類を作る程度では…。」と思われてしまうことを覚えておきましょう。

2:営業として大事にしている考え方や周囲からの評判を書く

周囲からの評判

体裁のポイントを押えたら、本題の自己PRです。営業職の自己PRでは、職務経歴では伝えきれない「営業として大事にしている考え方」や「お客様や周囲からの評判」を伝える場と心得ましょう。

その際も文章を長々と書き綴るのではなく、1つの項目を3~4行程度で記載します。その3~4行の間に、具体的な数字を入れたエピソードや、お客様や社内での評判などを盛り込みましょう。

【文例1】
【営業としてのこだわり】 周囲を巻き込んだチームプレーで最適な提案をする
お客様に対して最適な提案のためには、一人ではなく社内の関係者を巻き込むことを意識しています。●●の案件では、お客様のニーズに応えるために上司や関連部署に相談しながら企画書を作成し、顧客先にも同行してもらい、●万円の受注を獲得しました。

【文例2】
【営業としての強み】 顧客へのこまめなフォローによる関係構築力
お客様との関係を構築し、新たなニーズや課題を把握するために、納品後も月1度の電話・またはメールによるフォローを定期的に行っていました。そのフォローからリピート受注も月●件ありました。このリピート受注率は社内でも高く、顧客フォローに関する勉強会や後輩指導を社内でも行っていました。

3:結果だけでなくアプローチ法もアピール

営業実績は職務経歴欄に記載しますが、実績以外のプロセスやアプローチ法も重要なアピール材料となります。特にこだわりや工夫がある場合は、それを自己PRに記載しましょう。

法人営業で顧客企業のキーマンに会うための戦略や、個人営業で次のお客様を紹介してもらうための工夫、新規開拓先を見つける秘訣や受注するために心がけていることなどを具体的なエピソードとともに記載すると効果的です。

4:どんな営業になりたいか、将来像を熱く語る

将来像

また、「どんな営業になりたいか」「どんな価値を顧客に提供していきたいか」という今後のキャリアプランや、将来像を語ることで、自分の仕事に対する価値観を伝えることも有効です。

営業としての人柄が伝わりやすいだけでなく、自分の価値観とは異なる企業とのミスマッチを事前に防ぐ効果もあります。経験が長い・短いに関係なく一言表現するようにしましょう。

その際には営業として求められる「課題設定力」や「課題解決力」、「関係構築力」や「行動力」などを持ち合わせていることを言外にアピールするようにします。

【文例】
お客様の漠然とした課題に対し、質問や雑談などのコミュニケーションからその課題を明確にし、その解決策をお客様に提案して、『これいいね!』と言っていただく瞬間に非常にやりがいを感じています。これからも御社の製品を通じて、お客様の課題を一緒に考え、解決していきたいと考えています。

「営業実績がない場合はどうする?!」の対処法

実績がない

自己PRを作成するときに最も困るのが、「特筆すべき実績がない」場合です。営業としての経験が1~2年程度と短かったり、特に高い実績を上げていなかったりすると、「PRできるようなことが何もない・・・。」と思ってしまいます。

その時はこのように対応しましょう。

1)今業務上で大事にしていること、努力していることを書く。
2)就業後に勉強していることや資格、プライベートの活動で業務に繋がることを書く。

1)はまだ結果が出ていなくてもよいので、努力していることや大事にしていることを書きましょう。
今扱っている製品・サービスに知名度がなければ、扱っている商品特性や顧客特性も明記し、その状況でどのような努力をしているかをわかりやすく伝えます。またここでは、

・業界(製品)の勉強をするために、毎朝始業から1時間前に出社しています。
・お客様との関係を構築するために、週に1度はお客様とランチをとるようにしています。

など、具体的な行動がイメージしやすい表現を心がけてください。「営業という仕事に真摯に向き合っている姿勢」が伝わればOKです。

2)は、TOEICやビジネススクールなど営業のキャリアアップのために勉強していることがあれば、それを記載します。プライベートのボランティア活動等で営業能力に関連するものがあれば、それを記載してもいいでしょう。

特に勉強していることや資格などがない場合には、前述の「営業のどこにやりがいを感じているか」「これからどうなりたいか」という、仕事に対するあなたの考えや熱意を伝えましょう。

自己PR欄をうまく活用して熱意と人柄を伝えよう

営業は実績ももちろん大切ですが、熱意や人柄も重要な採用基準となります。職務経歴では表現しきれない熱意や人柄を自己PRで補足して、「この人にちょっと会ってみようか。」と思ってもらえるような書類を作成しましょう。

また、作成した職務経歴書は、可能な限り信頼できる第三者に見てもらうことをおすすめします。他人の目からみて、あなたの良さがしっかり伝わる内容になっているかチェックしてもらい、自己PRから「一度会ってみたくなる人」になれるようにしましょう。